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介護福祉士雇うメリットは?経営安定と加算収益の最大化戦略

介護福祉士雇うメリットは?経営安定と加算収益の最大化戦略

福祉キャリア羅針盤イメージ

こんにちは。福祉キャリア羅針盤、運営者の「福祉屋」です。

介護事業を運営されている経営者の方や採用担当者の方であれば、常に頭を悩ませているのが人材確保と人件費のバランスではないでしょうか。特に国家資格である介護福祉士を雇うメリットについては、単に給料が高くなるだけではないのか、加算のためだけに高い採用コストを払う価値があるのかと疑問に感じることも多いはずです。

確かに現場の人手不足は深刻ですし、「コストばかりかかって経営を圧迫するのでは?」という不安も痛いほどよくわかります。しかし、実はそれ以上に資格者を配置することで得られる経営的な恩恵や、長期的な事業の安定化には目を見張るものがあります。私自身も事業所の運営に関わる中で、やはり有資格者の存在は数字以上の安心感につながると実感しています。

  • 介護報酬の加算による具体的な収益増のシミュレーション
  • 採用コストを回収し定着率を高めるための助成金活用術
  • 現場のリスク管理やブランディングにおける有資格者の優位性
  • 数字には表れにくいスキル担保や採用面接時のリアルな視点

財務戦略としての介護福祉士雇うメリットと加算

まずは経営者として避けては通れない「お金」の話からしていきましょう。介護福祉士を雇用することは、単なる人件費の増加ではなく、事業所の収益構造を強化するための投資という側面が強いです。ここでは、2024年の報酬改定も踏まえた具体的な加算制度や、コスト削減の仕組みについて、私の経験も交えながら詳しく解説します。

サービス提供体制強化加算の単位数と要件

サービス提供体制強化加算の単位数と要件

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介護事業の利益率を大きく左右するのが、基本報酬に上乗せされる「加算」の存在です。中でも「サービス提供体制強化加算」は、その名の通り質の高いサービスを提供できる体制、つまり「介護福祉士の配置割合」が算定の肝となります。

この加算は、介護サービスの質が一定水準以上にある事業所を評価するものであり、経営者としては何としても取得したい加算の一つです。なぜなら、これがあるかないかで、同じサービスを提供していても売上が大きく変わるからです。

例えば通所介護(デイサービス)の場合を例に挙げてみましょう。最も単位数が高い「加算(Ⅰ)」を取得するには、介護職員総数のうち70%以上が介護福祉士である必要があります。これがクリアできれば、利用者1人1回につき22単位が加算されます。一方で、要件の緩い「加算(Ⅲ)」では6単位にとどまります。この差は1回あたり16単位ですが、利用者の数が増えれば増えるほど、その差は雪だるま式に膨れ上がります。

区分 単位数(目安) 主な要件(通所介護)
加算(Ⅰ) 22単位/回 介護職員総数のうち70%以上が介護福祉士
または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上
加算(Ⅱ) 18単位/回 介護職員総数のうち50%以上が介護福祉士
加算(Ⅲ) 6単位/回 介護職員総数のうち40%以上が介護福祉士
または勤続7年以上の者が30%以上

この加算構造を見ると、国が「質の高い人材(=介護福祉士)」を配置している事業所を明らかに優遇しようとしている意図が読み取れます。単に頭数を揃えるのではなく、有資格者を計画的に採用し、長く働いてもらうこと。これが、これからの介護経営において、利益率を高めるための最短ルートになるのです。

特定事業所加算取得に必須の30%ルール

もしあなたが訪問介護(ホームヘルプ)事業所を運営されている、あるいはこれから参入しようとしているなら、この「特定事業所加算」の話は避けて通れません。これは経営の安定化と高収益化の鍵を握る、訪問介護における最重要加算と言っても過言ではないからです。

この加算は、取得できれば基本報酬に対して最大20%以上の上乗せが可能という、非常にインパクトの大きいものです。しかし、その分だけ取得ハードルとして設定されている「人材要件」は厳格です。

具体的には、特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を取得するためには、以下のいずれかの人材要件を満たすことが必須となります。

  • 訪問介護員等の総数のうち、介護福祉士の占める割合が30%以上であること
  • 介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者等の合計が50%以上であること

ここで注目すべきは「30%ルール」です。訪問介護の現場では、登録ヘルパーさんを含めて多くのスタッフが動いていますが、その中で介護福祉士の比率を30%以上に保つというのは、意識的な採用戦略がないと難しい数字です。

しかし、その見返りは絶大です。例えば、訪問介護の月商が300万円の事業所の場合、加算(Ⅰ)(+20%)を取得できれば月額60万円、年間で実に720万円もの増収となります。逆に言えば、介護福祉士が不足し、この要件を満たせない場合、年間720万円の「機会損失」が発生し続けることになります。

注意点
これは中小規模の事業所にとっては、黒字か赤字かを分けるレベルの金額です。無資格者や初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)のみで安く運営しようとすると、結果として財務的に非常に不利な戦いを強いられることになるのです。

新処遇改善加算のキャリアパス要件

2024年6月から、従来の「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」が一本化され、「介護職員等処遇改善加算」として再編されました。この新制度においても、介護福祉士の存在は、加算率の最大化と適切な配分設計において中心的な役割を果たします。

新加算の上位区分(Ⅰ〜Ⅳ)を算定するためには、「キャリアパス要件」として、職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備する必要があります。ここで重要になるのが、「誰をリーダーや役職者にするか」という点です。

一般的に、キャリアパスの最上位等級(リーダー級、主任級)の任用要件には「介護福祉士資格の保有」が設定されることがほとんどです。介護福祉士を採用・育成することは、このキャリアパス制度を「絵に描いた餅」にせず、実質的に機能させるための土台となります。

また、旧特定処遇改善加算の理念を引き継ぎ、「経験・技能のある介護職員(主に勤続10年以上の介護福祉士)」への重点的な賃金配分が可能となっています。介護福祉士を雇用し、高く処遇できる仕組みを作ることは、事業所全体の賃金水準を引き上げる原資(高い加算率)を獲得し、求人市場での競争力を高めるという好循環を生み出します。

(出典:厚生労働省『介護職員の処遇改善』)

加算の限界を補うスキル担保という価値

加算の限界を補うスキル担保という価値

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ここまで加算による金銭的なメリットを中心にお話ししてきましたが、私自身の経験から、経営者の皆様に正直な本音をお伝えしたいと思います。加算は確かに大切です。しかし、それだけを目的に採用を続けると、いずれ「頭打ち」になる瞬間が必ず来ます。

どういうことかと言うと、介護保険の加算は「上限」が決まっているからです。例えば、苦労して介護福祉士を採用し、大切に育てて、その人がメキメキと力をつけて係長などの役職に就いたとします。当然、本人の給料は定期昇給で増えますし、役職手当も必要になります。人件費は年々上がっていきます。

しかし、「サービス提供体制強化加算」や「処遇改善加算」の単価が、その人の昇給に合わせて青天井に増えていくわけではありません。つまり、ある一定ラインを超えると、加算による収入増よりも人件費の増加ペースの方が早くなり、利益率を圧迫する要因になり得るのです。実際に私も、運営を見る中で「人件費率のコントロール」には常に頭を悩ませています。

では、加算以上のコストがかかるなら、介護福祉士を雇う意味はないのでしょうか?いいえ、絶対にそんなことはありません。

雇用する側にとっての真のメリットは、加算という「金額」以上に、「一定以上のスキルが担保されている」という「質」にあります。

介護福祉士は、国家試験に合格するために専門学校での学習や3年以上の実務経験を経て、体系的なカリキュラムを修了しています。面接に来た段階で、「この人は移乗介助の基本ができている」「認知症の方への接し方のベースがある」「一から手取り足取り教えなくても現場に入っていける」という保証があるのです。

これは、目に見えない「教育コストの削減」であり、現場の混乱を防ぐ「安全コスト」でもあります。私が市役所で面接官をしていた時も、やはり履歴書の資格欄は最初にチェックしていました。それは、資格がその人の技術水準を客観的に証明する唯一の指標だからです。

採用コスト削減に活用できる助成金一覧

「介護福祉士が欲しいけれど、紹介会社の手数料が高すぎて手が出ない…」そんな悲鳴もよく聞こえてきます。確かに、年収の30〜35%という紹介手数料は経営を圧迫します。しかし、国は人材確保のために多様な助成金を用意しています。これらを戦略的に活用することで、採用コストを大幅に圧縮することが可能です。

助成金名称 対象・活用戦略 支給額目安(中小企業)
特定求職者雇用開発助成金
(特定就職困難者コース)
60歳以上の経験豊富なベテラン介護福祉士や、母子家庭の有資格者をハローワーク経由で採用する場合に最適。 60万円
(短時間40万円)
人材開発支援助成金
(人材育成支援コース)
自社の無資格・初任者研修スタッフに対し、実務者研修や介護福祉士受験対策を受けさせる費用を助成。内部育成で資格者を増やす戦略に。 訓練費用の45%〜75%
+賃金助成
キャリアアップ助成金
(正社員化コース)
パート等の有期雇用で採用した介護福祉士を、半年後などに正社員へ転換する場合に活用。 1人あたり57万円
(最大80万円)

特に「特定求職者雇用開発助成金」は、採用するだけで数十万円単位の助成が得られるため、採用エージェントへの手数料負担を相殺する手段としても有効です。また、即戦力採用だけでなく、自社で無資格者を採用し、「人材開発支援助成金」を活用して介護福祉士へ育成する「内部育成モデル」は、職員のエンゲージメントを高め、結果として最強の定着策となります。

資格者配置による収益差のシミュレーション

資格者配置による収益差のシミュレーション

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では、第1章の締めくくりとして、結局どれくらい収益に差が出るのかをシミュレーションしてみましょう。

通所介護(デイサービス)において、加算(Ⅰ)(22単位)と加算(Ⅲ)(6単位)の差は1回あたり16単位です。地域区分単価を10.5円と仮定し、月間延べ利用者数が1,000人の標準的な事業所をモデルケースとして試算すると、以下のようになります。

【収益差の試算】

  • 月間収益差: 16単位 × 10.5円 × 1,000人 = 168,000円
  • 年間収益差: 168,000円 × 12ヶ月 = 2,016,000円

この約200万円という金額は、利用者数を増やしたり、営業努力をしたりして得たものではありません。純粋に「職員の資格構成」の違いのみによって生じる利益です。

仮に、介護福祉士1名を追加雇用した際に、資格手当等で年間30万円〜50万円ほど人件費が増えたとしても、この増収分で十分にカバーでき、さらに150万円以上の利益が手元に残る計算になります。「人件費が高いから雇えない」のではなく、「稼げる体質にするために、戦略的に雇う」。この発想の転換こそが、これからの介護経営には求められています。

現場力とリスク管理で見る介護福祉士雇うメリット

お金の話の次は、現場の「質」と、そこから生まれる「リスク管理」の話です。私が現場や行政の立場で見てきた経験からも、有資格者がキーマンとして配置されている現場と、そうでない現場では、事故の少なさやトラブル対応力に雲泥の差があります。ここでは、数字には表れにくいけれど経営を根底から支えるメリットについて深掘りします。

医療行為と喀痰吸引の対応範囲の違い

医療行為と喀痰吸引の対応範囲の違い

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近年、在宅・施設問わず、介護ニーズの重度化が急速に進んでいます。そこで決定的な違いとなって現れるのが、介護福祉士の業務範囲です。

平成28年度以降の合格者、または実務者研修を修了し所定の研修(喀痰吸引等研修)を経た介護福祉士は、本来医師や看護師にしか認められていなかった「医療的ケア」の一部を実施することが法的に認められています。具体的には、喀痰吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)や経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)です。

無資格者や初任者研修修了者には、基本的にこれらのケアは実施できません(※一定の要件下での特例を除く)。施設内で医療的ケアに対応できる介護福祉士を配置することで、夜間帯など看護師が不在の時間帯でも、医療依存度の高い利用者を受け入れることが可能になります。

経営的メリット
これは、「中重度者ケア体制加算」や「入居継続支援加算」などの算定要件を満たす助けとなり、同時に地域の医療ニーズに応えることで、病院からの紹介をスムーズにし、稼働率を向上させる強力な武器となります。看護師への業務集中を防ぎ、多職種連携を円滑にする効果も見逃せません。

サービス提供責任者の厳格な配置基準

訪問介護事業所において、現場の指揮官とも言える「サービス提供責任者(サ責)」。ケアマネジャーとの調整や、ヘルパーへの指導、計画書の作成などを行う重要なポストですが、このサ責には厳格な資格要件があります。

現在は原則として、以下のいずれかの資格を持っていなければサ責として配置することができません。

  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了者
  • (旧)介護職員基礎研修修了者
  • (旧)ヘルパー1級

かつて認められていた「ヘルパー2級(初任者研修)+実務経験3年」という要件は廃止されています。もし、今のサ責が急に退職してしまい、有資格者の後任が見つからなければどうなるでしょうか?その期間は「人員基準欠如」となり、介護報酬が30%も減算されてしまいます。最悪の場合は、指定取り消し処分を受ける可能性すらあります。

介護福祉士を日常的に雇用しておくことは、こうした致命的な経営リスクを回避するための「保険」でもあります。誰かが辞めても、すぐに内部昇格でサ責を補充できる体制を作っておくこと。これが事業継続計画(BCP)の観点からも非常に重要です。

生活相談員になれる資格要件の緩和

デイサービスやショートステイの窓口となる「生活相談員」。このポジションの資格要件は、原則として「社会福祉士」「精神保健福祉士」「社会福祉主事任用資格」のいずれかとされています。しかし、実は多くの自治体(東京都、大阪市、千葉県、愛知県、福岡県など)において、独自の緩和措置がとられていることをご存知でしょうか。

多くの地域で、「介護福祉士+実務経験(例:1年以上)」があれば、生活相談員として配置できると同等要件として認めているのです。

現場経験豊富な介護福祉士を相談員に登用するメリットは計り知れません。彼らは現場のリアルな大変さや、実際に可能なケアの範囲を熟知しています。そのため、ケアマネジャーや家族との調整において、「それは現場的に無理です」と突っぱねるのではなく、「こうすれば対応できます」という建設的な提案が可能になります。この「現場を知る相談員」の存在は、ケアマネジャーからの信頼獲得に直結し、結果として新規利用者の紹介増につながるのです。

基礎への回帰で作る実務能力の差別化

「経験年数が長いだけのスタッフと、介護福祉士の違いは何なのか?」そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。私は、その最大の違いは「学び直し」によるリセットができているかどうかにあると考えています。

現場での経験が長くなると、どうしても自己流の「悪い癖」がついたり、慣れからくる「雑な対応」が出てきたりするものです。しかし、介護福祉士の試験勉強や養成課程を通じて、一度「基本のき」に立ち返り、理論に基づいたケアを体系的に学び直す機会を得ています。

私の体験談:理論が支えるケアの説得力

私の体験談:理論が支えるケアの説得力

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少し私自身の話をさせてください。私が現場で介護職をしていた頃、他のスタッフと差別化するために、あえて介護の専門書を読み漁った時期がありました。特に影響を受けたのが、三好春樹先生の著書です。そこで出会った「共同決定」という考え方は、今でも私の対人支援のベースになっています。

ちなみに、これから介護福祉士の資格取得を目指すスタッフがいるなら、勉強の開始時期や学習方法についてもしっかりアドバイスしてあげてください。介護福祉士はいつから勉強すべきかを理解し、計画的に進めることが合格への最短ルートです。こうして理論武装した職員は、利用者様だけでなく、そのご家族からの信頼も圧倒的に厚くなります。これも立派な実績であり、無資格者にはない差別化要因です。

離職率低下と定着率がもたらす効果

「採用してもすぐに辞めてしまう」という悩みは、介護業界の常です。しかし、データを見ると、介護福祉士(国家資格者)の離職率は、無資格者や初任者研修修了者に比べて明らかに低い傾向にあります。

理由はシンプルです。国家資格を取るためには、3年の実務経験と、決して簡単ではない試験勉強を乗り越える必要があります。そこまでして資格を取った人は、この仕事に対するプロ意識や覚悟、そして「キャリアへの投資意識」が違います。

シナリオを比較してみましょう。

  • シナリオA(無資格者を補充し続ける):
    採用コストの安い無資格者が1年で離職。現場は常に教育に追われ、疲弊し、サービスの質も安定しない。再度採用コストがかかる。
  • シナリオB(介護福祉士を定着させる):
    初期の採用コストは高くても、3年、5年と定着する。現場のリーダー核となり、利用者の細かな変化にも気づける。結果、事故が減り、評判が上がる。

定着率が高いということは、採用コストの償却期間が長くなるだけでなく、利用者様との「馴染みの関係」が継続でき、サービスの質が安定するという最大のメリットを生み出します。

一方で、現場の環境が悪ければ、せっかくの有資格者も定着しません。「介護福祉士はやめとけ」といったネガティブな情報に流されず、長く働いてもらうためにも、資格手当やキャリアパスの整備といった待遇面の改善は必須条件と言えるでしょう。

生涯有効な転職パスポートとしての資格

生涯有効な転職パスポートとしての資格

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ここで少し視点を変えて、働く側、あるいは採用面接をする側の視点でお話しします。私が市役所で面接官として多くの履歴書を見ていた時、真っ先に確認していたのはやはり「資格の有無」でした。

介護業界は、国が示す通り2045年頃まで高齢者が増え続ける成長市場です。その中で介護福祉士という資格は、30代、40代、あるいは50代、60代になっても使える「一生モノの転職パスポート」です。

採用する側からすれば、このパスポートを持っている人は「即戦力」として喉から手が出るほど欲しい人材です。年齢に関係なく、資格と経験があれば日本中どこでも働ける。この圧倒的な安定感こそが、働く側にとっての最大のメリットであり、同時に雇用する側にとっては、その安定感を持った人材を自社に引き入れることの重要性を示しています。

家族に選ばれる施設へのブランディング効果

家族に選ばれる施設へのブランディング効果

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最後に、マーケティングの視点です。施設への入居を決める際、キーパーソンとなるのは多くの場合、利用者本人ではなくその「ご家族」です。しかし、ご家族は介護のプロではないので、専門的なケアの内容を詳細に理解し、良し悪しを判断することは困難です。

そんな時、判断基準になるのが「わかりやすい数字」と「雰囲気」です。

「当施設はスタッフの70%以上が国家資格を持つ介護福祉士です」
「勤続10年以上のベテランスタッフが多数在籍しています」

パンフレットやWebサイトにこう明記されていれば、それは強力な安心材料(エビデンス)になります。「資格を持ったプロがたくさんいるなら、親を任せても安心だ」という直感的な信頼感は、競合他社との差別化(ブランディング)において非常に有効です。口コミや評判も、こうした「安心感」から生まれてくるのです。

介護福祉士雇うメリットで実現する経営安定

長くなりましたが、まとめです。介護福祉士を雇うメリットは、「加算による収益アップ」だけではありません。それはあくまで入り口に過ぎないのです。

本質的な価値は、「リスク管理」「安定した稼働率」「選ばれる施設づくり」といった、経営の根幹を支える部分にあります。目先の人件費の高さや紹介手数料に惑わされず、質の高い人材を確保し定着させること。これこそが、淘汰の時代を迎える介護業界を生き残り、持続可能な成長を実現するための唯一の戦略だと言えるでしょう。

最後に
各加算の要件や助成金の詳細は、年度ごとの改定や自治体のルールによって異なる場合があります。正確な情報は厚生労働省の公式サイトや、管轄の自治体窓口で必ずご確認ください。

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