
福祉キャリア羅針盤イメージ
「社会福祉士の実習では、いったい何をするんだろう」
「利用者さんとうまく話せなかったらどうしよう」
「実習日誌を毎日書ける気がしない」
「指導者に怒られたり、実習を落とされたりしないだろうか」
実習先が決まったあと、このような不安を抱えるのは自然なことですよ。学校の授業で制度や援助技術を学んでいても、実際の施設や病院で自分がどう動くのかは、なかなか想像できません。
社会福祉士の実習は、単に利用者さんと会話をしたり、施設の仕事を体験したりするだけの時間ではありません。利用者さんの生活を理解し、課題を整理し、本人の力や地域の社会資源を見つけ、支援を組み立てる過程を学ぶ時間です。
私は社会福祉士を目指す立場で障害者支援施設の実習を経験し、その後は特別養護老人ホームの生活相談員として実習生を受け入れる側も経験しました。さらに、行政福祉、生活保護、高齢者福祉、医療・介護連携にも関わってきました。
実習生だった頃の「何を学べばいいのか分からない」という気持ちと、指導する側が「ここを見てほしい」と考えているポイント。その両方の視点から、社会福祉士の実習で何をするのかを具体的にお伝えします。
- 社会福祉士の実習時間と、現在のカリキュラムの基本
- 特養、障害者支援施設、病院、社協、児童分野で行うこと
- 実習生が評価されやすい態度と、避けたい行動
- 書くことがない日でも困らない実習日誌の考え方
- 遅刻、体調不良、ミスが起きたときの対応
- 指導がつらいときに我慢しすぎないための相談方法
- 実習経験を社会福祉士としてのキャリアにつなげる方法
結論:社会福祉士の実習で行うのは「観察・関係づくり・支援の組み立て」
社会福祉士の実習で行う内容は、実習先によって異なります。ただし、どの実習先にも共通する大きな目的があります。
社会福祉士実習で学ぶ主な内容
- 利用者さんや家族との基本的なコミュニケーション
- 利用者さんとの援助関係の作り方
- 生活歴、希望、困りごと、強みの把握
- アセスメントと支援計画の作成
- 支援の実施、振り返り、評価
- 権利擁護と意思決定支援
- 医療、介護、行政などとの多職種連携
- 地域資源や制度の活用
- 施設や組織の役割、運営方法の理解
- 社会福祉士の倫理と責任
つまり、「何か特別な技術を披露すること」が実習の目的ではありません。
利用者さんの言葉や表情、生活環境、職員との関係、家族の状況などを丁寧に見て、「この人は何に困っているのか」「どのような生活を望んでいるのか」「どのような支援なら現実的なのか」を考えることが中心です。アセスメントですね。
実習前から専門職のように完璧に動ける人はいません。分からないことを確認し、自分の考えを言葉にし、指導を受けながら修正していくこと自体が実習なんです。
社会福祉士の実習で何をする?現行カリキュラムの基本
「社会福祉士の実習」と一口に言っても、配属先によって見える景色はかなり違います。
高齢者施設では、日常生活の支援や家族との関係を近くで見ることになります。病院では、治療と生活をつなぐ退院支援のスピード感を学びます。障害者支援施設では、言葉だけに頼らない意思確認や、一人ひとりに合った環境調整が重要になります。
ただし、実習先が違っても、社会福祉士として必要になる「人と環境を一緒に見る視点」は共通しています。
現行カリキュラムの実習時間は合計240時間以上

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現行の社会福祉士養成カリキュラムでは、ソーシャルワーク実習は原則として合計240時間以上行います。
また、単に一つの施設で240時間を過ごすのではなく、機能の異なる2か所以上の施設や事業所で実習し、そのうち1か所では180時間以上実習することが基本とされています。
よく見られるのは、60時間と180時間に分ける方法です。ただし、これは代表的な組み方であり、すべての学校が同じとは限りません。学校によっては、40時間と200時間に分けたり、3か所で実習したりすることもあります。
| 項目 | 基本的な考え方 | 実習で学ぶ内容 |
|---|---|---|
| 合計時間 | 240時間以上 | コミュニケーション、アセスメント、支援計画、多職種連携、権利擁護、地域支援などを総合的に学びます。 |
| 実習先の数 | 機能の異なる2か所以上 | 異なる機能や支援方法を比較し、一つの施設だけでは見えにくい地域の支援体制を理解します。 |
| 主となる実習 | 1か所で180時間以上が基本 | 利用者理解からアセスメント、支援計画、実施、評価までの一連の流れを継続して学びます。 |
| 代表的な実施例 | 60時間と180時間 | 60時間側で基礎的な関係づくりや施設の役割を学び、180時間側でより継続的な支援過程を学ぶ形が一般的です。 |
1日あたりの実習時間や休憩時間、実施日数は、学校や実習先によって異なります。「240時間だから必ず30日」「60時間だから必ず8日」と決まっているわけではないため、日程は学校から配付される実習要項を確認してください。
制度の目的は、単に現場に長く滞在することではありません。多様な生活課題、多職種・多機関の協働、地域資源の活用や開発まで含めて学ぶことにあります。
(参考:厚生労働省「社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」「教育内容等の見直しに係るQ&A」)
実習Ⅰ60時間・実習Ⅱ180時間は学校による科目区分
学校の案内では、「ソーシャルワーク実習Ⅰが60時間」「ソーシャルワーク実習Ⅱが180時間」と説明されることがあります。
これは分かりやすい代表的な区分ですが、国の制度として、すべての学校が必ずこの名称と時間配分にしなければならないわけではありません。
実習Ⅰでは、利用者さんとのコミュニケーション、施設の役割、地域との関係などを中心に学び、実習Ⅱでは、アセスメント、支援計画、多職種連携、評価などを深く学ぶ学校が多いです。
ただし、実際の科目名、実習先、実施学年、日数は学校によって違います。インターネット上の別の学校のスケジュールを、そのまま自分にも当てはめないようにしてくださいね。
実務経験や他資格による実習免除の考え方
働きながら社会福祉士を目指している人にとって、実習期間の確保は大きな問題です。
有給休暇だけでは足りない、職場が長期休暇を認めてくれない、家事や育児との調整が難しい。このような事情から、実習免除を調べている人も多いでしょう。
実習に関する免除には、主に次のような考え方があります。
実習免除で確認したい主なパターン
- 指定施設での相談援助業務による免除:指定された施設や職種で、入学前に1年以上、相談援助業務へ従事している場合、ソーシャルワーク実習指導とソーシャルワーク実習が免除される可能性があります。
- 他の養成課程で履修した実習による免除:精神保健福祉士養成課程のソーシャルワーク実習や、介護福祉士養成課程の介護実習を履修している場合、60時間を上限として免除されることがあります。
ただし、ここは自己判断をしない方がいいところです。
「福祉施設で1年以上働いたから大丈夫」「生活支援員という肩書きだから免除される」とは限りません。対象となる施設、事業、職種、実際の業務内容が細かく定められています。
相談援助以外の仕事を兼務している場合は、辞令や勤務実態も確認されます。たとえば、生活相談員という名称で採用されていても、実際には介護業務が中心だった場合、相談援助業務として認められるかは個別の確認が必要です。
反対に、介護職や支援員として働いている人でも、対象職種や配置基準、業務内容によって扱いが異なる場合があります。
免除の確認は入学前に行いましょう
実習科目を免除できるかどうかは、入学予定の大学や養成施設が書類を確認して判断します。勤務先には実務経験証明書の作成が必要になることもあります。
学校を決める前に、勤務先の正式名称、事業種別、職種、雇用期間、主な業務内容を整理し、養成校へ問い合わせてください。
なお、科目等履修生など、履修方法によっては実務経験があっても免除されない場合があります。
対象となる相談援助業務の範囲は、社会福祉振興・試験センターの「相談援助業務(実務経験)」で確認できます。ただし、最終的な免除の可否については、必ず入学予定の学校へ確認してください。
実習前に確認したい服装・持ち物・個人情報の扱い
「実習では何をするか」と同じくらい気になるのが、服装や持ち物ではないでしょうか。
基本は、実習先から指定されたルールを最優先にします。高齢者施設と病院、行政機関では、求められる服装が違います。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 服装 | スーツ、オフィスカジュアル、ポロシャツ、ジャージなど、実習先の指定を確認します。動きやすさだけでなく、清潔感と安全性も大切です。 |
| 靴 | 上履きが必要か、かかとのある靴が必要かを確認します。サンダルや音の大きい靴は避けた方が安全です。 |
| 身だしなみ | 爪、髪、香水、アクセサリーなどの規定を確認します。利用者さんの皮膚を傷つけたり、誤飲につながったりしない配慮も必要です。 |
| 持ち物 | 実習要項、名札、筆記用具、印鑑、腕時計、昼食、飲み物、上履き、健康管理に必要な物などを準備します。 |
| 通勤経路 | 初日は迷う可能性を考え、余裕を持って到着できる経路を確認します。駐車場や公共交通機関の時刻も確認しておきましょう。 |
特に注意したいのが、個人情報です。
利用者さんの氏名、住所、病名、家族関係、施設名など、個人を特定できる情報を私物のスマートフォンへ保存したり、許可なく持ち帰ったりしてはいけません。
日誌を書くためにメモを取る場合も、実習先と学校のルールに従います。利用者さんの名前をそのまま書かず、指定された記号や仮名を使うこともあります。
また、実習記録の作成に生成AIなどの外部サービスを使う場合、利用者さんを特定できる情報を入力してはいけません。そもそも外部サービスの使用を認めていない学校もあります。便利さよりも守秘義務を優先し、学校の決まりを確認してください。
高齢者施設の実習で何をする?生活全体を見る

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特別養護老人ホームや介護老人保健施設、デイサービスなどは、社会福祉士の主な実習先です。
私は特養で介護職と生活相談員を経験し、実習生を受け入れる側にも立ってきました。
高齢者施設で大切なのは、利用者さんを「介護が必要な人」としてだけ見ないことです。
どのような仕事をしてきたのか。どのような家族関係があるのか。何を楽しみにしてきたのか。今どのような不安があるのか。施設に入るまでにどのような生活をしていたのか。
目の前の介助だけではなく、その人の人生と現在の生活をつなげて考えることが、社会福祉士の実習になります。
介護場面の見学にはソーシャルワークの学びがある
高齢者施設の実習では、食事、移動、排泄、入浴などの介護場面を見学したり、安全な範囲で補助したりすることがあります。
「社会福祉士を目指しているのに、なぜ介護場面を見るのだろう」と疑問に感じるかもしれません。
生活相談員は、利用者さんの生活、家族の希望、介護職員の支援、施設の体制、制度上の条件などをつなぐ仕事です。そのため、介護の現場で何が起きているかを知らずに、相談援助だけを考えることはできません。
たとえば、排泄介助を見学するときも、単に手順を覚えるのではありません。
- 利用者さんの羞恥心にどのような配慮をしているか
- 本人にできる動作を職員が奪っていないか
- 声かけのタイミングは適切か
- 職員一人にかかる負担はどれくらいか
- 安全と自立支援をどう両立しているか
このような視点で見ると、介護場面も重要なアセスメントの機会になります。
実習生は人手不足を埋める職員ではありません
実習内容は、学校と施設が作成した実習計画に基づいて行われます。実習生が、説明や指導を受けないまま介助を任されたり、職員の代わりとして働き続けたりするものではありません。
身体介護を行う場合は、実習先の指示と安全管理に従い、分からないことを自己判断で進めないようにしてください。
同じ作業ばかりが続き、実習目標とのつながりが分からない場合は、まず指導者へ学習目的を確認しましょう。それでも改善されない場合は、学校の実習担当教員へ相談して構いません。
特養実習の1日の流れ
実際のスケジュールは施設ごとに異なりますが、イメージしやすいように一例を紹介します。
特養実習の1日例
- 8:30 朝礼・申し送り:夜間の睡眠、排泄、体調変化、事故などの情報を確認します。
- 9:00 利用者さんとのコミュニケーション:会話や活動を通して、生活歴、希望、表情の変化などを観察します。
- 10:00 介護場面の見学・補助:入浴、整容、移動、排泄などの支援と、職員の声かけを学びます。
- 11:30 食事場面の観察:食事形態、姿勢、食欲、他者との交流、本人の好みなどを確認します。
- 13:00 相談員業務への同行:家族対応、入退所相談、会議、関係機関との連絡などを見学します。
- 14:00 レクリエーションや個別活動:参加していない人にも注目し、活動が本人の希望に合っているかを考えます。
- 15:00 ケース記録や支援計画の確認:指導者の説明を受けながら、情報が支援へどう反映されているかを学びます。
- 16:00 振り返り:疑問点を質問し、翌日の目標を決めます。
- 実習後 実習日誌の作成:その日の事実、考察、次に確認したいことを整理します。
申し送りで使われる言葉が分からなくても、最初からすべて理解する必要はありません。
ADLは日常生活動作、IADLは買い物や金銭管理などのより複雑な生活動作を指します。分からない略語が出てきたらメモし、個人情報に注意しながら、その日のうちに調べると理解が深まります。
大型施設とユニット型施設で見えた価値観の違い
私が生活相談員として実習生を受け入れていた頃は、大型の多床室型特養と、小規模なユニット型特養の両方に関わっていました。
大型施設では、限られた人数で多くの利用者さんを支えるため、職員が決められた時間に合わせて目まぐるしく動く場面がありました。一方、ユニット型施設では、少人数の生活単位を生かし、本人の生活リズムや家族との関わりを重視しやすい面がありました。
もちろん、大型施設だから個別ケアができない、ユニット型だから理想的な支援ができる、と単純に分けられるものではありません。
建物の構造、人員配置、職員の考え方、利用者さんの状態、家族との関係などによって、実際の支援は変わります。
実習では、施設の形式だけで判断せず、次のように考えてみてください。
- この施設が大切にしている価値は何か
- 理想の支援を続けるために、どのような工夫をしているか
- 人員や時間の制約が支援へどう影響しているか
- 利用者さんの希望と施設のルールがぶつかったとき、どう調整しているか
福祉の仕事は、理想を語るだけでも、効率だけを求めるだけでも成り立ちません。本人、家族、職員、制度、組織の事情を見ながら、現実的な支援を組み立てる仕事です。
障害者支援施設の実習で何をする?言葉以外のサインを読む

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障害者支援施設では、生活支援、就労支援、創作活動、生産活動、余暇支援など、施設の機能に応じた活動へ参加します。
知的障害や発達障害のある方との実習では、言葉だけに頼らないコミュニケーションが大きな学びになります。
言葉で希望を説明するのが難しい人もいます。反対に、言葉では「大丈夫」と言っていても、表情、姿勢、声の大きさ、行動の変化などに不安が表れることもあります。
支援者の都合で意味を決めつけるのではなく、日頃の様子や周囲の情報を確認しながら、本人の意思を丁寧に推測する姿勢が必要です。
私の実習は「しいたけの原木運び」だった
私自身が実習へ行ったのは、障害者支援施設でした。
そこで行っていたのが、利用者さんと一緒に、しいたけ栽培に使う原木を山へ運ぶ作業です。
重い原木を持ち、山の中を移動し、決められた場所へ並べる。休憩したら、また原木を運ぶ。その繰り返しでした。
当時の私は、「社会福祉士の実習なのに、なぜ毎日丸太を運んでいるんだろう」「今日の日誌には何を書けばいいんだ」と、本当に困っていました。
でも、あとから振り返ると、あの作業には多くの学びがありました。
- どの作業なら本人が一人でできるのか
- どのタイミングで支援が必要になるのか
- 疲れや不安がどのような行動に表れるのか
- 職員がどの程度待ち、どの程度手を貸しているのか
- 本人にとって働くことがどのような意味を持つのか
- 集団の中で、どのような役割を担っているのか
一緒に汗を流し、作業のリズムを共有していると、言葉だけでは分からなかった変化に気づけるようになります。
その後、私が仕事で、在宅生活をしている知的障害のある方の支援に関わったとき、この経験が役立ちました。
言葉で十分に説明できないからといって、希望や不安がないわけではありません。表情、動き、生活のリズム、周囲との関係から、本人が何を伝えようとしているのかを考える。
実習で身につけた観察の視点は、福祉の分野や職場が変わっても使える力です。
単純に見える作業を実習日誌へ変える方法
作業中心の実習では、「毎日同じことをしている」「書くことがない」と感じることがあります。
その場合は、作業内容ではなく、作業の中で起きた小さな違いに注目してください。
原木運びから考えられる実習日誌の視点
- 昨日と比べて、利用者さんの表情や作業速度に変化はあったか
- 職員の声かけによって、本人の行動はどう変わったか
- 作業の役割分担は、本人の得意なことに合っていたか
- 疲れたとき、本人はどのようなサインを出していたか
- 安全を守りながら本人の主体性を保つために、どのような工夫があったか
- この活動が工賃、生活リズム、社会参加へどうつながっているか
「何をしたか」だけで日誌を書こうとすると、同じ内容になってしまいます。
「誰にどのような変化があったか」「職員はなぜその支援をしたのか」「自分ならどう考えるか」まで広げると、日誌に書ける内容は増えていきます。
当時の私はここまで気づけませんでしたので、日誌は毎日が大変でした。
お弁当を食べられた出来事から考えたこと
実習中、私が昼食を食べていると、利用者さんが近づいてきて、私のお弁当のおかずを口にしたことがありました。
急な出来事だったので、当時は驚きました。楽しみにしていたおかずだったため、少し残念な気持ちもありました。
ただ、その場で相手を強く責めるのではなく、「なぜこの行動が起きたのだろう」と考える必要があります。
- 食べ物だと認識して、反射的に手が伸びたのか
- 空腹だったのか
- 他人の物と自分の物の区別が難しかったのか
- 日頃から似た出来事が起きているのか
- 席の配置や職員の見守り方に工夫できる点はないか
一つの行動だけを見て、「困った人だ」と評価するのは簡単です。
社会福祉士に必要なのは、その行動が起きた背景を考え、本人と周囲の人が安心して過ごせる環境を探すことです。
もちろん、実習生だけで判断したり対応したりしてはいけません。トラブルが起きたときは、その場の職員へすぐ報告し、日頃の様子や施設の対応方法を確認してください。
病院実習で何をする?退院後の生活を短期間で組み立てる

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現在、私は医療分野で働き、医療・介護連携や患者さん、家族への支援に関わっています。
病院の実習では、医療ソーシャルワーカーが患者さんの治療と退院後の生活をどうつないでいるかを学びます。
病院は治療を行う場所ですが、患者さんの生活は病院の中だけで完結しません。
退院後に一人で生活できるのか。家族が介護できるのか。訪問診療や訪問看護が必要か。介護保険を申請する必要があるか。施設へ入所するのか。経済的な不安はないか。
医療ソーシャルワーカーは、病気だけではなく、退院後に起こり得る生活上の問題を整理します。
病院実習で見学する主な業務
- 患者さんや家族との面談
- 入院時の生活状況や家族状況の確認
- 医師、看護師、リハビリ職とのカンファレンス
- ケアマネジャー、施設、行政との連絡調整
- 介護保険、障害福祉、生活保護などの制度案内
- 転院先や施設の検討
- 自宅退院に向けたサービス調整
- 経済的な問題や意思決定に関する相談
実習生が面談へ同席する場合は、患者さんや家族の了承、病院のルール、守秘義務への配慮が必要です。
面談中は質問を急がず、まず患者さんがどのような言葉で不安を表しているかを聞いてください。
患者さんが「家に帰りたい」と話していても、家族は「自宅での介護は難しい」と考えていることがあります。反対に、家族が自宅退院を望んでいても、本人は家族へ迷惑をかけることを心配している場合があります。
本人の希望だけでも、家族の希望だけでも支援は決められません。それぞれの考え、病状、介護力、住環境、制度、地域資源を確認し、現実的な方法を探します。
退院支援では早い段階から生活を考える
医療現場では、入院後の早い段階から退院後の生活を考えることがあります。
患者さんの状態が変化したり、退院日が急に決まったりして、短い期間で複数の関係機関と調整しなければならないこともあります。
そのため、病院実習では次のような力が求められます。
- 必要な情報を短時間で整理する力
- 分からない点を優先順位づけして確認する力
- 医療職の説明を生活の言葉へ置き換える力
- 地域のサービスや制度を調べる力
- 本人と家族の気持ちが違うときに調整する力
スピードは重要ですが、早く退院先を決めればよいわけではありません。
本人が理解しないまま話を進めたり、家族が無理を抱えたまま自宅退院を選んだりすると、生活が続かなくなる可能性があります。
「早く進めること」と「丁寧に意思を確認すること」をどう両立するか。ここが医療ソーシャルワークの難しいところです。
特に退院後の医療は誰が提供するのかも重要です。かかりつけ医をどうするのかについては、本人のADLや家族のマンパワーが重要な指標となります。
こういった難しい調整を見学する機会は非常に貴重です。退院前カンファレンスがあれば、ぜひ参加させてもらいしょう。
在宅で最期まで過ごす選択肢を支える
病気の状態によっては、患者さんが住み慣れた自宅で過ごすことを希望する場合があります。
その希望を実現するには、医師、看護師、訪問診療、訪問看護、ケアマネジャー、介護事業所、家族など、多くの人による連携が必要です。
本人の希望を大切にしながら、家族の負担や医療上の安全も確認し、続けられる支援を組み立てる。病院実習では、医療と福祉が重なる場面をぜひ見てほしいと思います。
社会福祉協議会の実習で何をする?地域の支援をつなぐ

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社会福祉協議会の実習では、一人の利用者さんへの支援だけでなく、地域全体をどのように支えるかを学びます。
主な実習内容として、地域福祉活動、ボランティアセンター、生活福祉資金、日常生活自立支援事業、成年後見に関する取り組み、地域住民の交流活動などがあります。
介護保険や障害福祉サービスなど、制度に基づいて提供される支援をフォーマルサービスと呼ぶことがあります。
一方、近隣住民による見守り、ボランティア、住民主体の集まりなどは、インフォーマルな支援に含まれます。
制度上のサービスがあっても、それだけでは生活を支えきれない人がいます。
ごみ出しが難しい。一人で買い物へ行けない。話し相手がいない。制度の対象にはならないが、放置すると孤立が深まる。このような困りごとに、地域の人や組織がどう関わるかを考えるのが社協の大きな役割です。
社協実習で見るべきポイント
- 地域の課題をどのように把握しているか
- 住民の声を事業へどう反映しているか
- ボランティアを募集するだけでなく、どう支えているか
- 行政、地域包括支援センター、民生委員などとどう連携しているか
- 制度の対象外になった人をどこへつないでいるか
- 本人の権利を守りながら、地域との関係をどう作っているか
地域づくりは、目に見える成果がすぐに出る仕事ではありません。
住民の考え方も、地域資源も、自治体の状況も異なります。時間をかけて信頼関係を作り、地域の中にある力を見つけていく必要があります。
社会福祉協議会には地域に働きかけるコミュニティワーカーが配置されている場合があります。そして、権利擁護を担当する部署があることもありますので、横断して実習できるようにできるよう見学希望を出すといいですよ。
児童相談所や児童福祉施設の実習で何をする?子どもの権利を守る
児童相談所、児童養護施設、母子生活支援施設、障害児支援の事業所などでは、子どもの生活と権利を守る支援を学びます。
児童分野では、子ども本人だけでなく、保護者、学校、医療機関、行政、警察など、多くの関係者との調整が必要です。
実習先によっては、次のような内容を学びます。
- 子どもとの関係づくり
- 生活場面や遊びの観察
- 保護者支援の考え方
- 学校や関係機関との連携
- 虐待や養育困難に関する支援
- 子どもの意見を確認する方法
- 家族再統合や退所後支援の考え方
児童分野では、子どもを守りたいという気持ちが強くなる一方で、保護者にも病気、障害、貧困、孤立、過去の被害体験などがある場合があります。
子どもの安全を最優先にしながらも、保護者を単純に悪者として決めつけない視点が必要です。
実習で知る内容には、特に慎重な守秘義務が求められます。ケースの詳細を学校外で話したり、SNSへ書いたりしないようにしてください。
私は児童福祉分野に生活保護やプライベートで携わることがありました。この分野はいかに自らの心を平穏に保てるかが大切です。正義感だけでは片付けられない問題が山積しているのがこの分野です。学んでいくと、児童福祉法の改正による児童相談所の権限強化や親権という非常に悩ましい問題にどう対処していくのかがわかってきます。
福祉屋としてはぜひ学んでほしい分野ではありますが、軽い気持ちでは入れないところでもあります。
社会福祉士の実習目標はどう作る?抽象的な言葉を行動へ変える
実習前には、「実習目標を書いてください」と言われることがあります。
しかし、「ソーシャルワークについて学ぶ」「利用者理解を深める」と書くだけでは、実習中に何をすればよいのか分かりません。
目標は、実際の行動へ置き換えてみましょう。
| 抽象的な目標 | 行動が分かる目標 |
|---|---|
| 利用者理解を深める | 利用者さんとの会話、生活場面、記録から、生活歴、希望、得意なこと、困りごとを整理する。 |
| 多職種連携を学ぶ | 会議へ参加し、各職種がどの情報を提供し、最終的な支援方針へどう反映されるか確認する。 |
| 権利擁護を学ぶ | 本人の希望と施設の安全管理が異なる場面を一つ取り上げ、どのような調整が行われているか考える。 |
| 地域支援を学ぶ | 実習先が連携している地域資源を三つ確認し、それぞれの役割を整理する。 |
目標が具体的になると、指導者も実習内容を提案しやすくなります。
実習初日に「今回の目標はこれです」と伝えて終わりではなく、途中で達成状況を確認し、必要なら修正してください。
指示待ちにならないための質問方法
実習中、指導者が忙しそうで質問しづらいことがあります。
ただ、「何をすればいいですか」と毎回聞くだけでは、受け身に見える可能性があります。
自分が見たことと考えたことを添えると、質問が具体的になります。
質問の例
- 「先ほど〇〇さんが食堂から離れていました。普段から人が多い場所を避けることがあるのでしょうか」
- 「ご家族の希望と本人の希望が違っているように感じました。支援方針はどのように整理していますか」
- 「職員さんがすぐに介助せず、しばらく待っていました。本人の力を確認するためでしょうか」
- 「今日の実習目標について確認したいのですが、何時頃ならお時間をいただけますか」
質問する前に少し考えることは大切です。ただし、安全に関わることや、個人情報の扱い、利用者さんへの対応で迷ったことは、考え込まずすぐ確認してください。
実習指導者は何を見ている?完璧さより誠実さ
私が実習指導に関わっていたとき、実習生へ最初から完璧な知識や技術を求めていたわけではありません。
実習は、できないことを学ぶ場所です。すでに何でもできるのであれば、実習を行う必要はありませんよね。
指導者が見ているのは、主に次のような部分です。
- 利用者さんを一人の生活者として尊重しているか
- 分からないことを、そのままにせず確認できるか
- 報告、連絡、相談ができるか
- 指摘を受けたあとに行動を修正できるか
- 事実と自分の思い込みを分けて考えられるか
- 守秘義務や施設のルールを守れるか
- 利用者さんだけでなく、職員や他の実習生にも誠実に接しているか
名前を覚えることより、相手を知ろうとすることが大切
利用者さんの名前と顔を覚えることは、関係づくりの助けになります。
ただし、「初日ですべて覚えなければ評価が下がる」と考える必要はありません。
認知症のある人や失語症のある人、発音が聞き取りにくい人もいます。聞き取れなかったときに、分かったふりをして話を進める方が問題です。
「申し訳ありません。もう一度お名前を伺ってもよろしいですか」と丁寧に確認すれば大丈夫です。
名前を覚えるためのメモについても、個人情報の持ち出しにならないよう、実習先のルールへ従ってください。
指摘を受けたときは「事実」と「修正方法」を確認する
実習では、指導者から厳しく感じる指摘を受けることがあります。
まず確認したいのは、「何が問題だったのか」という具体的な事実です。
たとえば、「利用者さんへの態度がよくない」と言われただけでは、修正方法が分かりません。
「どの場面の、どの言葉や行動が問題だったでしょうか」「次回はどのように声をかけるとよいでしょうか」と確認すると、学びへ変えやすくなります。
指摘を受けた直後は、ショックで頭が真っ白になるかもしれません。すぐに整理できないときは、あとで質問するために要点をメモしておきましょう。
実習日誌は何を書く?事実・考察・次の行動に分ける
社会福祉士実習で、多くの人が苦戦するのが実習日誌です。
慣れない環境で一日を過ごしたあとに、記録をまとめるのは本当に大変です。私も実習生の頃、原木を運び続けた日の夜に、「今日は何を書けばいいんだろう」と何度も止まりました。
日誌が書けない原因の一つは、その日に起きたことをすべて書こうとすることです。
一日の中から、実習目標と関係する一つか二つの場面を選ぶと書きやすくなります。
日誌は「事実・自分の解釈・確認したいこと」で整理する
実習日誌の基本的な流れ
- 事実:誰が、いつ、どこで、どのような言動をしたかを書く。
- 自分の受け止め:その場で自分が何を感じ、どう対応したかを書く。
- 考察:授業で学んだ理論や、利用者さんの背景と結びつけて考える。
- 確認:分からなかったことや、自分の推測が正しいかを指導者へ確認する。
- 次の行動:翌日に観察したいこと、試してみたい関わり方を書く。
内容が浅くなりやすい日誌の例
「今日は〇〇さんと話しました。笑顔が見られてうれしかったです。コミュニケーションの大切さを学びました。」
これだけでは、何を話し、どのような変化があり、何を学んだのかが分かりません。
具体的にした日誌の例
「〇〇さんへ午前中の活動について尋ねたところ、最初は『別に何もない』と答え、視線を下に向けていた。その後、以前の仕事について質問すると、顔を上げ、仕事で使っていた道具について約5分間話された。過去の仕事は〇〇さんにとって、自分の役割や経験を話せる重要なテーマである可能性がある。ただし、一度笑顔が見られたことだけで本人の気持ちを断定することはできない。今後も本人が話したい様子かを確認し、無理に質問を続けないようにしたい。」
この書き方では、観察した事実と自分の推測を分けています。
「笑顔が出たから回想法の効果があった」と断定するのではなく、本人にとって意味のある話題だった可能性を考え、今後の確認につなげています。
日誌を早く書くための小さな準備
実習が終わってから一日を思い出そうとすると、時間がかかります。
実習先のルールで認められている範囲で、休憩時間や振り返り前に、次の点を簡単に整理しておきましょう。
- 今日いちばん印象に残った場面
- 利用者さんの具体的な言葉や行動
- 職員の対応で疑問に思ったこと
- 自分がうまくできなかったこと
- 授業で学んだ内容とつながりそうな点
- 明日確認したい質問
ただし、個人情報を私物へ記録しないこと、メモを施設外へ持ち出さないことなど、実習先の決まりを守ってください。
日誌の書式や提出方法も学校によって違います。手書き、パソコン入力、施設内で作成、帰宅後に作成など、指定された方法を優先しましょう。
遅刻・欠席・体調不良・ミスが起きたときの対応
どれだけ準備していても、電車の遅延、急な発熱、体調不良などが起きることはあります。
実習で大切なのは、一度も失敗しないことではありません。問題が起きたときに、安全を守り、早く報告し、必要な対応を取ることです。
遅刻しそうな時点で連絡する
遅刻が確定するまで待つのではなく、「開始時刻に間に合わない可能性がある」と分かった段階で連絡します。
電話で伝える内容
- 学校名と氏名
- 実習生であること
- 遅れる理由
- 到着見込みの時刻
- 現在地や安全の状況
実習先だけでなく、学校への連絡が必要な場合もあります。連絡手順は、実習前に要項で確認しておきましょう。
到着後は、まず担当者へ謝罪と報告をします。そのうえで、日誌や学校への報告が必要か確認してください。
感染症が疑われるときは無理に出席しない
福祉施設や病院には、高齢者、基礎疾患のある人、感染症の影響を受けやすい人がいます。
発熱、嘔吐、下痢、強いせきなどがある場合、「評価が下がるのが怖いから」と無理に出席する方が危険です。
自己判断で実習先へ行かず、決められた連絡先へ相談してください。欠席した時間の補講や振替については、学校と実習先が調整します。
利用者さんへの対応でミスをしたら隠さない
物を壊した、転倒しそうになった、誤った情報を伝えた、利用者さんを不快にさせてしまった。このようなとき、評価が怖くて報告を遅らせると、問題が大きくなる可能性があります。
まず利用者さんの安全を確認し、近くの職員へすぐに報告してください。
「怒られるかどうか」ではなく、「利用者さんの安全と権利を守るために何が必要か」を優先します。
報告するときは、言い訳から始めず、見た事実、自分がしたこと、現在の状況を順番に伝えると整理しやすくなります。
実習がつらい・辞めたいと感じたときの考え方
長期間の実習では、心や身体が疲れてくることがあります。
慣れない場所で常に見られているように感じる。質問したくても職員が忙しそうで声をかけられない。日誌が終わらず睡眠時間が減る。指導者の言葉が頭から離れない。
このような状態になったからといって、社会福祉士に向いていないと決める必要はありません。
実習は普段の学校生活や仕事とは違う環境です。疲れるのは珍しいことではありません。
ただし、「実習だからつらくて当たり前」と何でも我慢する必要もありません。
学習上の厳しい指導と、不適切な指導を分ける
利用者さんへの言葉遣い、守秘義務、安全管理などについて、具体的な問題を指摘されることはあります。
一方で、次のような対応は、学習指導とは分けて考える必要があります。
- 人格を否定する言葉を繰り返し言われる
- 大声で威圧される
- 他の職員や利用者さんの前で必要以上に侮辱される
- 実習目標と関係のない私的な用事を命じられる
- 説明を受けないまま危険な業務を任される
- 休憩を取らせてもらえない
- 体調不良を訴えても無視される
- 性的な発言や不必要な身体接触がある
このような場合は、一人で抱え込まず、学校の実習担当教員へ相談してください。
施設内の指導者へ直接伝えにくいときは、無理に本人へ訴える必要はありません。いつ、どこで、誰から、どのような言動を受けたかを、可能な範囲で事実として整理しておくと相談しやすくなります。
限界になる前に学校へ相談する
学校の実習担当教員は、実習生と実習施設の間を調整する役割を持っています。
相談することは、実習から逃げることではありません。
次のような状態が続いている場合は、早めに相談してください。
- ほとんど眠れない日が続いている
- 実習先へ向かう途中に動悸や吐き気が出る
- 食事が取れない
- 涙が止まらない
- 指導者が怖くて必要な報告もできない
- 利用者さんの安全に関わる不安がある
- 実習計画と異なる業務ばかり続いている
我慢して突然行けなくなるより、早い段階で状況を共有した方が、実習内容の調整や指導者の変更などを検討しやすくなります。
福祉職は人を支える仕事ですが、支える側の心や身体も守られなければなりません。実習生も同じです。
自己覚知とは?自分の価値観を知ることが支援につながる
社会福祉士実習で重要な学びの一つが、自己覚知です。
自己覚知とは、自分の価値観、感情の動き、物事の見方、苦手な相手、決めつけの傾向などを理解することです。
たとえば、次のような自分の傾向に気づくことがあります。
- 沈黙が苦手で、相手が考えている途中でも話してしまう
- 清潔に対する自分の基準を、利用者さんにも求めてしまう
- 年上の男性を前にすると萎縮してしまう
- 支援を断る人を見ると、「やる気がない」と感じてしまう
- 相手のためと思うと、本人の希望を待たずに動いてしまう
大切なのは、このような感情や考えが浮かぶこと自体を責めることではありません。
自分の中にある反応へ気づき、それをそのまま利用者さんへの評価や支援に持ち込まないことが重要です。
介護は作業ではなくアセスメントだと実感する
私は介護職として働いていた頃、自立支援や個別ケアを学び、利用者さんができることを増やす支援へ取り組みました。
経管栄養だった人が再び口から食べられる状態へ近づいたり、要介護度が改善したりした経験があります。
一方、おむつからトイレでの排泄へ移行しようとしてうまくいかず、本人にも職員にも負担をかけた経験もあります。
よい支援をしたいという気持ちだけでは、支援は続きません。
本人の身体機能、希望、生活歴、家族の状況、職員体制、時間、リスクなどを考え、どこまでなら現実的に続けられるかを判断する必要があります。
社会福祉士の実習でも同じです。
「本人のために何かしてあげたい」という気持ちは大切ですが、自分の理想を押しつけていないか、家族や職員の負担を見落としていないかを考えなければなりません。
実習は、自分の善意だけでは解決できない現実と向き合い、理想と現実を調整する力を身につける時間でもあります。
社会福祉士の実習経験は、その後のキャリアにつながる
社会福祉士実習は、国家試験を受けるために仕方なくこなす科目ではありません。
自分が、どのような人や課題に関心を持つのかを知る機会でもあります。
高齢者施設で、利用者さんの日常生活を長く支えることに魅力を感じる人もいます。病院のスピード感や多職種連携が合う人もいます。障害分野で、一人ひとりの小さな変化を長く見守りたい人もいます。地域づくりや行政の仕組みに関心を持つ人もいるでしょう。
反対に、「この分野は自分には合わないかもしれない」と気づくこともあります。
それも失敗ではありません。実際に経験したからこそ、次の選択で同じミスマッチを避けられます。
実習中に見つけた力を言葉にしておく
実習を終えたら、「大変だった」「無事に終わった」だけで終わらせず、自分が身につけた力を整理してみてください。
- 利用者さんの小さな変化に気づく観察力
- 相手の話を急がずに聞く力
- 分からないことを質問する力
- 職員の意見を整理する力
- 制度や地域資源を調べる力
- 自分の偏りへ気づき、行動を修正する力
- 毎日の記録を継続する力
これらは、社会福祉士として働くときだけでなく、就職活動や転職活動でも説明できる力です。
福祉の経験は、ただ現場で過ごした時間ではありません。何を観察し、何を考え、どのように行動を変えたかを言葉にすると、キャリアとして使える経験になります。
資格取得後の働き方をまだ決めていない方は、社会福祉士が働ける職場と、自分に合う分野の選び方も参考にしてください。高齢者、障害、医療、児童、行政など、それぞれの特徴を整理しています。
社会福祉士の実習で何をするか総まとめ

福祉キャリア羅針盤イメージ
社会福祉士の実習では、利用者さんとのコミュニケーション、生活状況の把握、アセスメント、支援計画、多職種連携、権利擁護、地域資源の活用などを学びます。
高齢者施設で介護場面を見ることも、障害者支援施設で作業をすることも、病院の会議へ参加することも、それ自体が目的ではありません。
その場面から、利用者さんがどのように生活しているのか、どのような支援が必要なのか、本人の希望と制度や組織の条件をどう調整するのかを考えることが大切です。
最初からうまく会話できなくても大丈夫です。日誌に赤字が入り、落ち込む日もあると思います。自分の思い込みや苦手な部分に気づき、恥ずかしく感じることもあるかもしれません。
でも、それらは「社会福祉士に向いていない証拠」ではありません。
分からないことを確認する。指摘を受けたら、次の行動を変える。つらいときは学校へ相談する。利用者さんの安全と尊厳を優先する。
その積み重ねが、専門職としての土台になります。
私が実習で運んだしいたけの原木も、その後の支援につながりました。当時は意味が分からなかった経験が、何年もあとになって役立つことがあります。
福祉の経験は、あなたの人生を切り開くキャリアになります。
実習を「評価されるだけの期間」と考えすぎず、自分がどのような支援者になりたいのかを探す時間にしてくださいね。
実習前に行う次の一歩
- 学校の実習要項を読み、時間、服装、持ち物、連絡方法を確認する。
- 実習先の事業内容と、社会福祉士の役割を調べる。
- 抽象的な実習目標を、実際の行動へ置き換える。
- 遅刻、欠席、体調不良時の連絡先を控える。
- 個人情報や実習日誌に関するルールを確認する。
- 困ったときに相談する学校の担当者を確認する。
実習が終わったあとは、受け入れてくださった実習先へ感謝を伝えることも大切です。何を書けばよいか迷う方は、社会福祉士実習のお礼状の例文とマナーを確認してみてください。