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社会福祉士はどこで働く?給料やきつい現場、選び方を徹底解説

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こんにちは。福祉キャリア羅針盤、運営者の「福祉屋」です。社会福祉士の資格を取ろうと思っている、あるいは転職を考えているけれど、実際に社会福祉士がどこで働くのか、具体的なイメージが湧かずに悩んでいませんか。高齢者施設や障害者支援施設はもちろん、病院や児童相談所、さらには一般企業や公務員まで、その活躍の場は驚くほど多岐にわたります。給料の違いや仕事のきつさなど、就職先を選ぶ上で気になるポイントも多いですよね。この記事では、それぞれの職場の特徴や将来性について、私自身の現場での赤裸々な実体験を交えながら詳しくお伝えします。

  • 主要な5つの就業分野と具体的な業務内容
  • 年収や給与水準の高い職場のランキング
  • 現場ごとの精神的な負担やきつさの違い
  • 自分に合った働き方を見つけるための判断基準

社会福祉士はどこで働く?主要な5つの分野

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社会福祉士の活躍の場は、時代の変化とともに拡大しています。かつては高齢者や障害者施設が中心でしたが、現在は学校、刑務所、一般企業など、予想もしない場所にまで広がっています。ここでは、代表的な就職先を「高齢者」「障害者」「児童・教育」「医療」「行政・司法」の5つの大きなカテゴリに分けて、それぞれの業務のリアルをご紹介します。

高齢者施設での役割と仕事内容

高齢者施設での役割と仕事内容

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社会福祉士の就職先として、最も数が多くポピュラーなのが高齢者福祉の分野です。求人数も圧倒的に多く、未経験からでも挑戦しやすい領域ですが、一口に「高齢者施設」と言っても、施設の種類によって役割や「きつさ」の質は大きく異なります。ここでは代表的な3つの職場について深掘りします。

特別養護老人ホーム(特養)での生活相談員

特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の重度の方が入居する「終の棲家」です。ここでの社会福祉士は、主に「生活相談員」として配置されます。表向きの業務は、入居希望者やご家族との面談、契約手続き、ケアマネジャーとの連携、苦情対応などですが、実際には施設運営の潤滑油としての役割が求められます。ご家族の「もっと手厚く見てほしい」という要望と、現場の「人手が足りなくて無理だ」という現実の間に入り、調整を行うのが日常です。

介護老人保健施設(老健)での支援相談員

一方、介護老人保健施設(老健)は、病院と自宅の中間にある「リハビリ施設」です。ここでの社会福祉士は「支援相談員」と呼ばれます。老健の最大の特徴は、入所期間が原則3ヶ月〜6ヶ月程度と決まっていることです。そのため、相談員の業務は「在宅復帰支援(出口戦略)」に特化しています。入所したその日から、「いつ家に帰るか」「帰るためにはどんなサービスが必要か」を考え、医師、理学療法士、看護師らと密に連携してゴールを目指します。

地域包括支援センターという選択

施設の中ではなく、地域に出て働くのが「地域包括支援センター」です。各市町村に設置された、高齢者のための総合相談窓口です。ここでは、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーの3職種がチームを組んで働きます。社会福祉士の担当領域は、主に「権利擁護」「総合相談」です。具体的には、高齢者虐待への対応、成年後見制度の利用支援、悪質商法の被害防止など、法的な知識を駆使して高齢者の権利を守る仕事です。夜勤がないためワークライフバランスは取りやすいですが、地域の「最後の砦」として持ち込まれる相談は複雑かつ困難なものが多く、高い判断力が求められます。

【体験談】特養相談員は「何でも屋」?現場の実情

ここで、私が実際に特別養護老人ホーム(特養)で働いていた時のリアルなお話をさせてください。 正直に言いますが、相談員として採用されたものの、実際には「施設内の何でも屋」でした。現場の介護職員が休んだ時には代わりに介護に入り、食事介助や排泄介助を行うことは日常茶飯事。病院受診の送迎ではドライバーとしてワゴン車を走らせ、時には営繕係のように電球を交換することもありました。まさに「何でも屋」という呼ばれ方をしても仕方がない状況でした。

「私は相談員として入職したのに、なんで介護なんてしてるんだろう…」

そう悩む方も多いと思います。私の場合は、もともと介護職の経験が長かったので、現場に出ること自体は苦痛ではありませんでした。しかし、あまりにも介護業務のウェイトが増えてくると、「自分は何のためにこの仕事をしているんだろう」「専門性が活かされていないのではないか」と疑問を感じたことも正直ありました。

「何でも屋」の経験は絶対に無駄にならない
ただ、今振り返ると、この経験は私のキャリアにとって宝物です。「何でも屋」として動くことで、医療職(看護師)の動き、介護職の苦労、そして施設全体の内情が手にとるように見えてくるからです。情報は現場に落ちています。机上の空論ではない、現場感のあるプランニングができるようになったのはこの時期のおかげです。

さらに私は、介護事務ではありませんでしたが「介護報酬請求(レセプト)」の業務も担当し、新規事業の立ち上げに伴う制度調査なども行いました。これらは介護職では絶対に学べない「経営」や「制度」の裏側を知る絶好の機会でした。お金の流れと人の流れの両方を知ることができたのです。

こうした現場と制度の両方を知る経験を積んだ結果どうなるか。 実は、特養の施設長や部長といった役職には、社会福祉士が就くことが非常に多いのです。私のいた法人もそうでしたが、他の法人を見渡してもその傾向は強いです。現場の苦労を知っているからこそスタッフからの信頼も得やすく、制度を熟知しているからこそ経営判断ができる。泥臭い現場経験と制度知識の両輪が、将来のキャリアを確実に押し上げてくれます。

障害者支援施設や事業所の実態

障害者支援施設や事業所の実態

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障害者福祉の分野は、身体、知的、精神の3つの障害種別によって、求められるスキルや雰囲気が全く異なります。共通しているのは、利用者さんの「自立」や「自分らしい暮らし」を支えることが最大のミッションである点です。

生活支援員としての現場業務

障害者支援施設(入所・通所)では、社会福祉士資格を持っていても、まずは「生活支援員」として現場に入ることが一般的です。高齢者介護との大きな違いは、「コミュニケーション支援」の比重が高いことです。特に知的障害や発達障害のある方の中には、言葉での意思疎通が難しい方もいます。彼らの行動や表情から「何を感じているか」を読み取り、パニックを起こした際には安全を確保しながら落ち着くのを待つなど、専門的な対応スキルが必要になります。身体介助が中心の高齢者介護とはまた違った、精神的なエネルギーを使う仕事です。

就労支援事業所(A型・B型・移行)

「福祉×ビジネス」の視点が必要になるのが、就労支援の現場です。一般企業への就職を目指す「就労移行支援」や、福祉的就労の場である「就労継続支援A型・B型」があります。ここでの業務は、利用者さんへの職業指導だけではありません。むしろ重要なのは、「企業開拓」や「マッチング」です。地域の企業を回って障害者雇用の受け入れをお願いしたり、実習先を探したりといった営業的な動きが求められます。「元営業職」や「一般企業での勤務経験がある」社会福祉士が、そのビジネスマナーや感覚を武器に活躍できるフィールドでもあります。

相談支援事業所での計画作成

ある程度の経験を積んだ社会福祉士におすすめなのが、「相談支援事業所」での仕事です。障害福祉サービスを利用するために必要な「サービス等利用計画」を作成する専門職です。基本的には相談業務と事務作業が中心で、直接的な介助はありません。利用者さんの希望(ニーズ)を聞き取り、ヘルパー、デイケア、グループホームなど、地域のあらゆる社会資源を組み合わせて、その人らしい生活をデザインします。地域の福祉リソースを熟知している必要があり、コーディネーターとしての腕の見せ所です。

【体験談】障害相談支援で直面する命の重み

障害分野の相談支援員について、私が少しだけ関わった経験からお伝えしたいことがあります。それは、この仕事が想像以上に「命の重み」と向き合う仕事だということです。

相談支援員が担当する方の中には、重いうつ病を患っていたり、統合失調症などの精神疾患を抱えていたりする方が多くいらっしゃいます。その中には、希死念慮(死にたいという思い)を抱えている方も珍しくありません。面談の中で発せられる言葉の一つ一つは非常に重たく、私たち支援者がどう返すか、軽々しく答えることが許されない場面も多々あります。

決して綺麗事だけではない現実
支援を通じて、その方が少しずつ元気になり、社会復帰を果たしていく姿を見るのは、言葉にできないほど素晴らしい体験です。この仕事をしていて良かったと心から思える瞬間です。
しかし一方で、残念ながら支援がうまくいかず、自ら命を落としてしまうケースに直面することもあります。その時の無力感や衝撃は計り知れません。「あの時、あんな言葉をかけなければよかったのか」「もっとできることがあったのではないか」と、自問自答する日々が続くこともあります。

非常に精神的な負荷がかかる重たい仕事ではありますが、その分、人の人生の深淵に触れ、社会福祉士としての経験値を圧倒的に高めてくれる仕事でもあります。ただ優しいだけでは務まらない、「誰かの人生を支える覚悟」が問われる現場です。しかし、そこには確かに、他では得られない深いやりがいが存在しています。

児童相談所や学校などの教育機関

児童相談所や学校などの教育機関

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少子化が進む日本ですが、皮肉なことに児童福祉のニーズは爆発的に増えています。虐待、貧困、ヤングケアラー、不登校など、子供を取り巻く課題は複雑化しており、社会福祉士への期待はかつてないほど高まっています。

児童相談所の児童福祉司:命を守る最前線

児童相談所(児相)で働く社会福祉士は、地方公務員の「児童福祉司」として任用されます。ここは間違いなく、福祉の現場の中で最も精神的負担が大きく、責任が重い職場の一つです。24時間365日寄せられる虐待通告に対応し、48時間以内の安全確認(目視)を行うことが義務付けられています。時には警察と連携して家庭に踏み込み、泣き叫ぶ子供を保護することもあります。親権者からは「誘拐だ!」「訴えてやる!」と罵声を浴びせられることも日常茶飯事です。しかし、子供の命を救う最後の砦としての誇りは、他のどの職種よりも強いと言えます。

スクールソーシャルワーカー(SSW):学校と家庭の架け橋

近年、急速に配置が進んでいるのが、学校で働くスクールソーシャルワーカー(SSW)です。先生たちは「教育」のプロですが、家庭の貧困や親のメンタルヘルス不調までは踏み込めないことが多々あります。そこでSSWの出番です。「毎日同じ服を着ている」「給食費が払えていない」といったサインから家庭の困窮を察知し、福祉事務所や児童相談所につなぐ役割を果たします。教師文化の中に福祉の視点を持ち込む仕事であるため、先生たちとの連携に難しさを感じることもありますが、子供たちが安心して学校に通える環境を整えるやりがいは大きいです。

SSWの雇用形態に関する注意点
スクールソーシャルワーカーは非常にやりがいのある仕事ですが、現状では多くの自治体で「非常勤職員」や「会計年度任用職員」としての採用が中心です。週1〜3回勤務といったパートタイム契約が多く、ボーナスや退職金が出ないケースもあります。そのため、SSW一本で生計を立てるのは難しく、他の相談業務と兼業している社会福祉士が多いのが実情です。

病院の相談員として医療に関わる

病院の相談員として医療に関わる

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病院という「医療」のフィールドで働く社会福祉士は、「医療ソーシャルワーカー(MSW: Medical Social Worker)」と呼ばれます。白衣やジャケットを着用し、医師や看護師と肩を並べて働く姿に憧れる学生も多い人気の職種です。

MSWの最重要ミッション:退院支援

MSWの仕事は多岐にわたりますが、現在の医療行政において最も重要視されているのが「退院支援(退院調整)」です。国の政策により、病院の入院日数は年々短縮されています。治療が終われば、すぐに退院して次の患者さんを受け入れなければ病院経営は成り立ちません。しかし、脳卒中などで後遺症が残った患者さんは、今まで通りの生活に戻ることができません。「家には段差が多くて車椅子では暮らせない」「老々介護で妻に負担はかけられない」といった切実な悩みを抱えています。MSWは、入院直後から面談を行い、介護保険の申請や転院先の病院探し、施設の選定などを猛スピードで進めます。

板挟みの葛藤と専門性

MSWが最も「きつい」と感じるのは、「病院の経営論理」と「患者の利益」の板挟みになる瞬間です。上層部からは「ベッドを効率よく回せ」「早く退院させろ」とプレッシャーをかけられますが、目の前の患者さんは「不安だからまだ入院していたい」と訴えます。この相反する要望の間で、ソーシャルワークの倫理に基づき、患者さんの権利を守りながら納得解を導き出すことがMSWのプロフェッショナリズムです。また、医療用語が飛び交うカンファレンスで対等に発言するためには、相当な医学知識の勉強も欠かせません。常に学び続ける姿勢が必要な、高度専門職と言えるでしょう。

公務員として行政や司法で働く

公務員として行政や司法で働く

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「安定した環境で長く働きたい」と考えるなら、公務員として働く道が最も確実です。自治体職員から国家公務員まで、行政・司法分野での社会福祉士のニーズは堅調です。

福祉事務所のケースワーカー(現業員)

都道府県や市町村の職員として採用され、福祉事務所に配属されると、多くは「生活保護ケースワーカー」として働きます。一人あたり80〜100世帯ほどの担当を持ち、定期的に家庭訪問を行って生活状況を確認します。就労指導を行って自立を促したり、病気の治療を勧めたりと、生活全般に関わります。時には不正受給の調査といった厳しい業務もこなさなければなりません。地方公務員としての身分が保障されており、給与や福利厚生は安定していますが、数年おきに異動があるのが特徴です。

司法・更生保護の世界

あまり知られていませんが、法務省管轄の国家公務員として働く道もあります。

  • 法務教官:少年院や少年鑑別所で、非行少年の教育や生活指導を行う。
  • 保護観察官:保護観察所などで、仮釈放中の人や執行猶予中の人の社会復帰を監督・支援する。

これらは「犯罪をした人の立ち直り」を支援する仕事であり、再犯防止という観点から社会福祉士の視点が強く求められています。国家公務員であるため採用試験の難易度は高いですが、その分、給与水準や社会的ステータスは福祉職の中でトップクラスです。

公務員としての働き方やメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

社会福祉士やめとけ?給料の真実と後悔しないキャリア戦略

【体験談】80世帯を担当した生活保護ケースワーカーの記録

私が経験した仕事の中で、社会福祉士の専門知識を最もフル活用でき、ぜひ多くの方に挑戦してほしいと思っているのが「生活保護のケースワーカー」です。 当時、私は一人で80世帯以上を担当していました。想像してみてください。0歳の赤ちゃんから100歳を超える高齢者まで、全世代が支援対象です。

そこには、高齢者問題、児童虐待、障害、DV、貧困、アルコール依存症、そして時には犯罪歴のある方など、あらゆる問題が複雑に絡み合っています。中には裁判沙汰になるようなケースもあり、正直、学校で習った知識だけでは到底太刀打ちできませんでした。毎日必死で勉強し、走り回っていたのを覚えています。

自分で考え、動く「社会資源の開拓」
一番印象に残っているのは、自分で社会資源を開拓しなければならなかったことです。 「食べるものがない」と訴える方のために、市役所内を歩き回って職員から食料をカンパしてもらって提供したり、住む場所がない方のために、夜遅くまで電話をかけ続け、当日泊まれるホテルや旅館を一軒一軒探したりもしました。市内の病院では対応できず、市外の病院をくまなく調べてお願いしに行ったこともあります。 マニュアル通りではなく、目の前の人のために自分の頭で考え、泥臭く動く力が鍛えられました。

ただ、注意点もあります。一つは「バーンアウト(燃え尽き)」のリスク。次々と問題が起こるため、一生懸命やりすぎると心が折れてしまいます。もう一つは「上司ガチャ」です。事務職出身で福祉への理解が薄い上司に当たると、「なぜそこまで支援するのか」と理解されず、どんなに説得してもやりたい支援ができずに苦しむこともあります。私も理解ある上司とそうでない上司の両方を経験したので、この苦しみは痛いほどわかります。

それでも、不動産、税金、医療、障害など、広範囲な知識と連携力が身につくこの仕事は、社会福祉士としての足腰を強靭にしてくれる最高の舞台でした。自分の力で誰かの人生を支えているという手応えは、他のどの仕事よりも強く感じられました。

社会福祉士がどこで働くか選ぶための比較基準

社会福祉士がどこで働くか選ぶための比較基準

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ここまで、社会福祉士が活躍する主要な5つのフィールドについて、その業務内容や役割の違いを見てきました。しかし、いざ自分が就職や転職をするとなると、「結局、自分にはどこが合っているのかわからない」と迷ってしまうことも多いはずです。職場選びで失敗しないためには、漠然と探すのではなく、明確な「比較基準」を持つことが重要です。ここでは、「給料」「きつさ」「将来性」といった、誰もが気になるリアルな視点から各職場を比較・分析していきます。

職場ごとの給料と年収ランキング

「福祉職は給料が安い」というイメージが根強くありますが、これは半分正解で半分間違いです。正確には、「働く場所によって給与格差が非常に大きい」というのが真実です。同じ「社会福祉士」という資格を持って働いていても、就職先が公務員なのか、民間法人なのか、あるいは医療機関なのかによって、生涯年収には数千万円単位の差がつくことも珍しくありません。

以下は、各種統計データや現場の肌感覚に基づいた、分野別の推定平均年収ランキングです。あくまで目安ですが、業界の構造を理解する上で非常に重要な指標となります。

順位 分野・職種 推定平均年収 給与の特徴と背景
1位 司法・更生保護(国家公務員) 600万円以上 国家公務員行政職(一)または専門職の給与表が適用されるため、福祉職としては最高水準です。夜勤や危険手当がつく職種もあり、安定して高収入が望めます。
2位 児童相談所(地方公務員) 530万円〜 地方公務員の給与に加え、虐待対応などの特殊業務に対する手当や、緊急呼び出しに伴う超過勤務手当(残業代)が多く発生する傾向にあります。
3位 行政・福祉事務所(地方公務員) 500万円前後 自治体の規模(政令指定都市か町村か)によりますが、安定した定期昇給とボーナス(期末・勤勉手当)が約束されています。退職金も民間より手厚いです。
4位 社会福祉協議会 470万円前後 準公務員的な立ち位置であり、多くの社協が自治体の給与体系に準拠しています。飛び抜けて高くはありませんが、安定性は抜群です。
5位 医療機関(MSW) 380〜450万円 母体となる病院の経営規模に完全に依存します。大学病院や大規模な総合病院であれば公務員並みの待遇ですが、中小の病院では昇給が頭打ちになることもあります。
6位 高齢者・障害者施設 350〜450万円 夜勤の有無が年収に直結します。近年は「処遇改善加算」により改善傾向にありますが、基本給自体は低めに設定されていることが多いです。

この表から分かるように、「高収入を目指すなら公務員(行政・司法)」というのが揺るぎない事実です。これは、公務員の給与が税金を原資としており、民間の福祉事業所が「介護報酬」や「障害福祉サービス等報酬」という公定価格(国が決めた価格)の上限の中でやりくりしなければならないという構造的な違いによるものです。

ただし、民間施設であっても、施設長やエリアマネージャーといった管理職になれば、年収500万円〜600万円以上を目指すことは十分に可能です。「現場で実績を上げて早く出世したい」という上昇志向のある方にとっては、年功序列の公務員よりも民間の方が早く収入アップできる可能性もあります。就職活動の際は、初任給だけでなく「モデル年収」や「昇給率」を必ず確認するようにしましょう。

なお、実際の就職市場における厳しさや、統計データだけでは見えない実情については、以下の記事でさらに詳しく掘り下げています。

社会福祉士は就職できない?統計と実体験で見る真実

仕事がきついと感じる精神的負担

仕事がきついと感じる精神的負担

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「福祉の仕事はきつい」とよく言われますが、その「きつさ」の中身は職場によって全く異なります。自分が「体力的な辛さ」には耐えられるけれど「精神的なプレッシャー」には弱いのか、あるいはその逆なのか。自分の適性とストレス耐性を見極めることが、長く働き続けるためのカギとなります。

分野別の「きつさ」の傾向と対策

1. 高齢者施設(特養・老健など):肉体的なきつさ

介護業務を兼務する場合、入浴介助や移乗介助による「腰痛」は職業病とも言えます。また、夜勤がある場合は生活リズムが不規則になり、体力的な消耗が激しいです。「看取り」の場面も多く、親しくなった利用者さんとの別れを繰り返すことによる「喪失感(グリーフ)」も負担になります。
【向いている人】体を動かすのが好きな人、お年寄りと話すのが純粋に好きな人。

2. 児童・障害・司法分野:感情労働としてのきつさ

この分野では、利用者さんからの「暴言」や「暴力」のリスクと隣り合わせです。また、虐待を受けた子供の生々しい傷跡を見たり、親からの理不尽なクレームを受け続けたりすることで、支援者自身の心がすり減ってしまう「共感疲労」や「燃え尽き症候群(バーンアウト)」のリスクが高い領域です。「助けたいのに、法的・制度的な壁で助けられない」という無力感に襲われることもあります。
【向いている人】感情の切り替えが上手な人、チームで悩みを共有できる人。

3. 医療・行政分野:板挟みのジレンマ

病院や役所では、組織の論理が優先される場面が多々あります。「本当はもっと入院させてあげたいけれど、病院のルールで退院させなければならない」「本当は保護してあげたいけれど、要件を満たさないので却下しなければならない」といった、自分の良心と組織のルールの間で葛藤する「倫理的ジレンマ」が最大のストレス要因です。多職種連携の中での人間関係(医師や上司との対立など)に悩むことも多いです。
【向いている人】論理的に物事を考えられる人、交渉や調整が得意な人。

どの職場を選んでも、対人援助職である以上、ストレスゼロということはあり得ません。重要なのは、「そのストレスに見合うだけのやりがいを感じられるか」です。例えば、「暴力は怖いけれど、子供が笑顔を取り戻した時の喜びは何物にも代えがたい」と思えるなら、児童分野は天職になるでしょう。自分が「何のためなら頑張れるか」を自問自答してみてください。

参考データとして、厚生労働省の調査によると、福祉・介護職員が辞めた理由の上位には常に「職場の人間関係」や「法人・事業所の理念への不満」がランクインしています。業務そのもののきつさ以上に、誰と働くかが重要であることがわかります。
(出典:厚生労働省『令和4年度介護労働実態調査』

企業や産業分野での新しい働き方

これまでは「福祉施設」や「病院」が主な職場でしたが、近年、一般企業の中で働く社会福祉士が注目されています。これが「産業ソーシャルワーカー」「企業内福祉」と呼ばれる新しい働き方です。

背景にあるのは、「健康経営」への関心の高まりや、労働力不足による人材確保の必要性です。企業は今、社員が心身ともに健康で働き続けられる環境を整えることに必死になっています。そこで、生活課題の解決プロフェッショナルである社会福祉士に白羽の矢が立っているのです。

具体的な業務としては、以下のようなものがあります。

  • メンタルヘルス対策:うつ病などで休職した社員の復職支援(リワーク)や、ストレスチェック後の面談対応。
  • 仕事と介護の両立支援(ビジネスケアラー支援):親の介護に直面した社員が離職しないよう、介護保険制度の案内やケアマネジャーとの調整を行う。
  • 障害者雇用の定着支援:障害者雇用枠で採用された社員が、職場に適応できるよう環境調整や相談に乗る(ジョブコーチ的な役割)。

この分野の魅力は、何といっても「土日祝休み」「夜勤なし」「一般的なビジネスマナーが通じる環境」といった働きやすさです。給与水準も上場企業などであれば比較的高くなります。ただし、求人数はまだ非常に少なく、「人事部」や「総務部」の枠で採用されるケースが多いため、狭き門であることは覚悟しておく必要があります。「社会福祉士×人事経験」「社会福祉士×キャリアコンサルタント」といった掛け合わせが強力な武器になります。

ダブルライセンスで広がる就職先

ダブルライセンスで広がる就職先

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社会福祉士は「名称独占資格」であり、持っているだけで就職が確約されるわけではありません。しかし、他の資格と組み合わせる「ダブルライセンス(またはトリプルライセンス)」になることで、市場価値は跳ね上がり、選べる職場の選択肢が劇的に広がります。ここでは、相性の良い最強の組み合わせを紹介します。

1. 社会福祉士 + 精神保健福祉士(PSW)

【おすすめの職場】精神科病院、メンタルクリニック、障害者相談支援事業所
これは福祉業界における「最強のタッグ」です。社会福祉士が「生活全般の制度」に強いのに対し、精神保健福祉士は「メンタルヘルスの専門知識」に特化しています。精神的な課題を抱えながら地域で暮らす人が増えている現在、両方の視点を持つ人材はどこでも喉から手が出るほど欲しがられます。多くの大学や養成校で同時取得が可能になっているため、学生の方は迷わず両方取得することをお勧めします。

2. 社会福祉士 + 介護支援専門員(ケアマネジャー)

【おすすめの職場】地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、特養・老健の管理者
高齢者分野でキャリアアップを目指すなら、この組み合わせが王道です。特に地域包括支援センターのセンター長や、施設の施設長を目指す場合、ケアマネジャーの資格を持っていることが要件や優遇条件になることが多々あります。社会福祉士として5年の実務経験を積んだ後に受験資格が得られるため、中堅職員の目標となる資格です。

3. 社会福祉士 + 公認心理師

【おすすめの職場】児童相談所、スクールソーシャルワーカー、産業分野
「福祉」による環境調整と、「心理」による内面へのアプローチの両方ができる人材は、特に児童分野や教育現場で重宝されます。虐待や不登校といった複雑な問題に対し、多角的な視点で支援ができるため、専門職としての信頼度が格段に上がります。

ダブルライセンスを目指す動機や、それぞれの資格がどのように現場で活きるかについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

社会福祉士を目指す理由:動機と現実、将来性まで解説

社会福祉士としてどこで働くべきか

ここまで、社会福祉士の多様な就業場所について解説してきましたが、最後に一つだけお伝えしたいことがあります。それは、「最初に入った職場が、あなたの福祉人生のすべてではない」ということです。

社会福祉士という国家資格は、いわば福祉業界における「最強のパスポート」です。この資格さえあれば、高齢者介護の世界から障害者支援へ、あるいは病院から行政へと、キャリアを柔軟にチェンジすることが可能です。

「新卒の時は体力があったから特養でバリバリ働いたけれど、結婚して子供ができたら夜勤のない社協や地域包括支援センターに転職した」「最初は行政のケースワーカーだったけれど、もっと一人ひとりと深く関わりたくて独立型社会福祉士になった」というように、ライフステージや興味関心の変化に合わせて、働く場所を変えていけるのがこの仕事の最大の魅力です。

ですから、今の時点で「絶対にここじゃなきゃダメだ」と悩みすぎる必要はありません。まずは「今の自分が一番関心を持っていること」「今の自分が大切にしたい条件」を優先して選んでみてください。どの現場を選んだとしても、そこで培った「相談援助のスキル」と「人の人生に寄り添った経験」は、必ず次のステップでも活かされます。

この記事が、あなたが自分らしく輝ける「居場所」を見つけるための、良き羅針盤となることを願っています。

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