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こんにちは。福祉キャリア羅針盤、運営者の「福祉屋」です。ネットで検索していると「社会福祉士 やめとけ」という言葉を目にして不安になることがありますよね。給料が安くて結婚できないとか、男性は悲惨だとか、資格を取っても意味ないとか言われると、将来性が心配になってしまう気持ちはよくわかります。オワコンと言われる理由や独占業務の壁など、ネガティブな噂の真偽について、私の実体験を交えてお話しします。
- 社会福祉士が「やめとけ」と言われる具体的な理由と給与構造
- 田舎と都会で異なる待遇の実態と「逆転現象」のカラクリ
- 資格の価値を最大化してキャリアアップするための具体的な戦略
- 実際に私が経験した転職とスキルアップによる年収向上のロードマップ
社会福祉士やめとけという声の真実

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まず、なぜこれほどまでに「やめとけ」というネガティブな言葉が検索されているのか、その背景にある構造的な問題と現実の待遇について、綺麗事抜きで解説していきましょう。「火のない所に煙は立たぬ」と言いますが、この業界には確かに、外からは見えにくい構造的な歪みが存在しています。
給料が低いと言われる年収の現実
「福祉の仕事は給料が低い」というのは、残念ながら今の日本では定着してしまっているイメージですよね。私が高校生の頃は、まだ介護保険も始まる前で、福祉といえば老人ホームという牧歌的なイメージが強く、周囲から「やめとけ」なんて言われることはなかったと記憶していますが、今は状況が少し違います。
実際のところ、データで見るとどうなっているのでしょうか。厚生労働省の統計などを参考に、年齢階層別の推定年収を見てみましょう。
| 年齢階層 | 推定平均年収 | キャリアの状況と課題 |
|---|---|---|
| 20~24歳 | 約318万円 | 初任給レベル。介護職員と大差ない水準からのスタート。奨学金の返済があると生活はカツカツになることも。 |
| 25~29歳 | 約346万円 | 経験を積み始めるが伸び率は非常に緩やか。結婚を意識し始める時期だが、経済的な壁を感じやすい。 |
| 30~34歳 | 約385万円 | 現場では中堅として頼られるが、年収400万円の壁は厚い。ここで将来に不安を感じて離職する人が増える。 |
| 35~39歳 | 約424万円 | 現場リーダー層。夜勤や残業代を含まないとこの水準に達しない場合も多い。体力的にもきつくなってくる時期。 |
| 40~44歳 | 約454万円 | 管理職への登用時期。ここでの昇進有無がその後の年収を大きく分ける分水嶺となる。 |
| 45~49歳 | 約480万円 | 施設長や事務長クラスでなければ、これ以上の大幅な上昇は望みにくい。一般企業の同年代との格差が最大化する。 |
| 50~54歳 | 約451万円 | 役職定年や現場第一線からの退きにより、年収が減少傾向に転じる可能性すらある。 |
この表を見ていただくと分かる通り、全産業の平均と比べると低い水準にあることは否めません。特に問題なのは「昇給カーブの平坦さ」です。一般企業であれば、勤続年数に応じて順調に給料が上がり、50代でピークを迎えるのが一般的ですが、社会福祉士の場合、現場職員のままでは昇給の上限がすぐに来てしまいます。
しかし、悪いことばかりではありません。私が一般企業の営業職を経験して痛感したのは、「売上がなければ会社が潰れる」という恐怖です。その点、福祉業界は公的保険制度(税金と保険料)で賄われているため、「よほどの不正でもしない限り、会社が潰れることはない」という圧倒的な安定感があります。給料の爆発力はありませんが、生活の基盤が脅かされない点は、ローンを組む際などに大きな強みとなります。(出典:厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』)
田舎の方が高待遇?社会福祉士の意外な給料事情

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「給料が低いから、少しでも条件の良い都会に出よう」と考える方もいるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。実は私の実体験として、そして業界の知られざる事実として、「田舎の方が給料が高い」という不思議な逆転現象が起きている場所があるのです。
私は現在、地方のかなり田舎の地域に住んでいますが、私の友人はさらに奥地の、いわゆる「超田舎」で福祉の仕事をしています。常識的に考えれば、都市部の方が最低賃金も高く、給料が高いはずですよね。ところが、実際にはその友人の方が私より給料が多いのです。介護報酬という収入の元手は全国ほぼ同じ仕組み(地域区分による多少の差はあれど)なのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
人手不足の田舎ほど、人材の価値が暴騰する
理由は「需給バランス」の崩壊にあります。田舎になればなるほど、若くて資格を持った優秀な人材は極めて貴重です。そもそも人が集まらないため、法人は「お金を出してでも人を集めたい」「多少高くても資格者を確保しないと運営基準を満たせない」と必死になります。その結果、処遇改善加算などをフル活用し、競合が少ない地域の方が、逆に好待遇で迎えられることがあるのです。
一方で、都会は確かに求人の絶対数は多いですが、社会福祉士の養成校も多く、毎年多くの新卒者が供給されます。競合他社も多いため、優秀な人材はひっぱりだこである反面、代わりもまたすぐに見つかる環境とも言えます。「田舎だから稼げない」とあきらめる必要は全くありません。むしろ、生活コスト(家賃など)が安い田舎で高待遇の求人を見つけることができれば、可処分所得は都会で働くよりもずっと多くなる可能性があるのです。これは、求人サイトの数字だけでは見えてこない、現場のリアルな生存戦略の一つです。
人間関係のストレスと精神的負担
経済的な理由以上に「やめとけ」と言われる原因になり、多くの志ある人を退職に追い込むのが、精神的な負担です。社会福祉士の仕事は、自分の感情をコントロールして相手を支援する、典型的な「感情労働」です。
私たちが日々向き合うのは、貧困、虐待、DV、身寄りのない方の孤独死、複雑に絡み合った家庭問題など、人生の最も困難で重たい局面です。「困っている人を助けたい」という純粋な使命感が強い人ほど、クライエントの苦しみに深く共感しすぎてしまい、相手の痛みを自分のものとして背負い込んでしまいます。その結果、気づかないうちに心がすり減り、「共感疲労」で燃え尽きてしまう(バーンアウト)リスクが常に隣り合わせにあります。
板挟みという構造的ストレス
さらにきついのが、職場内の「板挟み」です。社会福祉士は「調整役」ですが、それは全方位から文句を言われる役回りでもあります。
医療現場では医師の指示が絶対視されるヒエラルキーがあり、「ソーシャルワーカーの意見なんて聞いていない」と軽視されることもあります。一方で、介護現場では「相談員は現場の大変さを分かっていない」「口先だけで手伝ってくれない」と、介護職員から反発を受けることも日常茶飯事です。
利用者様やご家族からの理不尽な要求(カスタマーハラスメント)に耐え、上司と現場の板挟みに遭いながら、それでも笑顔で支援を続ける。この精神的なコストは確実に心身を蝕んでいきます。心が限界を迎える前に、社会福祉士が精神的に追い詰められる構造と、そこから自分を守る術を学んでおくことが大切です。
以下の記事では、社会福祉士が「病む」と言われる背景と、メンタルを削らずに働き続けるための生存戦略を詳しく解説しています。
社会福祉士が病む構造的理由とキャリアを守る生存戦略
資格が意味ないと感じる独占の壁
「苦労して大学を出て、国家試験に合格したのに、無資格の同僚と同じ仕事をしている」。これが、若手社会福祉士のモチベーションを最も削ぐ要因かもしれません。
社会福祉士は、医師や看護師のような「業務独占資格」ではなく、「名称独占資格」という法的な位置づけです。ここが決定的な弱点です。
つまり、法律上は社会福祉士の資格がなくても、「生活相談員」や「支援員」という肩書きで採用されれば、私たちと全く同じ相談援助業務を行うことができるのです。経営者の視点に立てば、あえて高給な有資格者を雇うインセンティブが働きにくい構造があるのです。「頑張って勉強した資格に、市場価値としてのプレミアがつかない」。この無力感こそが、「資格なんて取っても意味ない、やめとけ」という言説の正体です。
男性の社会福祉士は悲惨なのか

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ネットの掲示板などでは「男性の社会福祉士は結婚できない」という書き込みを見かけますが、これは半分正解で、半分間違いだと私は思います。確かに30代〜40代で年収400万円台前半で頭打ちになるケースが多く、専業主婦のパートナーと子供を養うには厳しい現実があります。
しかし、私の周りを見渡しても、戦略的にキャリアを積んでいる男性職員は、しっかりと生計を立てています。彼らは現場の相談員で終わるのではなく、若いうちから管理職や施設長を目指したり、独立したりしています。「思考停止で平社員のまま居続けると厳しい」というのが真実であり、どのポジションを目指すかによって、未来は天と地ほど変わります。
将来性がないオワコン説を検証

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最近では「AIに仕事を奪われるから社会福祉士はオワコンだ」「社会福祉士は需要がない」という説も飛び交っていますが、私はこれには懐疑的です。むしろ、逆だと思っています。
社会福祉士の本当の価値であるコア業務、すなわち「複雑な感情を抱えた人間同士の利害調整」や「信頼関係の構築」は、AIが最も苦手とする分野です。人間味のある「お節介」や「寄り添い」こそが価値を生むのです。
「需要がない」という噂の真偽と、今後の将来性については以下の記事で統計データとともに深掘りしています。不安を感じている方は、まず事実を確認してみてください。
「社会福祉士は需要ない」は嘘?将来性と給与、体験談で解説
社会福祉士やめとけを回避する戦略

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絶望する必要はありません。構造的な課題があることを知った上で、適切に振る舞えば、十分に豊かなキャリアを築くことは可能です。ここからは、具体的な生存戦略についてご紹介します。
公務員試験で安定と高待遇を狙う
最も確実かつ最短で待遇を良くする方法、それはやはり「公務員(福祉職)」になることです。私も市役所の正規職員として働いていましたが、その安定感と待遇は民間とは別格でした。
公務員社会福祉士の圧倒的メリット
- 年収アップ: 毎年確実に昇給し、賞与(ボーナス)も約4.5ヶ月分が保証されます。
- 休日と福利厚生: 土日祝日が休みの完全週休2日制が基本。ワークライフバランスが劇的に改善します。
- 社会的信用: 住宅ローンの審査などで絶大な信用力があります。
最近は「社会人経験者枠」として年齢制限を緩和する自治体も増えているので、チャンスは広がっています。
ダブルライセンスで市場価値向上

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「名称独占資格の弱点」を補うには、別の資格を掛け合わせて希少性を高める「ダブルライセンス戦略」が有効です。私自身、社会福祉士を取得した後にケアマネジャーの資格も取りましたが、これにより「プランも作れてマネジメントもできる人材」へと見られ方が変わり、年収交渉が非常に有利になりました。
職種を変える転職でキャリアと年収を伸ばす方法

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年収を上げるための最も重要な戦略は、「福祉という軸は変えずに、職種や場所(ドメイン)を意図的にスライドさせる」ことです。多くの人は、同じ職種の中で場所を変える「横滑り転職」をしがちですが、これでは年収の大幅アップは望めません。
「今の職場でこれ以上成長できない」「介護現場から次のステップへ進みたい」と考えているなら、年代や職種に応じた正しい転職戦略を練る必要があります。
介護から転職できないは嘘?年代別・職種別の成功戦略を徹底解説
社会福祉士やめとけの結論と対策
結論として、「社会福祉士やめとけ」という言葉は、職業の全否定ではありません。私はこの言葉を、「(戦略を持たずに)無防備なまま、条件の悪い職場環境に飛び込むのはやめとけ」という先人からの警告だと捉えています。
社会福祉士は、資格さえ取れば一生安泰という甘い世界ではありません。しかし、資格を武器に職種を変え、マネジメント力をつけ、働く場所を戦略的に選べば、十分に食べていける素晴らしい仕事です。思考停止せずに動き続ければ、必ず道は開けます。このブログが、あなたのキャリアの「羅針盤」として役立つことを願っています。