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介護福祉士と看護師どっちが上?給料と地位の格差を徹底比較

介護福祉士と看護師の格差の正体と現場での生存戦略を解説するスライドの表紙。

福祉キャリア羅針盤イメージ

こんにちは。福祉キャリア羅針盤、運営者の「福祉屋」です。

現場で汗を流して働いていると、ふとした瞬間に「介護福祉士と看護師、結局どっちが上なんだろう?」という素朴な疑問、いや、時にはやり場のない憤りにも似た感情が湧いてくること、ありませんか?
休憩室で看護師さんのボーナスの話を聞いて愕然としたり、現場で「指示待ち」にならざるを得ない自分たちの立場にモヤモヤしたり。あるいは、偏差値や学校の難易度といった入り口の違いを突きつけられて、なんとなく引け目を感じてしまうこともあるかもしれません。

インターネットで検索すれば「看護師の方が偉い」「いや、介護だって専門職だ」なんて議論が飛び交っていますが、現場の空気感はそんな単純な言葉では片付けられない、もっと生々しい「カースト」や「ヒエラルキー」を含んでいます。時には偉そうに見える看護師さんの態度に傷つき、仲悪いと言われる対立構造に疲弊し、「見下されているのではないか」という不安に駆られることだってあるでしょう。

この記事では、そんな現場のリアルな悩みや待遇の格差に真正面から向き合い、綺麗事抜きで「両者の違い」を解剖してみたいと思います。読み終える頃には、そのモヤモヤの正体が分かり、明日からの仕事に少しだけ自信を持って臨めるようになるはずです。

  • 給料や待遇に存在する具体的な格差と現実的な金額差
  • 資格取得に向けた偏差値の違いや学校生活の厳しさ
  • 現場で感じる上下関係や職種間カーストの正体
  • 現状の悩みを解消するための連携のコツやキャリア選択

介護福祉士と看護師どっちが上か?給料や地位の現実

介護福祉士が抱く「給料の桁が違う」「指示されるばかり」「見下されているような視線」という現場の悩みを表したイラスト。

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まずは感情論を抜きにして、実際の数字や制度がどうなっているのかを直視することから始めましょう。お金の話や法律の話は少しドライに聞こえるかもしれませんが、この「現実」を正確に把握せずに「どっちが上か」を論じることはできません。私自身が現場で見聞きしてきた情報や、客観的なデータを交えて、リアルな実情を整理してみます。

介護福祉士と看護師の年収と給料の格差

看護師(年収500万超)と介護福祉士(年収350〜400万)の格差と、夜勤手当や生涯賃金の差を示す比較図。

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やはり、働く上で一番気になるのは「お給料」の話ですよね。ここに関しては、正直なところ明確な「壁」が存在していると言わざるを得ません。求人票を見比べてため息をついた経験がある方もいるのではないでしょうか。

厚生労働省の統計データなどを確認すると、フルタイムで働く正規職員の場合、看護師と介護福祉士の間には、年収ベースで約100万円〜150万円ほどの大きな格差があることが分かります。月額に換算すれば毎月10万円近く、あるいはそれ以上の開きが出ることになります。

なぜここまで金額に差が出るのか

この差を生み出している最大の要因は、基本給の設定もさることながら、「賞与(ボーナス)」と「夜勤手当」の単価の違いです。以下の表で、その構造的な違いを見てみましょう。

項目 看護師(正規職員) 介護福祉士(正規職員) 備考
月額給与 約35万円〜 約24万円〜 資格手当や職務手当の差が大きい
夜勤手当(1回) 10,000円〜20,000円 4,000円〜8,000円 リスクに対する対価の差が反映
年間賞与 約80万円〜100万円超 約40万円〜60万円 基本給×月数で計算するため差が開く
推定年収 約500万円超 約350〜400万円 勤続年数による昇給幅も看護師が有利

 

特に夜勤手当の差は大きいです。同じように夜通し起きて、ナースコールやセンサー対応に追われているのに、看護師さんは1回1万5千円、介護職は6千円…なんて職場も珍しくありません。これは、「夜間の急変対応」や「医療処置」に対する責任の重さ(リスクプレミアム)が価格に反映されているためです。

処遇改善加算の効果と限界

もちろん、国も手をこまねいているわけではなく、「介護職員処遇改善加算」や「特定処遇改善加算」によって、介護職の給料は以前より確実に上がっています。特にリーダー級の介護福祉士であれば、年収450万円〜500万円に届くケースも出てきました。
しかし、看護師の給与水準も(特に病院勤務の場合は)非常に高いため、その背中は依然として遠いのが実情です。さらに、生涯賃金(就職してから定年まで稼ぐ総額)で考えると、その差は単純計算でも4,000万円〜5,000万円規模になると推計され(年収差×勤続年数)、マンション購入や子供の教育費といったライフプランにも影響を及ぼすレベルです。

参考データ
厚生労働省の統計でも、医療・福祉分野における職種別の賃金格差は明確に示されています。詳細な数値を確認したい方は、公的なデータを参照してみるのも良いでしょう。
(出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

偏差値や資格取得の難易度を徹底比較

看護師の「医学モデル(ゼロ・エラーの重圧)」と介護福祉士の「実践モデル(生活支援の知恵)」の教育背景の違いを比較した図。

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次に、「入り口」の違い、つまり資格を取得するまでのプロセスについて掘り下げてみます。「看護師さんは頭が良いから…」という言葉をよく耳にしますが、これは単に「偏差値が高い」というだけの話ではないんです。資格を手にするまでの教育課程の過酷さと密度の違いが、プロとしての自負(プライド)の差に繋がっている側面があります。

看護師養成課程の壮絶さ

看護師になるためには、看護専門学校(3年)や看護大学(4年)に通う必要がありますが、ここの生活は想像を絶する厳しさです。

  • 解剖生理学の壁: 人体の骨、筋肉、神経、ホルモンの一つ一つを暗記し、機能メカニズムを理解しなければなりません。
  • 実習のプレッシャー: 病院での臨地実習では、実際に患者さんを受け持ちます。睡眠時間を削って膨大な看護記録を書き、指導者(厳しい看護師さん)から毎日のように厳しい指導を受けます。「根拠は?」「なんでそうしたの?」と詰められ、涙を流す学生も少なくありません。
  • 留年の恐怖: 単位認定が非常に厳しく、国家試験を受ける前に学校を去らざるを得ない学生も一定数います。

そして極めつけは国家試験です。合格率自体は90%前後と高いですが、これは「受かる見込みのある学生しか受験させてもらえない」という学校側のフィルターがあるためです。さらに「必修問題」というジャンルでは80%以上正解しないと、他が満点でも不合格になるという絶対基準があります。

介護福祉士の多様なルート

一方で、私たち介護福祉士の資格取得ルートはもう少し間口が広いです。最も主流なのは「実務経験3年 + 実務者研修」を経て国家試験を受けるルートでしょう。
これは「働きながら資格が取れる」という素晴らしいシステムであり、経済的な事情がある方や、社会人からの再チャレンジ組にとっては大きな救いです。しかし、裏を返せば「学校でみっちり学問として学んでいなくても、現場経験があれば受験資格が得られる」ということでもあります。

「アカデミック」か「実践」か
看護師が「学校での体系的な医学教育」をバックボーンに持つのに対し、介護福祉士は「現場での実践知」をバックボーンに持つことが多いです。

この「学生時代にどれだけ医学的な知識を詰め込み、アカデミックな訓練を受けたか」という経験値の差が、現場で看護師さんが見せる「自信」や、時に私たちが感じてしまう「引け目」の正体の一つなのかもしれません。

現場での立場やカースト等のヒエラルキー

「カースト」なんて言葉はあまり使いたくありませんが、病院や施設の中で暗黙の了解として存在するヒエラルキーのような空気感、確かにありますよね。これは働く場所(セッティング)によって、その強弱や形が少し変わってきます。

病院(医療モデル)における絶対王政

まず、病院、特に急性期病院や療養型病院においては、ヒエラルキーは非常に強固です。
頂点に「医師」がいて、その指示を実行する「看護師」がいて、そのサポートや生活援助を行う「看護助手(介護職)」がいる。このピラミッド構造は絶対的です。

病院の目的は「治療(Cure)」であり、患者さんの病気を治して退院させることが最優先ミッションです。そのため、医学的な判断ができる職種が強い権限を持つのは、組織の機能としてある意味当然のことです。ここでは、介護職が「利用者さんの楽しみ」を提案しても、「治療の妨げになる」「スケジュールが乱れる」と一蹴されてしまうことが多々あります。

特養(生活モデル)における逆転現象と限界

ところが、これが特別養護老人ホーム(特養)やグループホームといった「生活の場」になると、少し景色が変わります。
ここでは「いかにその人らしく最期まで暮らすか」という生活(Care)が主役になります。施設の施設長が介護職出身だったり、現場のリーダーが介護福祉士だったりするため、介護職の発言権がグッと強くなります。

「病院じゃないんだから、もう少し自由にさせてあげたい」「好きなものを食べさせてあげたい」
そんな介護職の意見が通りやすくなり、逆に病院から転職してきたばかりの看護師さんが「管理しすぎだ」と浮いてしまうことさえあります。

それでも消えない「いざという時」の格差
しかし、そんな特養であっても、利用者さんが高熱を出したり、急変したりした瞬間、空気は一変します。「看護師さん、どうしましょう!」「救急車呼びますか?」と、全員が看護師さんの判断を仰ぐことになります。

平時は対等、あるいは介護優位に見えても、命に関わる局面では看護師が全権を握る。この「最終責任者」としての不可侵な領域が、現場のヒエラルキーを根底で支えているのです。

医療行為の権限と役割の違いによる格差

看護師の「診療の補助」と介護福祉士の「生活支援」の領域、および喀痰吸引などのタスクシフトと指揮命令系統を示したベン図。

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「どっちが上か」という議論の核心部分は、やはり「法的に何ができるか」という業務独占の範囲に行き着きます。ここには、努力や経験だけでは越えられない「法律の壁」が存在します。

「診療の補助」という強力な武器

看護師は「保健師助産師看護師法(保助看法)」において、「療養上の世話」に加えて「診療の補助」を行うことが認められています。
具体的には、採血、点滴、静脈注射、カテーテルの管理、創傷処置など、人体に侵襲(ダメージ)を与える可能性のある「医行為」を、医師の指示の下で実施できるのです。

これは国が「この人たちなら、専門教育を受けているから、リスクのある行為をやらせても大丈夫」とお墨付きを与えていることを意味します。医療現場において、この「手が出せる」権限は絶大です。

介護福祉士の「生活支援」とタスクシフト

一方、介護福祉士の業務は「社会福祉士及び介護福祉士法」で「心身の状況に応じた介護」と定義されています。基本的には医行為は禁止されています。
近年、法律の改正により「喀痰吸引」や「経管栄養」の一部が、所定の研修(喀痰吸引等研修)を受けた介護職員にも認められるようになりました。これは大きな変化ですが、それでも以下の条件がつきます。

  • あくまで「医師の指示書」が必要であること。
  • 看護師との連携体制が確保されていること。
  • 実施できる行為が限定的であること。

つまり、自律的な判断で医療行為ができるわけではなく、あくまで「タスクシフト(業務の移管)」として、限定的に認められているに過ぎません。
「ここから先は看護師さんじゃないとダメ」「この処置は介護職には触らせられない」。この線引きが明確にある以上、業務フローの中で「依頼する側(看護師)」と「依頼される側(介護職)」、あるいは「許可を出す側」と「許可をもらう側」という構造が固定化されてしまうのです。

偉そうと言われる看護師の法的背景

看護師の「言い方がキツイ」「指示ばかり」という態度の水面下に、免許剥奪や業務上過失致死傷罪、損害賠償のリスクがあることを示す氷山のイラスト。

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現場で働いていると、「あの看護師さん、なんであんなに言い方がキツイんだろう」「偉そうに指示ばかりして…」と感じてしまうこと、正直ありますよね。私も若い頃は、ナースステーションに入るのが怖くて仕方ありませんでした。

でも、長年この業界にいて分かってきたのは、あの「偉そうな態度」の裏側には、彼らなりの強烈なプレッシャーと法的背景があるということです。

免許を賭けた戦い

看護師は、常に「業務上の注意義務」という重い法的責任を背負っています。もし自分の判断ミスや確認不足で患者さんが亡くなったり、障害が残ったりした場合、民事上の損害賠償だけでなく、業務上過失致死傷罪という刑事責任を問われる可能性があります。さらに、最悪の場合は看護師免許の剥奪もあり得ます。

だからこそ、彼らは「確認」に執着します。
「その食事形態、本当に合ってる?誤嚥したらどうするの?」「その移動方法、転倒リスクはないの?」
介護職からすれば「細かいこといちいちうるさいな…」と思うような指摘も、看護師からすれば「患者の命と自分の人生を守るための防衛ライン」なのです。

「エビデンス」文化の違い
また、看護教育では徹底して「根拠(エビデンス)」を求められます。「なんとなく元気がない」という報告が看護師に嫌われるのは、それが科学的な根拠になっていないからです。「根拠がない行動はリスクでしかない」と教え込まれているため、感覚的なケアを重視する介護職に対して、どうしても指導的な口調になってしまう傾向があるのです。

「偉そう」に見えるその態度は、実は「怖がっている」ことの裏返しかもしれません。そう考えると、少しだけ見方が変わりませんか?

実際、私自身の経験を振り返っても、この「怖さ」や「プレッシャー」には共感できる部分があります。かつて私が公務員として生活保護のケースワーカーをしていた頃、人の命に直結する判断を迫られる場面がありました。「自分のこの判断が、後で議会で問題になったりしないか?」と常に緊張し、慎重にならざるを得なかった記憶があります。
もちろん職種は違いますが、看護師さんが現場で感じている「半端ではない重圧」も、これに近いものがあるのだと思います。特に命に関わる場面で考え込んでしまう彼女たちの姿を見ると、「偉そう」なのではなく「必死」なのだと理解できるようになりました。

介護福祉士と看護師どっちが上か悩む人への解決策

看護師の「生命の安全(リスク管理)」と介護職の「生活の質(自己決定)」という、二つの正義のバランスを示す天秤のイラスト。

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ここまで、給料、教育、法律といった構造的な違いを見てきました。「やっぱり看護師の方が上なのか…」と落ち込んでしまった方もいるかもしれません。でも、ここで思考停止してしまっては、明日からの仕事が辛いままです。

ここからは、そんな現実を踏まえた上で、現場で私たちがどう振る舞い、どうキャリアを考えていけばいいのか。具体的な「生存戦略」と「解決策」をお話しします。

現場で仲悪いと言われる対立の構造

「介護と看護は水と油」「犬猿の仲」なんて言われることもありますが、個人的には、これは「性格が合わない」という単純な話ではないと思っています。対立の原因は、もっと構造的な「見ている景色の違い(視点のズレ)」にあります。

Cure(治療)vs Care(生活)の正義のぶつかり合い

以下の表を見てください。両者はそれぞれの「正義」に基づいて動いています。

職種 最優先ミッション 重視する価値観 具体的な行動原理
看護師 生命の安全・治療 リスク管理・安静・管理 「転倒したら危ないから車椅子で」「熱があるから入浴中止」
介護士 生活の質(QOL)・自立 自己決定・楽しみ・尊厳 「歩きたいという希望を叶えたい」「楽しみのお風呂に入れてあげたい」

例えば、微熱がある利用者さんの入浴介助。
介護職は「本人が入りたがっているし、さっぱりさせてあげたい。入浴が生きがいなんだ」と考えます。これは「生活の質」を守ろうとする正義です。
一方、看護師は「入浴で体力を消耗して、肺炎が悪化したらどうする。バイタルも不安定だ」と考えます。これは「生命の安全」を守ろうとする正義です。

この二つがぶつかった時、現場では「看護師が介護の提案を却下した」という形になりがちなので、そこに感情的なしこりが生まれます。でも、これは「意地悪」をしているのではなく、「守ろうとしているものが違う」だけなのです。
「仲が悪い」と嘆く前に、「今は生活をとるべきか、安全をとるべきか」という議論に持ち込むことができれば、不毛な対立は減らせるはずです。

看護師に見下されると感じる心理的要因

看護師の「点」の観察に対し、介護職が24時間の生活全般を「線」で観察していることを示すタイムライン図。

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もしあなたが、日々の業務の中で「看護師に見下されている」と感じて辛い思いをしているなら、少し立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
それは、「相手の土俵で相撲をとっていないか?」ということです。

医療知識や処置の技術、病態生理の理解。この土俵で勝負を挑めば、どうしたって看護師さんには勝てません。相手はそこを3年も4年も専門的に学んできたプロですから、当然です。医療的な知識が及ばないことを「負け」だと感じ、引け目を感じてしまう。その劣等感が、「見下されている」という被害妄想を増幅させている可能性があります。

介護の専門性は「見えにくい」が「尊い」

しかし、私たち介護福祉士には、看護師さんには真似できない専門性があります。

  • 認知症の方の混乱した言葉から、真意を汲み取るコミュニケーション能力。
  • 拒否のある利用者さんを、魔法のようにスムーズに入浴へ誘導する技術。
  • その人の人生歴や好みを把握し、その人らしい時間をデザインする力。

これらは数値化しにくく、医学書にも載っていない高度なスキルです。看護師さんがお手上げになるような認知症ケアの場面で、介護職がスッと解決する。そんな場面を私は何度も見てきました。
「医療のことは任せる。でも、生活のことは任せてくれ」
そう胸を張って言えるようになった時、「見下されている」という感覚は驚くほど消えていくはずです。自分の専門性に自信を持つことこそが、最強の防衛策なのです。

実際、私が特別養護老人ホームで働いていた際、ある決定的な事実に気づきました。それは「我々の方が、圧倒的に多くの情報を持っている」ということです。
施設において、看護師の配置はせいぜい3名程度。一人ひとりの利用者さんを見る時間は限られています。対して、介護職は何人も配置され、夜勤も含めて24時間体制で見守っています。利用者さんの些細な変化や日々の様子といった「一次情報」を一番よく把握しているのは、間違いなく私たち介護職なのです。
普段あまり関わらない分野や、認知症対応に迷う看護師さんにとって、我々が持つこの一次情報は喉から手が出るほど欲しいはずです。意固地にならず、この「最強のアセスメント情報」を提供することで、職種間のカーストを壊すきっかけになると私は確信しています。

多職種連携で職場の対立を解消するコツ

「なんとなくおかしい」というNG報告と、数値や客観的事実を用いたOK報告の比較図。

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とはいえ、仕事をする以上、看護師さんとうまく連携しなければなりません。対立せずに、むしろ看護師さんを「味方」につけて、気持ちよく働いてもらうための実践的なコツを紹介します。キーワードは「共通言語」です。

「様子がおかしい」は禁句と思え

看護師さんが一番イライラするのは、曖昧な報告です。
「〇〇さん、なんかちょっと様子がおかしいんです」
これでは看護師さんは判断ができません。「で、どうしたいの?」「熱は?血圧は?」と返されて終わりです。

ここで、少しだけ医療の共通言語(パラメータ)を使って報告してみましょう。
「〇〇さんですが、普段は自力で起き上がれるのに今日は傾眠傾向です。熱は平熱ですが、SPO2が92%まで下がっていて、少し呼吸が浅い気がします。訪室をお願いできますか?」

医療用語は信頼のパスポート
このように「バイタルサイン(数値)」と「普段との比較(客観的事実)」をセットで伝えると、看護師さんの目の色が変わります。「この介護さんは分かっている」「的確な報告ができるパートナーだ」と認識されれば、態度は劇的に軟化します。

「教えてください」で懐に入る

また、プライドの高い看護師さんほど、「頼られる」ことに弱かったりします。
「この処置後の移動で、注意すべきリスクはありますか?」「〇〇さんの皮膚トラブル、どうケアするのがベストか教えてほしいです」
このように、相手の専門性をリスペクトして教えを乞う姿勢を見せると、敵対心は消え、良きアドバイザーになってくれることが多いです。戦うよりも、相手の知識を利用させてもらうくらいのしたたかさが、現場では役に立ちます。

【実体験】「食べる」を支える!アセスメント力が生んだ連携事例

ここで、私が実際に経験した「連携」の成功事例をお話しします。当時、経管栄養(チューブでの栄養補給)を行っていた利用者さんを、再び経口摂取(口から食べる食事)に戻す支援を行ったときのことです。

この時、私がこだわったのは「アセスメント力」と「記録」でした。看護師さんは医学的なリスクを考えますが、私は介護職として、その方の「食べたい」という意欲や、日々の嚥下(飲み込み)の様子を詳細に観察し続けました。
「まだ無理だ」と判断されそうな場面でも、「今日はこんな様子で、本人に食べる意思があります」と報告し、実際に現場を見てもらうよう声をかけ続けました。氷やプリンなどリスクの低いものから試し、その場に看護師さんにも立ち会ってもらい、一緒にアセスメントを行ったのです。

結果として、介護の視点(意欲や日々の変化)と医療の視点(安全性)をすり合わせることでゴールを共有でき、その方は最終的にご飯を食べられるまで回復しました。「住み分け」と「情報提供」を徹底すれば、対立せずとも大きな成果が出せるのです。

医師や看護師に「できないこと」を補う住み分け戦略

現在、私は医療現場で働いていますが、看護師資格を持っていないにも関わらず、円滑に連携が取れています。それは、自分にできることとできないことの「住み分け」を明確にしているからです。

例えば、注射や点滴といった医療行為は看護師さんの独占業務です。しかし、そのための針や薬剤の在庫管理、仕入れ、あるいは注射に対する患者さんの不安な気持ちを聞き取ることは、私にもできます。
私は医療の営業や患者支援という立場から、看護師さんが普段持ち合わせていない「一次情報」を取りに行き、それを「つなぐ役割(潤滑油)」として提供しています。これを続けることで、「私たちにはできないことを、この人はやってくれる」という信頼が生まれるのです。

また、医師に対しても同様です。私は社会福祉士やケアマネジャーとしての知識を活かし、介護保険、障害福祉、生活保護といった「制度」の視点から提案を行います。
「医学的な治療は先生にお任せしますが、退院後の生活やサービス利用については、この制度を使うとこうなります」といった見通しを伝えるのです。治療する役割とは別の、「生活を支える制度のプロ」としての視点を提供することで、医師からも一人の専門職として尊重される関係を築いています。

介護福祉士から看護師への転職を検討する

いろいろ考え方を整理しても、それでもやっぱり…
「給料の明細を見るたびにやるせない」
「もっと直接的に医療に関わりたい」
「指示されるだけの立場から脱却したい」
そう強く思うのであれば、思い切って「看護師を目指す」という選択肢を検討するのも、非常に前向きな決断だと思います。

社会人から看護師になるルート

実際に、介護福祉士として数年働いた後に看護学校へ入学し、看護師になる人は少なくありません。ルートは主に2つです。

  1. 准看護師を目指す: 准看護学校(2年制)に通う。働きながら通える午後定時制の学校も多く、ハードルは比較的低い。その後、進学コースを経て正看護師を目指すことも可能。
  2. 正看護師を目指す: 看護専門学校(3年制)に通う。レギュラーコースなので日中は学生生活になり、アルバイト等は制限されるが、最短で正看護師になれる。

コストと覚悟
ただし、学費と生活費の問題は大きいです。ここで役立つのが、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付金」などの支援制度です。条件を満たせば、学費のかなりの部分がカバーされます。また、病院の奨学金制度(卒業後にお礼奉公として数年働くことで返済免除)を利用する手もあります。

「介護を知っている看護師」は最強

元介護職の看護師さんは、現場でめちゃくちゃ重宝されます。なぜなら、オムツ交換や移乗介助のプロであり、かつ利用者の生活背景を想像する力を持っているからです。「頭でっかち」になりがちな新卒看護師とは違う、地に足の着いた看護ができるようになります。
今の経験は決して無駄になりません。もし迷っているなら、資料請求から始めてみるのも良いでしょう。

介護福祉士と看護師どっちが上かの最終結論

プロとして生活を支えるスペシャリストになる道と、教育訓練給付金を活用して看護師へ転身する道の二つの選択肢を示す図。

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長くなりましたが、最後に私なりの結論をお伝えします。

社会的地位、経済力(年収)、そして法的権限。この「客観的な条件」という物差しで測れば、悔しいけれど看護師の方が「上」であるという現実は、否定しようがありません。 これは日本の歴史と社会保障制度が作り上げた構造であり、個人の努力ですぐに覆せるものではないからです。

しかし、「職業としての尊さ」や「どちらが幸せか」という問いになれば、話は全く別です。

看護師は高給と引き換えに、人の命を預かる凄まじいプレッシャーと、不規則な夜勤、終わりのない勉強に追われ続けています。そのストレスから離職する人も後を絶ちません。
一方、介護福祉士は、給料は低くとも、利用者さんとじっくり向き合い、「ありがとう」と直接言ってもらえる温かい瞬間が数多くあります。夜勤のないデイサービスや、訪問介護で自分のペースで働くなど、ライフスタイルに合わせた働き方の選択肢も広がっています。

「条件(金・ステータス)」を取るなら看護師。「生活支援(人との関わり)」のプロとして生きるなら介護福祉士。

「どっちが上か」という他人の評価軸ではなく、「自分はどちらの役割に喜びを感じるか」という自分の評価軸で選んだ道こそが、あなたにとっての正解になるはずです。
今の場所で専門性を磨くもよし、看護師へ挑戦するもよし。どちらの道を選んでも、目の前の人の命と暮らしを支える素晴らしい仕事であることに変わりはありません。私は、現場で戦うあなたのキャリアを、心から応援しています。

-介護福祉士