
こんにちは。福祉キャリア羅針盤、運営者の「福祉屋」です。
介護福祉士の試験勉強を始めるとき、誰もが一度は検索窓に打ち込む言葉があります。それは、「介護福祉士は過去問だけで受かるのか」という問いです。働きながら資格取得を目指す私たちにとって、時間は最も貴重な資源です。日々の業務に追われ、夜勤明けでクタクタの中で、分厚いテキストを最初から読み込む時間なんてないし、できることなら最短ルートで合格したいと考えるのは当然のことです。しかし、そこにはいくつかの落とし穴も存在します。この記事では、私の経験や業界の動向、そして多くの受験生の合否を見てきた視点を踏まえ、この問いに対する現実的な答えと、合格を確実にするための具体的な戦略をお伝えします。
- 過去問学習が最強のツールである理由と決定的な弱点
- 一発不合格になりうる0点科目の正体と回避策
- 2025年試験特有の法改正リスクと対策
- 働きながら無理なく合格するためのスケジュール戦略
介護福祉士は過去問だけで受かるのか徹底検証

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結論から言うと、「受かる可能性は高いが、条件付き」というのが私の答えです。過去問は間違いなく最強の教材ですが、ただ漫然と解くだけでは、近年の試験傾向や特定のトラップに対応しきれないリスクがあります。ここでは、なぜ過去問が有効なのか、そしてどこに落とし穴があるのかを、構造的に分解して解説していきます。
必要な勉強期間とスケジュールの目安

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一般的に、介護福祉士国家試験の合格に必要な勉強時間は、およそ250時間前後と言われています。これを期間に換算すると、1日1.5時間の勉強を毎日欠かさず続けたとして約6ヶ月、1日3時間のハイペースで進めるなら約3ヶ月が必要になる計算です。
なぜ「6ヶ月前スタート」が王道なのか
私のおすすめは、やはり「6ヶ月前からのスタート」です。なぜなら、私たちは現場で働いているからです。机上の計算通りに勉強が進むことはまずありません。急な残業、夜勤明けの猛烈な眠気、家族の都合や体調不良など、勉強時間が「ゼロ」になる日は必ず訪れます。
3ヶ月プランは非常に効率的ですが、こうした不測の事態に対する「バッファ(余裕)」が全くありません。風邪を一度ひいただけでスケジュールが崩壊し、そのままモチベーションが折れてしまうリスクが高いのです。半年前から少しずつ始めることで、「今日は疲れているから10分だけ」という調整が可能になり、挫折を防ぐことができます。これは、長距離走において最初にペースを上げすぎず、完走を目指す戦略と同じです。
合格までの標準的なタイムライン
具体的には、以下のような流れをイメージしてください。
- 最初の1ヶ月(導入期):まずは敵を知る期間です。過去問を解くというより「読む」感覚で、どのような問題が出るのか、全体像を把握します。正解できなくても全く問題ありません。
- 2〜4ヶ月目(定着期):過去問をひたすら回転させます。解けない問題があっても気にせず、解説を読み込みます。ここが一番辛い時期ですが、知識の筋肉がついている実感を持てるようになります。
- ラスト1ヶ月(仕上げ期):法改正情報のアップデートや、後述する「0点科目」の徹底対策を行います。ここでは時間を計って解くシミュレーションも重要になります。
もし、あなたがこの記事を読んでいる時点で試験まで残り3ヶ月を切っているなら、悠長にテキストを読んでいる暇はありません。テキストを読む時間を極限まで削り、最初から過去問を解きまくる「超実践型」にシフトする必要があります。時間は待ってくれませんが、使い方は変えられます。
働きながら勉強時間を確保する方法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
アプリやサイトを活用した勉強法

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机に向かってペンを持つ時間だけが勉強ではありません。私が受験生だった頃もそうでしたが、現代には「過去問.com」や各種スマホアプリという強力な武器があります。これらを活用しない手はありません。
五感をフル活用した「スキマ学習」
特におすすめなのが、「五感をフル活用したスキマ学習」です。例えば、満員電車の中で重たいテキストを開くのは周囲の目もあって大変ですが、アプリなら片手でサクサク一問一答ができます。
また、家事をしている最中や入浴中に、YouTubeの解説動画を「聞き流す」だけでも、耳からの記憶定着(耳学問)が期待できます。特に私たち福祉職は、身体を動かす仕事が多い分、座学よりも動きながら情報をインプットする方が性に合っている方が多いものです。料理を作りながら「認知症の定義」を聞いたり、洗濯物を畳みながら「介護保険の被保険者要件」を復唱したりすることで、生活の中に勉強を溶け込ませることができます。
具体的なスキマ学習のルーティン例
- トイレ学習:トイレに入ったら必ずアプリで3問解くまでは出ない、と決める。これを1日5回繰り返せば15問です。
- 弱点スクショ:アプリで間違えた問題の解説画面をスクリーンショットし、自分だけの「弱点アルバム」フォルダを作る。寝る前にそれをパラパラと見返すだけで、記憶の定着率が変わります。
- 音声学習:料理中や洗濯物を畳んでいる間は、常に解説動画を流しっぱなしにする。「ながら勉強」を徹底し、耳からの情報を脳に刷り込みます。
アプリ学習の注意点
非常に便利なアプリ学習ですが、落とし穴もあります。それは「マークシート形式への不慣れ」です。アプリではタップ一つで正解できますが、本番は鉛筆でマークシートを塗りつぶす作業が必要です。
「分かっていたのにマーク欄を一行ずらしてしまった」「塗るのに時間がかかって最後まで解けなかった」というミスは、毎年必ず報告されます。アプリはあくまで知識確認のための補助ツールと考え、週に一度は必ず紙の過去問や模擬試験を使って、時間を計りながらマークシートを塗る練習をしてください。この「泥臭い練習」が、本番での焦りを消してくれます。
テキストや参考書の効率的な使い方
「過去問だけで受かる」派の人でも、最低1冊は最新のテキスト(参考書)を手元に置くべきです。ただし、使い方が重要です。小説のように1ページ目から読んでいくのは、時間がかかりすぎる上に、「読んだ気になって何も覚えていない」という状況に陥りやすく、挫折の大きな原因になります。
辞書的な活用法で「自分だけの参考書」を作る
最も効率的なのは、「過去問の解説書」としてテキストを使う辞書的な活用法です。手順は以下の通りです。
- まず過去問を解く(分からなくてもOK)。
- 解説を読む。ここまでは普通です。
- 解説でも理解しきれない専門用語や制度の仕組み(例:成年後見制度の類型や、介護保険の財源構成など)が出てきたら、テキストの該当ページを辞書のように引いて確認する。
- その該当ページに、マーカーを引くか、付箋を貼る。
このループを繰り返すことで、テキストの中の「よく出るページ」だけがどんどん汚れ、付箋だらけになっていきます。逆に、試験に出ないページは真っ白なまま残ります。
試験直前期には、この「汚れたページ」だけを見直せばいいのです。結果として、頻出箇所が可視化され、あなただけのオリジナル参考書が出来上がります。インプット(読む)よりもアウトプット(解く)を先行させること、これが短期合格の鉄則であり、成人の学習理論(アンドラゴジー)においても推奨されている方法です。「読む勉強」から「調べる勉強」への転換が、効率化の鍵を握っています。
0点科目の恐怖と医療的ケア攻略

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過去問学習だけで挑む受験生が最も恐れなければならないのが、「0点科目(足切り)」のルールです。介護福祉士国家試験は11の科目群に分かれていますが、そのうち1つでも得点が0点の科目群があると、たとえ総合点が満点近くても不合格になります。
「1点でも取ればいいんでしょ?」と思うかもしれませんが、この「1点」が取れずに涙を飲む受験生が毎年後を絶ちません。特に、実務経験者であっても触れる機会が少ない分野は、勘だけで乗り切るのが非常に困難です。
最大の鬼門「医療的ケア」
ここで最大のリスクとなるのが、問題数が極端に少ない「医療的ケア」という科目群です。
| 科目群 | 問題数(目安) | 0点リスク | リスクの理由 |
|---|---|---|---|
| 生活支援技術 | 26問 | 極低 | 問題数が多く、普段の業務経験で解ける問題が含まれるため、全問不正解は考えにくい。 |
| 医療的ケア | 5問 | 極高 | 問題数が極端に少なく、かつ専門的な医学的知識・法的知識が必須。勘で当たる確率が低い。 |
たった5問しかありません。しかも、内容は喀痰吸引や経管栄養の手順、法的な指示系統(医師の指示書など)、感染症対策といった、非常に専門的で正確性が求められるものです。「現場でやっていないから分からない」では済まされません。消毒用エタノールの濃度や、吸引カテーテルの挿入長さなど、具体的な数値を問われることもあります。
特に、過去問だけを漫然と全科目順番に解いていると、この「医療的ケア」の演習量が圧倒的に不足します。125問中のたった5問なので、数年に一度しか解かないことになり、記憶に定着しないのです。
「重点ループ」でリスクを排除する
対策としては、過去5年〜7年分の過去問から「医療的ケア」の問題だけを抜き出し(コピーするなどして)、徹底的に繰り返す「重点ループ」を行うことです。
実は、医療的ケアの出題パターンは限られています。「口腔内吸引の手順」「経鼻経管栄養の留意点」「実施可能な医行為の範囲」など、出るポイントは決まっています。ここを集中的に潰すことで、5問中3〜4点は確実に取れるようになり、0点科目の恐怖から解放されます。不安な科目を放置せず、最初に潰してしまうのが精神衛生上も最善の手です。
過去問だけで落ちる受験生の特徴

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「過去問を5周したのに落ちた」という人がいます。一方で、「3周だけで受かった」という人もいます。この差はどこにあるのでしょうか。過去問学習で失敗する人には、共通する致命的な特徴があります。
「答えの丸暗記」は無意味
それは、「答えの場所や記号を暗記」をしてしまっていることです。「この問題の答えは3番だ」「この選択肢の文章は見たことあるからマルだ」と覚えても、何の意味もありません。試験本番では、全く同じ問題が出ることはなく、聞き方や事例の設定、選択肢の文章を変えて、同じ知識が問われるからです。
重要なのは、正解を選ぶことではなく、「なぜ他の選択肢が間違いなのか」を論理的に説明できるかどうかです。解説を読み込み、正解以外の選択肢についても「これはここが違うからバツ」と言えるレベルまで理解を深める必要があります。
危険な学習パターンの例
- 解説を読まずに、○×だけ確認して「正解した!」と満足している。
- 「なんとなくこれっぽい」という感覚で正解して、分かった気になっている。
- 古い過去問の法制度(例:成年後見制度の改正前や、介護保険料率の古い数字)をそのまま覚えている。
特に3つ目の「情報の更新」は致命的です。過去問はあくまで「過去」の記録です。例えば、感染症法上の分類が変わったり、報酬改定で義務化された項目があったりした場合、過去の正解が現在の不正解になることすらあります。これが、過去問学習の限界点であり、後述する法改正対策が必須となる理由です。常に「今の制度ではどうなのか」を疑う視点を持つことが重要です。
介護福祉士に過去問だけで受かるための戦略
ここまでリスクをお伝えしましたが、それでも過去問が合格への最短ルートであることに変わりはありません。ここからは、私の合格体験と、実際に私が指導して合格へ導いた知人の事例を交えながら、確実に合格を勝ち取るための「超実践的」な戦略をお話しします。
いつから勉強を始めれば間に合うか

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理想は半年前ですが、現実的には「願書を出してから(8月〜9月頃)」スイッチが入る人が多いのではないでしょうか。仕事や家庭の事情で、どうしてもスタートが遅れてしまうこともあるでしょう。
まず、ご自身の「現在の知識量」を把握することから始めてください。介護職歴が長く、現場経験が豊富な方であれば、過去問を解いていくだけでも知識が繋がりやすく、比較的容易に合格ラインに達することができます。しかし、転職組でまだ経験が浅い方の場合、介護保険制度や医療的ケアの分野は非常に難解に感じるはずです。ご自身のレベルに合わせて、スタート時期や選ぶべき参考書のレベル(入門編か、実践編か)を見極めることが重要です。
もし、試験まで残り3ヶ月を切っているなら、もう新しいテキストを隅々まで読み込んでいる暇はありません。「過去問7daysルーティン」で、勉強を生活の一部に強制的に組み込みましょう。通勤時間や休憩時間をすべて勉強に充てる覚悟を決めてください。
ノートまとめは禁止?大人の記憶術
私が知人に勉強を教えていたときの話です。その方は何度か試験に落ちており、どうすれば受かるのか悩んでいました。その方の勉強スタイルを見て、私が最初に伝えたアドバイスは「今すぐノートにきれいにまとめるのをやめてください」というものでした。
「きれいなノート」は自己満足の罠
その方は、非常に几帳面にノートを作っていましたが、肝心の内容を覚えていませんでした。そして、過去問の点数も全く上がっていなかったのです。学生時代は「書いて覚える」「きれいにまとめる」という方法が通用したかもしれません。しかし、20代を過ぎてくると、脳の仕組みが変わり、単なる「丸暗記(詰め込み)」ができなくなってきます。
年齢を重ねると、短期記憶よりも「エピソード記憶」の方が強化されます。これは、何かに関連付けて覚える記憶のことです。ただノートに書き写すという作業は、脳への刺激が弱く、エピソードとして定着しにくいのです。私はその知人に、ノートを使うのをやめさせ、参考書や過去問集の余白に、自分が学んだことや現場での体験を直接書き込むように指示しました。「この問題、あの利用者さんのケースに似てるな」といった書き込みこそが、記憶のフックになるのです。
ノート術に関しては、社会福祉士向けの以下の記事でも詳しく解説していますが、介護福祉士試験にも共通する重要な戦略です。
タモリ式?「場所」と紐づける記憶術
エピソード記憶を活用するテクニックとして、芸能人のタモリさんも実践していると言われる方法があります。覚えたいものを、家の中の「場所」に関連付けるのです。いわゆる「メモリーパレス(記憶の宮殿)」と呼ばれる記憶術の一種です。
エピソード記憶の活用例
例えば「バナナ」を覚えたいとき、単に「バナナ」と書くのではなく、「自宅の台所の、あの棚の上にバナナが飾ってある映像」を強烈にイメージします。試験勉強でも同様に、覚えにくい用語を「職場のあの利用者さんの顔」や「あの部屋の設備」と無理やり結びつけて覚えるのです。
10代の頃のような丸暗記に頼らず、年齢に合った「関連付け」による学習法にシフトすることが、大人になってからの資格試験攻略の鍵です。高学歴なのに試験に落ちてしまう人は、この「学生時代の勉強法」から抜け出せていないことが多いのです。
応用問題は捨てろ!基礎特化の極意
もう一つ、私がその知人に強く指導したことがあります。それは「応用編の問題集を捨てて、ひたすら過去問(基礎)を解くこと」です。
その方は何年も勉強していたため、「基礎はもういいだろう」と応用問題集ばかり解いていました。しかし、模擬試験の結果を見ると、合格点に届いていませんでした。合格点を超えていない段階で、点数を取りに行くための「応用」をやるのは順序が逆です。基礎が盤石でなければ、応用など解けるはずがありません。
ストップウォッチで「本番」を作る
私は応用問題集を片付けさせ、再び過去問に戻ってもらいました。そして、勉強の際には必ず「ストップウォッチ」を使うよう指示しました。試験さながらの緊張感を演出し、鉛筆と消しゴムを用意し、時間を計って問題を解くのです。
基礎特化とシミュレーションの効果
結果、その方は見事に介護福祉士試験に合格しました。それだけではありません。なんとその後、さらに難関と言われる「ケアマネージャー試験」にも合格し、現在は現場のケアマネとして活躍されています。
勉強方法を少し変えるだけで、人生は劇的に変わります。「難しい問題を解かなきゃ」と焦る必要はありません。基礎を徹底的に固め、本番と同じ環境でアウトプットする練習を繰り返す。これが最も確実な合格法則です。
読解力を高める小説という意外な武器

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最後に、少し意外かもしれませんが、非常に効果的なトレーニング方法をご紹介します。それは、「勉強の合間に小説を読むこと」です。
介護福祉士の試験は、すべての問題が文章で出題されます。当たり前のことですが、普段から活字に慣れていない方にとって、「長文を読む」という行為自体が苦痛であり、大きなハードルとなります。問題の意味を理解する前に脳が疲れてしまうのです。長い事例問題を見て、「うわっ」と思った瞬間に思考停止してしまう経験はありませんか?
脳をフル活用する「小説」の効能
小説はストーリーがあるので、参考書よりも抵抗なく読むことができます。そして、文字から情景をイメージしながら読み進めるため、脳をフル活用します。これは「読解力」を鍛える最高のアウトプット練習になります。
- 活字への抵抗感をなくす:試験問題の長文も「物語」として読めるようになる。
- イメージ力の向上:事例問題の状況設定(利用者さんの状態など)を瞬時に脳内で映像化できるようになる。
私自身、人生の転機では必ず本を読んでいました。私の人生を変えたのは本だと言っても過言ではありません。勉強の箸休め程度で構いませんので、ぜひ騙されたと思って小説を読んでみてください。読解力が上がれば、試験問題を読むスピードも格段に上がり、結果として点数アップに繋がります。
2025年試験の法改正と新傾向対策
第37回(2025年1月)試験を受ける方が絶対に押さえておかなければならないのが、「2024年度介護報酬改定」の影響です。3年に一度の大規模な改定が行われた直後の試験となるため、過去問にはまだ反映されていない新しいルールが出題される可能性が極めて高いです。
狙われる「3つの新常識」
特に注意すべきなのが以下のポイントです。
2024年度改定の要注意キーワード
- BCP(業務継続計画)の完全義務化:以前は努力義務でしたが、2024年度から完全に義務化されました。自然災害や感染症発生時でも業務を継続するための計画策定が必須です。未策定の場合は「減算」となります。
- 高齢者虐待防止措置の厳格化:虐待防止委員会の開催や指針の整備が未実施の場合、虐待の事実がなくても減算(ペナルティ)となります。
- LIFE(科学的介護情報システム):データの提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進が、より重視されています。
これらは、3年前の過去問を解いていても「努力義務」として解説されている場合があり、そのまま覚えると不正解になります。厚生労働省の資料などを確認するか、最新の予想問題集を一冊購入して、知識を「上書き保存」する必要があります。
参考として、これらの改定の根拠となる一次情報へのリンクを掲載しておきます。時間があるときに目を通しておくと、制度の背景理解が深まります。
パート合格制度導入前のラストチャンス
実は、介護福祉士国家試験は今、歴史的な転換点を迎えています。第38回(2026年1月予定)試験から、「パート合格制度」が導入される方向で調整が進んでいます。
第37回試験の位置づけ
この新制度は、試験科目を3つのパートに分け、数年かけて合格を目指せるようにするものです。外国人材の定着や、働きながら資格を目指す層への配慮が背景にあります。しかし、極めて重要な点として、第37回(2025年1月)試験にはまだ適用されません。
つまり、今回の第37回は現行の「一発勝負・全科目合格」形式で行われる、事実上の最後の試験に近い位置づけとなります。もし今回、あと数点で不合格になったとしても、その成績を翌年の「パート合格」の一つとして持ち越すことは(現時点の情報では)できない可能性が高いです。
制度が変わる過渡期は、試験傾向が不安定になったり、手続きが複雑になったりと混乱が生じやすいものです。慣れ親しんだ現行制度のうちに、今回で確実に決めきることが、最も安全で賢いキャリア戦略と言えます。「来年から新制度だし、今回は様子見で…」という甘えは捨てて、今回で終わらせる覚悟を持ちましょう。
一夜漬けを避けた短期集中プラン

福祉キャリア羅針盤イメージ
どうしても時間がなく、試験1ヶ月前からの短期決戦を余儀なくされる場合もあるでしょう。その際は、満点を目指す勉強を捨て、「選択と集中」を徹底してください。
生き残るための優先順位
- 0点科目の回避を最優先:まずは「医療的ケア」「社会の理解」など、苦手な人が多く足切りリスクが高い科目を優先的に勉強します。ここさえクリアすれば、合格ラインに乗る可能性が残ります。
- 得意科目は現状維持:「生活支援技術」や「介護の基本」など、現場感覚で解ける科目は深追いしません。過去問演習のみに留め、テキストを読む時間はカットします。
- 予想問題集の投入:法改正対応のため、最新の予想問題集を1冊だけ購入し、直前1ヶ月で徹底的に叩き込みます。これで情報の古さを補完します。
そして最後に、睡眠時間を削る一夜漬けは厳禁です。記憶は寝ている間に脳内で整理・定着しますし、試験当日のパフォーマンスが落ちては元も子もありません。たとえ時間がなくても、最低限の睡眠(6時間程度)は確保し、脳をクリアな状態に保つことが、結果的に合格への近道となります。
結論:介護福祉士は過去問だけで受かる
最後に、改めて結論をお伝えします。介護福祉士は過去問だけでも受かります。ただし、それは「過去問を正しく使い倒し、法改正情報というスパイスを加えた場合」に限ります。
過去問は、単なるクイズではありません。試験委員からの「現場でこういう判断ができる人材になってほしい」「利用者の尊厳をこうやって守ってほしい」というメッセージの塊です。単なる暗記ではなく、その背景にある「尊厳」や「自立支援」への理解を深めるつもりで取り組めば、必ず結果はついてきます。
今年度、あなたが無事にサクラサク結果を迎えられるよう、心から応援しています。不安な気持ちはあると思いますが、まずは今日、たった5分だけでいいので、スマホの過去問アプリを開いてみてください。その小さな一歩が、合格への大きな前進になりますよ。