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社会福祉士を35歳から目指す現実と最短ルート

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こんにちは。福祉キャリア羅針盤、運営者の「福祉屋」です。35歳という年齢はキャリアの分岐点ですよね。今の仕事を続けながら社会福祉士を35歳から目指すことは可能なのか、未経験からでも合格率や将来性はどうなのか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。ネット上にある「やめとけ」という声や、気になる年収の現実を含め、これからどう動くべきか迷っているあなたの背中を押せるよう、私の経験を交えてお話しします。

  • 35歳から資格を取得するための最短ルートと学習計画
  • 働きながら難関の「実習」を免除してもらう裏ワザ
  • 転職後のリアルな年収と「前歴換算」という仕組み
  • 未経験の35歳が現場で圧倒的に重宝される理由

社会福祉士を35歳から目指す現実と最短ルート

「35歳から新しい資格に挑戦して、本当に間に合うのだろうか?」「記憶力も落ちてきているし、今さら勉強なんてできる気がしない」そんなふうに足踏みしてしまう気持ち、痛いほどよくわかります。特に、これまで福祉とは無縁の世界で生きてきた方にとって、国家資格への挑戦は高い山のように見えるかもしれません。

でも結論から申し上げますと、社会福祉士に関しては「35歳からでも全く遅くない」というのが、現場を知る私の偽らざる本音です。むしろ、社会人としての基礎体力があり、人生の酸いも甘いも噛み分けてきた今だからこそ、効率的に合格を勝ち取り、現場で即戦力になれる可能性が高いのです。ここでは、現在の生活を維持しながら資格取得を目指すための現実的なルートについて、データと戦略を交えて解説していきます。

未経験から合格するための基礎知識

まず、社会福祉士という資格が「若者や学生だけのもの」という大きな誤解を解いておきましょう。これから挑戦するあなたにとって、最も勇気付けられるデータをご紹介します。公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公表している第36回(2024年)社会福祉士国家試験の合格者内訳を見ると、30代以上の合格者が全体の過半数を占めているという事実をご存知でしょうか。

具体的には、30代が約17%、40代が約21%、50代が約14%となっており、これらを合わせると合格者の約半数が社会人経験を経た層なのです。つまり、35歳からの挑戦は決して「特異なケース」ではなく、むしろメインストリームの一つと言っても過言ではありません。(出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター『社会福祉士国家試験合格発表』

私が現場で採用に関わっていた頃の感覚でも、35歳以上で資格を取った方は、利用者さんとのコミュニケーションにおいて「人生経験の厚み」が武器になっていることが多いです。相談援助(ソーシャルワーク)の現場では、単なる法律や制度の知識だけでなく、相手の苦労に共感する力や、複雑な家族関係を読み解く洞察力が求められます。若い新卒の職員が「教科書通りの回答」で利用者さんを怒らせてしまう場面でも、社会人経験のある方は「まずは相手の言い分を聴く」という傾聴の姿勢が身についており、スムーズに関係構築ができるケースが多々あります。

また、試験内容においても、近年は単なる暗記問題よりも、具体的な事例を読んで適切な対応を選ぶ「事例問題」の比重が高まっています。これは、実際に社会で揉まれてきた経験値がそのまま得点源になりやすい形式です。35歳からの挑戦は、これまでの社会人生活そのものがアドバンテージになると自信を持ってください。

学歴や実務経験ごとの受験資格ルート

働きながら通信課程で学ぶメリット

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「よし、やってみよう」と思った時に最初にぶつかる壁が、複雑怪奇な「受験資格」の仕組みです。社会福祉士になるには、国家試験を受けるための切符(受験資格)を手に入れなければなりません。ここが少し複雑で、あなたの最終学歴によって進むべきルートが大きく変わります。35歳の方の場合、大きく分けて以下の3パターンになることが多いです。

あなたの最終学歴別・最短ルート

  • 【ルートA】4年制大学卒業(福祉系以外)の方
    これが最もスムーズかつ低コストなルートです。既に「学士」の学位を持っているため、大学を一からやり直す必要はありません。「一般養成施設(通信課程)」に入学し、1年6ヶ月(1年半)のカリキュラムを修了すれば受験資格が得られます。多くの社会人がこのルートを選びます。
  • 【ルートB】短期大学(2年・3年制)・高等専門学校卒業の方
    学歴に加え、不足している期間を埋めるための「実務経験」が必要です。
    ・3年制短大卒の場合:「1年以上」の実務経験
    ・2年制短大卒の場合:「2年以上」の実務経験
    これらの実務経験を積んだ後に、一般養成施設(1年以上)に入学する流れとなります。
  • 【ルートC】高校卒業の方
    最も長い道のりになりますが、不可能ではありません。「4年以上」の実務経験を積んでから一般養成施設に入学するか、あるいは4年制の福祉系通信制大学に入学して「学士」と「受験資格」を同時に目指す方法があります。急がば回れで、通信制大学を選ぶ方も多いです。

4大卒の方であれば、今の仕事を続けながら通信の養成校に入学するのが王道です。一方で、高卒や短大卒の方の場合、「実務経験」をどうクリアするかがカギになります。今の仕事を辞めて福祉業界へ飛び込むのか、あるいは今の仕事を続けながら通信制大学で4年間じっくり学ぶのか。あなたの経済状況やキャリアプランに合わせて慎重に選ぶ必要がありますが、どのルートを選んでもゴールには必ず辿り着けます。

働きながら通信課程で学ぶメリット

働きながら通信課程で学ぶメリット

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35歳からの挑戦で私が最もおすすめするのは、やはり「通信課程(一般養成施設)」の活用です。仕事を辞めて昼間の専門学校に通うのは、学習に専念できるメリットはあるものの、収入が途絶えるリスクが大きすぎます。住宅ローンや家賃、教育費など、守るべきものがある35歳にとって、無収入期間を作るのは賢明な戦略とは言えません。

通信課程なら、基本は自宅でのテキスト学習とレポート作成が中心です。月に数本程度のレポートを提出し、添削指導を受けるスタイルが一般的です。「レポートなんて書いたことがない」と不安になるかもしれませんが、多くの養成校では書き方のガイドラインが用意されていますし、最近ではオンラインでのサポート体制も充実しています。

また、年に数回行われる「スクーリング(面接授業)」も、社会人が通いやすいように土日や祝日、連休などに設定されていることがほとんどです。夏休みやお盆休みを利用して集中的に行う学校もあります。これなら、有給休暇をうまく組み合わせることで、会社に在籍したまま、周囲に過度な負担をかけずに卒業を目指せます。

何より、「今の収入を維持しながら、次のキャリアの準備ができる」というのは、精神衛生上も非常に重要です。万が一、途中で「やっぱり自分には合わないかも」と思ったとしても、今の仕事を失うわけではありません。この「心理的な安全性」を確保しながら挑戦できるのが、通信課程の最大の強みと言えるでしょう。

社会人の壁となる実習を免除する方法

社会人が働きながら社会福祉士を目指す際、最大の壁として立ちはだかるのが、カリキュラムに含まれる「相談援助実習(ソーシャルワーク実習)」です。かつてはもっと短かったのですが、現在は制度改正により合計で240時間もの実習が義務付けられています。

240時間ということは、1日8時間の実習を行ったとしても約30日間。しかも、実習先となる施設や機関は基本的に平日しか稼働していないことが多く、土日だけの分割実施を受け入れているところは稀です。会社員が1ヶ月近くも連続して休みを取るのは、現実的にほぼ不可能でしょう。「実習があるから諦めるしかないのか…」と絶望する前に、ぜひ知っておいてほしい「裏ワザ」的な戦略があります。

【重要戦略】実務経験による実習免除
それが「実務経験による実習免除」です。入学前(または実習開始前)までに、厚生労働省令で定められた指定施設において「相談援助業務」に1年以上従事していれば、この240時間の実習がすべて免除されます。これは時間的にも費用的(実習費10〜20万円程度が不要になる)にも、絶大なメリットです。

ただし、ここで注意が必要なのは、「福祉施設で働けば何でも良いわけではない」という点です。単なる介護職員(ヘルパー)としての業務は、原則として相談援助実務とは認められません。免除の対象となるのは、あくまで「相談援助」を行う職種です。

具体的には、「障害者グループホームの生活支援員(世話人)」や「就労継続支援B型の支援員」、「放課後等デイサービスの児童指導員」などが狙い目です。これらの職種は、比較的未経験・無資格でも採用されやすく、かつ「実習免除の対象となる実務経験」として認められるケースが多いのです。もし本気で資格取得を目指すなら、まずはこうした職種へ「戦略的転職」を行い、給料をもらいながら1年間の実務経験を積み、その後に養成校へ入学するというルートが、最もリスクが低く確実な方法です。

実習内容や日誌の負担について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
社会福祉士の実習なにする?全内容と辛い日誌を乗り切る現場の知恵

試験の難易度と必要な勉強時間

試験の難易度と必要な勉強時間

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「久しぶりの勉強で頭に入るか心配…」「記憶力が低下しているから無理かも」という不安の声もよく聞きます。確かに、社会福祉士国家試験は全19科目群もあり、範囲が広いことは事実です。しかし、近年の動向を見ると、合格率が50%を超える年もあり、以前のような「10人受けて3人しか受からない超難関」ではなくなってきています。正しい対策をすれば、働きながらでも十分に合格圏内に入れる試験です。

合格に必要な勉強時間は、一般的に300時間程度と言われています。これを多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれですが、例えば試験の10ヶ月前からスタートすれば、1日あたり「約1時間」で達成できる数字です。これなら、通勤電車の往復時間や、昼休みの隙間時間、あるいは寝る前の30分を積み重ねるだけで確保できます。

社会人が合格するための秘訣は、「満点を目指さないこと」にあります。国家試験の合格ラインは総得点の約6割(150点満点中90点程度)。つまり、4割は間違えても合格できるのです。分厚いテキストを最初から隅々まで暗記しようとすると挫折しますが、過去問を中心に出題頻度の高い重要項目を繰り返し学習すれば、効率的に点数を積み上げられます。

ただし、一つだけ怖いルールがあります。それが「0点科目による足切り」です。全19科目群のうち、一つでも0点の科目があると、総合点がどれだけ高くても不合格になってしまいます。苦手科目を作らず、まんべんなく基礎を押さえることが、35歳からの学習戦略の肝となります。

社会福祉士を35歳から取得後の年収と将来性

「やりがいはあるかもしれないけど、生活できるの?」「家族を養っていける給料は出るの?」ここは綺麗事抜きで一番気になるところですよね。35歳からのキャリアチェンジで、年収がどうなるのか、将来性はあるのか。実際の市場価値と、給与の仕組みについて深掘りしていきます。

転職市場における35歳の需要と現実

転職市場における35歳の需要と現実

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まず、転職市場におけるあなたの価値についてお話しします。結論から言いますと、福祉業界において35歳は「若手・働き盛りの超有望株」です。一般企業では「35歳転職限界説」なんて言葉が囁かれることもありますが、慢性的な人材不足に悩む福祉の現場では全く当てはまりません。

福祉施設の職員年齢構成は比較的高齢化しており、50代・60代の職員が現場を支えているケースも珍しくありません。そんな中で、社会人経験を10年以上持ち、ビジネスマナーが身についていて、体力もまだ十分にある35歳が入職してくれたら、現場としては「喉から手が出るほど欲しい人材」なのです。

有効求人倍率も全産業平均と比較して非常に高く、完全な「売り手市場」です。資格さえ取得してしまえば、就職先が見つからないということはまずあり得ません。それどころか、入職して数年でリーダーや主任、あるいは施設長候補として抜擢されるケースも多々あります。35歳からのスタートは決して「遅い」のではなく、むしろ「組織の中核を担う最短ルート」に乗るチャンスでもあるのです。

気になる年収と前歴換算の仕組み

では、具体的なお金の話をしましょう。社会福祉士の平均年収は、厚生労働省等の調査によると約403万円前後と言われています。ただし、これは新卒からベテランまで全て含んだ平均値です。35歳で異業種から転職した場合、「新卒と同じ初任給(手取り10万円台後半など)」からスタートするのかと不安になりますよね。

ここで皆さんに知っておいていただきたいのが、福祉業界特有の給与決定システムである「前歴換算(ぜんれきかんさん)」という仕組みです。多くの社会福祉法人や公的機関では、中途採用者の初任給を決める際、過去の社会人経験を評価して給与に反映させる制度を持っています。

前歴換算のイメージ
例えば、あなたが一般企業で営業職として10年間働いていたとします。転職先の規定にもよりますが、この10年を「5割〜10割」の掛率で経験年数として認めてくれるのです。
・100%換算の場合:初任給がいきなり「経験10年目の職員」と同額からスタート
・50%換算の場合:初任給が「経験5年目の職員」と同額からスタート
このように、新卒の初任給からプラスアルファされた状態で働き始められるため、極端な年収ダウンを防げるケースが多いのです。

さらに近年では、国による処遇改善施策が進んでおり、「福祉・介護職員処遇改善加算」や「ベースアップ等支援加算」といった形で、毎月の給与に手当が上乗せされています。賞与(ボーナス)も、安定した法人であれば年間3.0〜4.5ヶ月分程度支給されるところも多く、決して「食べていけない」仕事ではありません。年収の実態については、以下の記事でも詳しく解説しています。
社会福祉士やめとけ?給料の真実と後悔しないキャリア戦略

やめとけと言われる理由とリスク管理

やめとけと言われる理由とリスク管理

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ネットで「社会福祉士」と検索すると、サジェスト機能で「やめとけ」「きつい」「底辺」といったネガティブなキーワードが出てくることがあります。これから目指そうとする方にとっては不安材料ですよね。この背景には、確かにいくつかの現実的な課題があります。

一つは「感情労働」の大変さです。社会福祉士の仕事は、利用者さんの人生における困難(貧困、虐待、病気、障害など)に深く関わる仕事です。「なんとかしてあげたい」という思いが強すぎるあまり、相手の苦しみを自分のことのように背負い込んでしまい、心が疲弊してしまう(バーンアウトする)リスクがあります。特に真面目で責任感の強い35歳以上の方は注意が必要です。

また、給与の上限についても理解しておく必要があります。公務員や一部の大手法人を除けば、年収600万、700万と右肩上がりに伸びていく業界ではありません。「バリバリ稼いでタワマンに住みたい!」という価値観の方には、正直おすすめしません。

しかし、逆に言えば、景気の変動に左右されにくい「圧倒的な安定性」があります。リーマンショックやコロナ禍のような不況下でも、福祉の仕事はなくなりませんし、給与が激減することも稀です。AIに代替されにくい「対人支援」のプロフェッショナルとして、定年まで、あるいは定年後も長く働き続けられるという点は、人生の後半戦において大きな安心材料になるはずです。

リスク管理として重要なのは、就職先選びです。職員を大切にしない「ブラック施設」も残念ながら存在します。離職率が高い、研修制度がない、サービス残業が常態化している…といった職場を避け、健全な経営をしている法人を見極める目が、35歳からのキャリア形成には不可欠です。
社会福祉士が病む構造的理由とキャリアを守る生存戦略

独立型社会福祉士や成年後見人の道

独立型社会福祉士や成年後見人の道

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社会福祉士の働き方は、どこかの施設や組織に雇用されるだけではありません。経験を積んだ後、40代・50代で「独立型社会福祉士」として事務所を構え、フリーランスのように働く方も増えています。

特に現在、需要が急増しているのが「成年後見人(せいねんこうけんにん)」の業務です。認知症や知的障害などで判断能力が十分でない方の財産管理や身上監護(契約手続き等の支援)を行う仕事で、家庭裁判所から選任されて業務を行います。これには月額2万円〜6万円程度(管理する財産額による)の報酬が発生します。

例えば、20人の被後見人を担当すれば、それだけで相応の収入になり、事務所経営が成り立ちます。成年後見の業務は、法律知識だけでなく、医療・福祉・介護の幅広い知識と調整力が求められるため、人生経験豊富なミドル世代と非常に相性が良いのです。「定年がない」という点も魅力で、組織のしがらみから離れて自分のペースで働きたい方にとって、非常に有望なセカンドキャリアの選択肢となります。35歳で資格を取り、10年現場経験を積んで45歳で独立…というキャリアプランも十分に現実的です。

競合激化の今「営業力」を持つ社会福祉士が無双する

競合激化の今「営業力」を持つ社会福祉士が無双する

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ここで、現在営業職として働いている私だからこそ語れる、福祉業界の少し「不都合な真実」と、そこにある「巨大なチャンス」についてお話しします。私は今、改めて自分の福祉職時代を振り返り、「もっとこうしておけばよかった」と痛感していることがあります。それは、「利用者さんを獲得するための営業」を実践していなかったことです。

「福祉で営業?ピンとこないな」と思われるかもしれません。確かに、かつての福祉業界は「待っていればお客さんが来る」世界でした。介護が必要な高齢者は増え続け、施設を作ればすぐ満床、特別養護老人ホーム(特養)は何百人待ちが当たり前…。営業なんてしなくても、事業所は回っていたのです。

しかし、介護保険制度が始まって約25年が経ち、状況は劇的に変わりました。事業所や施設の数は爆発的に増え、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、選択肢が多様化したことで、あの特養でさえ「空き」が出る時代になったのです。つまり、福祉業界は今、かつての「入れ食い状態」から、明確な「競争社会」へと突入しています。

今の福祉業界におきているパラダイムシフト

  • 供給過多のエリアが出現
    競合他社が乱立し、利用者さんの奪い合いが始まっています。
  • 「待つ」姿勢のリスク
    良いサービスをしていても、知られなければ選ばれない時代です。
  • 営業不在のブルーオーシャン
    ここが重要です。ケアマネジャーや相談員で、ガツガツ営業をしている人はまだほとんどいません。

これを聞いて、あなたはどう感じますか?「大変そうだな」と思ったなら、少し視点を変えてみてください。周りのライバル(他の社会福祉士や相談員)は、営業なんてしたくない、あるいはやり方を知らない人ばかりです。そんな中で、もしあなたが「自分たちのサービスの強みを理解し、外に出て売り込む力」を持っていたらどうなるでしょうか。

そうです、「無双」できます。今の私なら、この状況を千載一遇のチャンスと捉えます。35歳まで一般企業で営業経験がある方や、数字を追う厳しさを知っている方は、それだけでこの業界において希少価値の高い「スター候補」なのです。「営業なんてやったことない」という方も安心してください。必要なのは巧みなトークではなく、「選ばれるための努力」をするマインドだけ。これを持っている社会福祉士は、これからの時代、どの法人に行っても重宝されると断言できます。

福祉の本質は営業?35歳が輝く泥臭い資源開拓力

「営業」という言葉にアレルギーがある優しいあなたにこそ、伝えたい私の持論があります。それは、「福祉とは、本質的に営業である」ということです。

例えば、あなたが相談者から「生活が苦しい」「介護に疲れた」という相談を受けたとします。その解決のために、あなたは何をするでしょうか。介護保険サービス(フォーマル)を提案したり、地域のボランティアや配食サービス(インフォーマル)を紹介したりしますよね。これって、構造としては「お客様の課題を解決するために、自社や他社のリソースを提案して使ってもらう」という、営業活動そのものだと思いませんか?

私たちが売るのは、怪しい壺でも欲しくもない商品でもありません。困っている人に、その人が喉から手が出るほど必要としている「安心」や「生活の支え」を届けるのが仕事です。だから、相手に罵倒されたり、門前払いされたりすることはまずありません。むしろ「ありがとう」と感謝される営業なのです。

公務員時代の忘れられない「夜7時の営業」
私が公務員として働いていた頃、住む場所も食べるものもない方の相談を受けたことがあります。時刻はすでに夜の7時過ぎ。役所の窓口は閉まり、通常の支援ルートは使えません。
その時、私はどうしたか。ネットで宿泊できるところを調べ、「今晩だけでいいので、この方を泊めてもらえませんか!」市役所に残っている職員に「何か食べるものを分けていただけませんか!」と、面識のない職員などに頭を下げて回りました。これはまさに、なりふり構わぬ「ドブ板営業」でした。

こうした場面で求められるのは、スマートな知識ではありません。「恥ずかしい」とか「断られたらどうしよう」というプライドを捨て、目の前の人のために泥臭く動ける「胆力」です。そしてこれこそが、35歳まで社会の荒波に揉まれてきたあなたのアドバンテージなのです。

若い新卒の職員だと、どうしても「知らない人に頼み込む」ことに萎縮してしまいがちです。しかし、35歳を過ぎていれば、仕事で頭を下げる経験も、無理をお願いして通す経験もしてきているはずです。その「図太さ」や「営業マインド」は、新しい社会資源(支援してくれる人や場所)を開拓する際に、最強の武器になります。

社会福祉士の仕事は、デスクワークだけではありません。時には地域に飛び出し、汗をかいて資源を集めてくる。そんな「営業職」としての側面を楽しめるようになった時、あなたは誰にも代えがたいプロフェッショナルになれるはずです。だからこそ、35歳からの挑戦には大きな勝ち目があるのです。

相談援助業務で活きる社会人経験

私が35歳からの挑戦を強く推す最大の理由は、これまでのあなたの経験が何一つ無駄にならないからです。福祉業界には、新卒から福祉一本でやってきた「純粋培養」の職員も多いですが、彼らが苦手としがちなスキルを、一般企業出身のあなたは既に持っていることが多いのです。

例えば、営業職で培った「交渉力」や「提案力」は、関係機関との調整会議や、困難なケースのアプローチで強力な武器になります。事務職で培った「PCスキル」や「文書作成能力」は、膨大な記録業務や計画書作成を効率化し、周囲から重宝されるでしょう。接客業で培った「クレーム対応力」や「マナー」は、利用者家族との信頼関係構築に直結します。

「福祉は未経験だから…」と卑下する必要は全くありません。むしろ、「異業種の常識」という新しい風を現場に吹き込むことができる存在です。あなたのこれまでのキャリアと、社会福祉士という専門資格を掛け合わせることで、「ただの相談員」ではない、あなただけの独自のポジションを築くことができるはずです。

社会福祉士は35歳からの挑戦に最適

長くなりましたが、35歳からの社会福祉士取得は、決して無謀な挑戦ではありません。むしろ、人生の折り返し地点を見据え、長く安定して働き続けるための「最強の自己投資」になり得ます。

適切なルートを選び、通信課程や実習免除などの制度を賢く利用すれば、現在の生活を守りながら、リスクを最小限に抑えて資格を手にすることができます。もちろん、勉強は楽ではありませんし、現場に出れば大変なこともあります。しかし、困っている誰かの支えになり、「ありがとう」と言われるこの仕事には、何にも代えがたいやりがいがあるのも事実です。

人生100年時代、35歳はまだスタートラインに立ったばかりです。これからの長いキャリアを支える「一生モノのパスポート」として、社会福祉士を目指してみてはいかがでしょうか。迷っているなら、まずは資料請求をしてカリキュラムを眺めてみる、あるいは過去問を1ページめくってみることから始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたの新しい羅針盤になるはずです。

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