
生活保護を受給している中で、ケースワーカーから求職活動を求められると、「就労指導は何歳まで続くのだろう」「60歳を過ぎてもハローワークへ通わなければならないのか」と不安になりますよね。
年齢を重ねると、求人に応募しても採用されにくくなります。持病や腰痛があったり、長く仕事から離れていたりすれば、求人票を見るだけでも気持ちが重くなるかもしれません。
頑張って求職活動を続けても結果が出ず、ケースワーカーとの面談が近づくたびに眠れなくなる方もいるかなと思います。
最初に答えをお伝えすると、生活保護の就労指導には、法律で一律に定められた年齢上限はありません。
ただし、年齢だけを見て就労指導を行うわけでもありません。健康状態、職歴、資格、家族の介護、地域の求人状況などを確認し、実際に働ける状態なのかを個別に判断するのが原則です。
65歳は、年金や高齢者雇用、介護保険などとの関係から、支援方針を見直す一つの節目になります。しかし、「65歳になれば全国どこでも自動的に就労指導が終わる」という制度ではない点には注意してください。
私は、市役所の福祉部門で生活保護ケースワーカーとして80世帯以上を担当し、その後は係長としてケースワーカーを統括する立場も経験しました。現在は医療機関で、医療・介護連携や患者・家族支援に関わっています。
生活保護の現場では、就職させることだけが支援ではありません。病気を治療すること、昼夜逆転を整えること、人とのつながりを取り戻すこと、短時間の活動から始めることも、自立に向けた大切な過程です。
厚生労働省も、生活保護における自立には「日常生活自立」「社会生活自立」「経済的自立」の3つがあり、経済的自立だけを見て就労支援を行うものではないと示しています。
この記事では、生活保護の就労指導は何歳まで続くのか、65歳はどのような意味を持つのか、病気や障害がある場合はどう相談すればよいのかを、制度と現場経験の両方から詳しく解説します。
- 生活保護の就労指導には、法律上の一律の年齢上限はない
- 65歳は支援方針を見直す節目になりやすいが、自動終了の年齢ではない
- 稼働能力は年齢だけでなく、病気、職歴、家庭事情、求人状況などから判断される
- 診断書があれば必ず就労指導が止まるわけではないが、病状を確認する重要な資料になる
- 求職活動が難しいときは、無断で休まず、できない理由と現在できる範囲を伝える
- 指導違反による停止・廃止には、文書による指示や弁明の機会などの手続きがある
生活保護の就労指導は何歳までなのか
「60歳まで」「65歳まで」「70歳まで」など、インターネット上にはさまざまな情報があります。
しかし、実際には年齢だけで線を引くことはできません。まずは、法律上の考え方と、福祉事務所が何を確認しているのかを分けて理解しておきましょう。
法律上は就労指導が終わる年齢が決まっていない

年齢ではなく「稼働能力の活用」が確認される
生活保護は、資産や能力など、利用できるものを生活の維持のために活用しても、なお生活に困窮する場合に行われる制度です。
ここでいう能力には、働いて収入を得る力である「稼働能力」も含まれます。
そのため、法律には「65歳を過ぎたら働く必要はない」「70歳になったら就労指導をしてはいけない」といった一律の年齢上限は書かれていません。
ただし、年齢に関係なく無条件で働くことを求められるわけでもありません。
稼働能力があるかどうかは、次のような事情を総合的に確認して判断されます。
- 年齢と体力
- 病気や障害の状態
- 医師から受けている治療の内容
- これまでの職歴や離職期間
- 持っている資格や技能
- 家族の介護や子育ての状況
- 通勤できる範囲や交通手段
- 地域に本人が応募できる求人があるか
- 現在の生活リズムや対人関係の状態
年齢だけを見て「まだ64歳だから働ける」と決めるのも適切ではありませんし、「65歳になったから一切働けない」と決めるのも適切ではありません。
生活保護の実施要領でも、年齢や医学的な面だけではなく、資格、生活歴、職歴などを客観的かつ総合的に確認することが示されています。
稼働能力の判断には3つの視点がある
就労指導の対象になるかを考えるときは、単に「身体が動くか」だけで判断するわけではありません。
実務では、大きく次の3つの視点があります。
| 確認される視点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 働く能力があるか | 病気、障害、体力、生活リズム、認知機能、対人関係などを踏まえ、どの程度の仕事が可能かを確認します。 |
| 能力を活用する意思があるか | 就労や訓練に取り組む意思があるか、難しい場合に支援者と相談する姿勢があるかを確認します。 |
| 実際に働ける場があるか | 年齢、職歴、地域の求人、通勤手段、介護や育児などを踏まえ、現実に応募できる仕事があるかを確認します。 |
つまり、健康上は短時間なら働けるとしても、通勤できる範囲に該当する求人がまったくなければ、その事情も考慮されます。
反対に、病気があるからといって、病名だけで一律に「まったく働けない」と決まるわけでもありません。治療を続けながら週に数時間なら働ける方もいれば、日常生活を整えることを優先した方がよい方もいます。
この違いを確認するのが、本来のアセスメントです。
「就労指導の免除」は正式な法律用語ではない
検索では「生活保護の就労指導を免除してもらう方法」と調べる方が多いのですが、実務では必ずしも「免除」という言葉を使うわけではありません。
状況に応じて、次のように整理されることがあります。
- 当面は就労指導の対象にしない
- 病気の治療を優先し、求職活動を保留する
- 一般就労ではなく、就労準備支援へ変更する
- 短時間や軽作業など、活動内容を見直す
- 経済的自立より日常生活自立を優先する
- 高齢者として社会参加や健康維持を中心に支援する
ですから、「完全に免除してもらえるか」だけで考えるよりも、「今の自分にはどの段階の支援が合っているか」をケースワーカーと整理する方が話は進みやすいですよ。
65歳は生活保護の就労指導が終わる目安なのか

65歳は自動終了ではなく支援方針を見直す節目
65歳で必ず就労指導が終わるわけではない
65歳は、生活保護の就労支援を考えるうえで一つの節目になります。
老齢基礎年金は原則として65歳から受け取る制度です。また、企業には65歳までの雇用確保措置が義務づけられ、70歳までの就業機会確保は努力義務とされています。
このように、年金制度や雇用制度の大きな区切りが65歳前後に置かれているため、福祉事務所でも65歳を機に支援方針を見直すことがあります。
ただし、これは「65歳の誕生日を迎えた翌日から就労に関する話をしてはいけない」という意味ではありません。
65歳を過ぎても元気で、本人が働きたいと希望している場合には、ハローワーク、シルバー人材センター、地域の就労支援などを案内されることがあります。
一方で、本人が希望していないのに、すべての65歳以上の受給者へ一律に求職活動を命じるという運用でもありません。
2026年の厚生労働省通知が示した高齢者支援
2026年3月31日に厚生労働省が出した通知では、高齢の生活保護受給者に対して、孤立防止や心身機能の維持という観点から、地域活動やボランティア、就労を含む多様な社会参加の機会を提供することが示されています。
ここで大切なのは、高齢者への就労機会の提供と、生活保護法第27条に基づく強制力を伴う指導指示は同じではないということです。
同通知でも、すべての高齢者に対して医師の意見を求めたり、稼働能力の活用を求める対象を広げたりするものではないとされています。
つまり、65歳を過ぎた後は「働けるか、働けないか」の二択だけでなく、本人の希望や健康状態を見ながら、社会参加の方法を一緒に探す支援へ移っていくことが想定されています。
介護保険の対象になるだけで就労不能になるわけではない
65歳になると、介護保険の第1号被保険者になります。しかし、65歳になったことだけで、身体機能の低下が公的に認められたことにはなりません。
介護サービスを利用するには、原則として要介護認定や要支援認定を受ける必要があります。
要介護認定を受けていても、状態によっては短時間の仕事ができる方もいます。反対に、認定を受けていなくても、病気や体力低下によって求職活動が難しい方もいます。
年齢や認定の有無だけではなく、実際の生活状態を見る必要があるということですね。
年代別に見た就労支援の一般的な考え方

| 年齢や状態 | 一般的に考えられる支援 | 注意点 |
|---|---|---|
| 20代から50代で健康状態が安定している | 求職活動、職業相談、職業訓練、就労支援員による支援など | 年齢だけで就労可能と決めず、生活歴や精神状態も確認する必要があります。 |
| 60歳から64歳 | 年齢や求人状況を踏まえ、短時間勤務や経験を生かせる仕事を含めて検討 | 採用の難しさや体力低下を無視した機械的な活動設定は適切ではありません。 |
| 65歳以上で就労希望がある | ハローワーク、シルバー人材センター、地域活動、短時間就労などを案内 | 年金収入は生活保護上の収入として認定されるため、受給手続きの確認も必要です。 |
| 65歳以上で健康上の不安が強い | 医療、介護、健康管理、家計相談、孤立防止、社会参加を中心とした支援 | 就職だけを目標にせず、日常生活と社会生活の安定を優先します。 |
| 年齢にかかわらず病気や障害がある | 病状調査、治療、就労準備支援、障害福祉サービスなどを検討 | 病名だけでなく、日常生活や具体的な作業能力を確認します。 |
これは全国一律の年齢基準ではなく、あくまで一般的な支援の考え方です。
同じ64歳でも、長く働いてきて短時間勤務なら可能な方と、長期療養によって日常生活を整えるところから始める必要がある方では、支援内容が違って当然です。
病気や体調不良があれば就労指導は免除されるのか
年齢よりも大きな判断材料になるのが、病気や障害、現在の生活状態です。
「体調が悪くて働けないと伝えているのに、信じてもらえない」と感じている方もいるかもしれません。
その場合、感情だけで対立するより、現在の症状と生活への影響を具体的に整理することが大切です。
診断書があれば必ず就労指導が止まるわけではない
診断書は重要な資料だが最終決定ではない
医師の診断書や意見書は、健康状態を確認するための重要な資料です。
ただし、診断書が提出された瞬間に、自動的に就労指導が永久免除になるわけではありません。
医師は医学的な状態について意見を示しますが、生活保護上の稼働能力を最終的に判断するのは福祉事務所です。
福祉事務所は、医師の意見だけでなく、本人の日常生活、職歴、現在の活動状況、地域の求人なども含めて判断します。
例えば、診断書に「軽作業は可能」と書かれていても、次の事情があれば、すぐに一般就労を求めることが適切とは限りません。
- 朝起きることができず、通院も安定していない
- 人と話すと強い不安や動悸が出る
- 薬の副作用で集中力が続かない
- 公共交通機関を一人で利用できない
- 短時間の外出後に数日寝込んでしまう
- 過去に無理をして働き、症状が悪化した
反対に、「就労不可」という診断であっても、一定期間後に病状を再確認することはあります。
病状は変化するため、支援方針も定期的に見直されるからです。
診断書を自費で取る前にケースワーカーへ確認する
就労指導を止めてほしいからといって、最初から自費で診断書を取得する必要があるとは限りません。
診断書料は医療扶助の対象にならないこともあり、先に取得すると自己負担が発生する場合があります。
まずはケースワーカーに、次のように確認してください。
「体調のため求職活動が難しい状態です。主治医の意見を確認してもらいたいのですが、自分で診断書を取る必要がありますか。それとも、福祉事務所から病状調査をしてもらえますか」
自治体や状況によっては、福祉事務所から医療機関へ病状を照会することがあります。
その方法や使用する書類は自治体によって異なるため、「医療要否意見書を出せば必ず無料になる」と決めつけず、担当者に確認するのが安全です。
福祉事務所が行う病状調査とは

医療要否の確認と稼働能力の確認は目的が異なる
原文では「医療要否意見書付表を使えば、診断書なしで就労指導を止められる」と説明していましたが、少し整理が必要です。
医療要否意見書は、基本的には医療扶助による治療の必要性などを医療機関へ確認するための書類です。
一方で、就労の可否や働ける範囲を確認するため、主治医への病状調査や医学的所見の照会が行われることもあります。
書類の名称や運用方法は福祉事務所によって異なることがあります。大切なのは書類の名前を指定することではなく、次の点を伝えることです。
- どの症状によって求職活動が難しいのか
- 通院先と主治医は誰か
- 現在受けている治療は何か
- 仕事や外出をすると、どのような症状が出るのか
- 主治医にどのような点を確認してほしいのか
主治医には仕事内容を具体的に伝える
診察室で「働けません」とだけ伝えても、医師は生活状況を十分に理解できないことがあります。
特に短い診察時間では、医師が「座り仕事なら可能ではないか」と考える場合もあります。
次のように、具体的な状態を伝えてください。
- 30分座っていると腰痛が強くなり、横になる必要がある
- 週に2回は強い頭痛があり、予定どおり外出できない
- 人混みや電車内でパニック症状が出る
- 薬を服用すると午前中に強い眠気が残る
- 面接を受けた後に気分が落ち込み、数日動けなくなる
- 家族の見守りがなければ服薬管理ができない
こうした情報があれば、医師も「一般就労は難しい」「短時間からの活動が望ましい」「当面は治療を優先する」といった、より具体的な意見を書きやすくなります。
受診を我慢すると状態が伝わりにくくなる
病院へ行くことに抵抗があり、体調が悪くても受診を我慢してしまう方もいます。
しかし、受診記録や治療経過がなければ、福祉事務所も医師も現在の状態を判断しにくくなります。
受診が怖い、生活保護で病院へ行くのが恥ずかしいと感じる方は、生活保護で病院へ行くのが恥ずかしい?受診の不安と解決策を解説も参考にしてください。
休日や夜間など、医療券が手元にないときの受診方法については、生活保護で医療券なし受診は可能?緊急時の手順と返金方法を解説で詳しく説明しています。
病気以外に就労指導が見直される事情
求職活動が難しくなる理由は、病気だけではありません。
家族の介護、育児、住まいの不安定さ、長期のひきこもり、対人関係への強い不安など、就労の前に解決した方がよい課題は人によって違います。
家族の介護や看病が必要な場合
同居家族の介護や看病をしている場合、その負担は稼働能力を判断する際の事情になります。
ただし、「家族を介護している」と伝えれば自動的に就労指導がなくなるわけではありません。
次の点を確認される可能性があります。
- 介護を必要としている家族の状態
- 要介護認定の有無
- 利用している介護サービス
- 本人が介護をしなければならない時間帯
- 他の家族が対応できるか
- 介護サービスを増やせない理由
- 短時間勤務と両立できる可能性
介護負担を軽くするために、地域包括支援センターやケアマネジャーとの相談を提案されることもあります。
これは、無理に働かせるためだけではありません。家族一人に介護が集中している状態を見直すこと自体が、世帯の生活を安定させる支援になるからです。
育児や子どもの事情がある場合
乳幼児の養育、子どもの病気、不登校、障害のある子どもの送迎なども、働き方を考える際の重要な事情です。
保育園に空きがない、子どもの通院が多い、学校から頻繁に呼び出されるといった事情があれば、具体的に伝えてください。
「子どもがいるから働けない」とまとめて伝えるよりも、何曜日の何時に送迎が必要なのか、月に何回受診しているのかを説明した方が、現実的な働き方を検討しやすくなります。
生活リズムや対人関係に課題がある場合
長期間働いていなかった方に、いきなり週5日の求職活動を求めても、うまくいかないことがあります。
朝起きられない、他人と話すことが怖い、身だしなみを整えられない、書類を管理できないといった状態であれば、就職活動より先に生活面の支援が必要です。
2026年の厚生労働省通知でも、長期離職、精神面の不調、対人関係の困難、家族関係、住居不安定、生活習慣などの課題が重なっている場合、就労までに相当の期間が必要になることへ配慮するよう示されています。
このような場合は、すぐに応募件数を増やすのではなく、次のような段階を踏むことがあります。
- 決まった時間に起床する
- 定期的に通院する
- 週に1回、支援機関へ通う
- 人と話す練習をする
- 職場見学や短時間の体験を行う
- 就労準備支援を利用する
- 短時間勤務や福祉的就労を検討する
生活を整える段階にいる人へ、「早く一般就労してください」と繰り返すだけでは、かえって状態を悪化させることがあります。
働けない自分を責めるのではなく、今どの段階にいるのかを整理することが必要ですよ。
障害がある人の就労指導と福祉的就労
一般就労だけが選択肢ではない
障害や精神的不調がある方の場合、一般の求人へ応募するだけでなく、障害福祉サービスや障害者雇用を利用できる可能性があります。
ただし、障害福祉サービスは、生活保護を受けていれば誰でも自動的に利用できる制度ではありません。
本人の状態や希望を確認し、市区町村による支給決定を受ける必要があります。
障害者手帳を持っていない場合でも、病気や障害の状態によって対象になる可能性はありますが、必要になる診断書や確認方法は自治体や障害の種類によって異なります。
まずはケースワーカー、市区町村の障害福祉担当窓口、相談支援事業所などに相談してください。
就労移行支援・A型・B型の違い

| サービス | 主な特徴 | 向いている可能性がある人 |
|---|---|---|
| 就労移行支援 | 一般企業への就職に必要な訓練、就職活動、職場定着などの支援を受けます。 | 一般就労を目指しており、訓練や支援を受けることで就職が見込める人 |
| 就労継続支援A型 | 事業所と雇用契約を結び、給与を受けながら働きます。 | 一般企業で働くことは難しいものの、支援があれば雇用契約に基づいて働ける人 |
| 就労継続支援B型 | 雇用契約を結ばず、生産活動などに参加して工賃を受け取ります。 | 体力や体調の変動があり、雇用契約に基づく勤務が難しい人 |
A型は一定の要件を満たせば65歳以降も継続できる
就労継続支援A型は原則として65歳未満の人を対象としています。ただし、65歳になる前から一定期間、障害福祉サービスの支給決定を受け、65歳になる前日にA型の支給決定を受けていた人は、65歳以降も対象になる場合があります。65歳を過ぎてから初めてA型を利用する場合とは区別して考える必要があります。
継続利用や新規利用が可能かどうかは、これまでの障害福祉サービスの利用状況や自治体の支給決定を含めて確認する必要があります。
B型に全国共通の一律の年齢上限はない
就労継続支援B型は、一般的な一律の年齢上限が設定されたサービスではありません。
実際に65歳以上の方が利用することもあります。
ただし、年齢制限がないからといって、希望すれば無条件で利用できるわけではありません。
本人の障害や病気の状態、就労経験、支援の必要性などを確認し、市区町村が利用の可否を決定します。
B型は一般就労より負担が少ない場合がありますが、工賃だけで生活保護から完全に自立できるとは限りません。
収入を増やすことだけでなく、生活リズムを整える、人とのつながりを持つ、作業への自信を取り戻すといった目的もあります。
生活保護世帯は障害福祉サービスの利用者負担上限が0円
生活保護世帯の場合、障害福祉サービスの利用者負担上限月額は0円です。
ただし、事業所で提供される食事、交通費、材料費など、サービス利用料とは別の実費が発生することがあります。
通所を始める前に、毎月どの程度の実費がかかるのかも確認しておきましょう。
無理なステップアップで体調を崩さない
B型へ週に数日通うことができたからといって、すぐにA型や一般就労へ移らなければならないわけではありません。
本人が希望し、体調や支援者の評価を踏まえて、次の段階を検討します。
私が生活保護ケースワーカーとして担当した方の中にも、一般就労を急ぐより、まず定期的に外出することや人と関わることから始めた方がよいケースがありました。
生活保護の自立は、保護を早く抜けることだけではありません。自分で服薬できるようになること、体調を安定させること、社会との接点を持てるようになることも立派な前進です。
ケースワーカーから行われる就労指導の内容
求職活動の回数は全国一律ではない
「月に何回ハローワークへ行かなければならないのか」と気になる方も多いと思います。
求職活動の内容や回数は、すべての自治体、すべての受給者に共通するものではありません。
本人の就労可能性や支援計画に応じて、次のような活動が設定されることがあります。
- ハローワークで職業相談を受ける
- 求人へ応募する
- 履歴書や職務経歴書を作る
- 就労支援員との面談を受ける
- 職業訓練を検討する
- 企業説明会や職場見学へ参加する
- 求人情報を検索し、結果を記録する
- 働いている場合は、勤務時間を増やせるか職場へ相談する
同じ求職回数をすべての人に機械的に求めるのではなく、年齢、体調、地域の求人などを踏まえて計画を立てる必要があります。
厚生労働省の通知でも、「就職先が見つかっていない」という結果だけを理由に、機械的な指導指示を行わないよう示されています。
家庭訪問は求職活動だけを確認する場ではない
家庭訪問では、求職活動の状況だけでなく、健康状態、生活環境、家族関係、家計、困りごとなども確認されます。
訪問頻度も、すべての人が月1回と決まっているわけではありません。世帯の状態や支援の必要性によって異なります。
訪問のときに「特にありません」と答えてしまうと、ケースワーカーは困っていることを把握できません。
求職活動が負担になっている場合は、次のように具体的に伝えてください。
「先月はハローワークへ2回行きましたが、帰宅後に強い疲労が出て、翌日は起きられませんでした。現在の回数を続けるのが難しいため、主治医の意見も確認しながら活動内容を見直したいです」
家庭訪問の対応に不安がある方は、生活保護の家庭訪問を玄関だけで対応するリスクと注意点も確認しておいてください。
就労支援員による支援を利用できることがある
福祉事務所によっては、ケースワーカーとは別に、就労支援員が配置されています。
支援内容には、次のようなものがあります。
- これまでの職歴の整理
- 本人に合いそうな職種の検討
- 履歴書や職務経歴書の作成支援
- 面接の練習
- 求人情報の検索
- ハローワークとの連携
- 就職後の職場定着支援
- 本人の状態に合う求人条件の調整
ただし、すべての福祉事務所で同じ支援が受けられるわけではありません。
就労支援員がいるのか、どのような支援を受けられるのかをケースワーカーへ確認してください。
ハローワーク以外の就労支援も検討できる
生活保護受給者等就労自立促進事業
ハローワークと地方自治体が連携し、生活保護受給者などを支援する「生活保護受給者等就労自立促進事業」があります。
地域によっては、自治体庁舎内にハローワークの窓口が設置されていたり、ハローワーク職員が福祉事務所へ巡回相談に来たりします。
一般の窓口へ一人で行くのが不安な方でも、ケースワーカーや就労支援員を通じて支援につながれる場合があります。
「どの窓口へ行けばよいかわからない」ときは、ケースワーカーに次のように聞いてみてください。
「生活保護受給者向けのハローワークとの連携支援はありますか。一般窓口へ一人で行くのが不安なので、担当者につないでもらえると助かります」
すぐに一般就労が難しい人向けの就労準備支援
生活リズム、コミュニケーション、長期離職などの課題があり、すぐに求人へ応募するのが難しい場合は、就労準備支援を利用できる可能性があります。
就労準備支援では、いきなり就職を目指すのではなく、次のような支援を行います。
- 生活リズムを整える
- 定期的に外出する練習をする
- 人とのコミュニケーションに慣れる
- 簡単な作業や職場体験へ参加する
- 自分の得意なことや苦手なことを整理する
- 就労に必要な基礎的な習慣を身につける
「求人へ応募できないから意欲がない」と判断するのではなく、応募できない背景を確認し、その課題から支援する考え方です。
職業訓練は受講前に費用と手続きを確認する
ハローワークを通じて、介護、事務、パソコン、製造などの職業訓練を受けられる場合があります。
受講料が無料の訓練でも、教科書代、資格試験代、交通費などが必要になる場合があります。
生活保護では、就労に必要な技能を身につけるための費用が生業扶助などの対象になる可能性がありますが、すべての訓練費用が自動的に支給されるわけではありません。
申し込みや支払いをする前に、訓練内容、就職につながる可能性、費用の扱いをケースワーカーへ相談してください。
すでに働いている人への増収指導
働いていても増収について相談されることがある
週に数日アルバイトをしていても、生活保護を受けている場合、「勤務日数を増やせませんか」「もう少し収入を増やせませんか」と相談されることがあります。
これは、現在の稼働能力を十分に活用できているかを確認するためです。
ただし、単に保護費を減らすことだけを目的として、本人の体調や職場の状況を無視して勤務時間を増やすべきではありません。
次のような事情があれば、具体的に伝えましょう。
- 現在の勤務日数でも帰宅後に寝込むことがある
- 職場側にシフトを増やせる余裕がない
- 主治医から勤務時間を制限されている
- 勤務を増やすと通院日を確保できない
- 家族の介護や子どもの送迎がある
- 過去に勤務日数を増やして体調を崩した
「増やせません」だけでなく試した結果を伝える
増収指導を受けたときに、「無理です」とだけ答えると、ケースワーカーは判断材料を持てません。
可能であれば、勤務先へ確認した結果や、勤務を増やしたときの体調変化を伝えてください。
「店長に相談しましたが、現在はシフトを増やせないと言われました。別の仕事を追加すると今の勤務にも影響するため、まずは現在の仕事を安定して続けたいです」
または、次のように伝える方法もあります。
「先月、週2日から週3日に増やしましたが、欠勤が2回発生しました。今は週2日を安定して続け、3か月後にもう一度見直したいです」
生活保護から早く抜けるために無理をして、仕事そのものを続けられなくなっては意味がありません。
働き始めた後の定着も、自立支援の大切な部分です。
就労指導がつらいときにケースワーカーへ伝えること
就労指導を見直してほしいときは、「年齢的に無理」「体調が悪い」という一言だけではなく、できない理由と現在できることを分けて伝えるのがポイントです。
相談前にメモしておきたい項目
- 現在の病名と通院先
- 服用している薬と副作用
- 外出できる日数や時間
- 歩行、立ち仕事、座り仕事ができる時間
- 公共交通機関を利用できるか
- 人と話すときに困ること
- 求職活動後に起きる体調変化
- 家族の介護や育児の状況
- 過去に就労して体調を崩した経験
- 現在ならできそうな活動
「週5日は無理ですが、週1回の就労支援員との面談ならできる」「ハローワークへ行くのは難しいが、自宅で求人を確認することはできる」といった情報も伝えましょう。
できないことだけでなく、できる範囲を示すことで、支援内容を見直しやすくなります。
そのまま使える相談の伝え方
「就労する意思がまったくないわけではありません。ただ、現在は体調が安定せず、求職活動を続けると日常生活にも支障が出ています。主治医の意見と生活状況を確認したうえで、求職回数や支援内容を見直していただきたいです」
家族の介護がある場合は、次のように伝えられます。
「同居家族の介護が増え、予定どおり求職活動を行うことが難しくなりました。介護サービスの利用状況も含めて説明したいので、今の活動計画を一度見直していただけないでしょうか」
電話でうまく説明できない場合は、紙に書いて渡しても構いません。
いつ、誰に、何を相談したか、自分用の記録も残しておくと安心です。
就労指導を無視すると生活保護はどうなるのか
就労指導がつらくても、何も連絡せずに求職活動や面談を欠席し続けるのは避けてください。
ただし、1回ハローワークへ行けなかっただけで、すぐ生活保護が廃止されるわけでもありません。
口頭の助言、正式な指導指示、行政処分を分けて理解しておきましょう。
口頭の助言と正式な指導指示は同じではない
ケースワーカーから「今月は求人を探してみましょう」「次回までにハローワークへ行ってください」と言われることがあります。
これらは支援上の助言や口頭指導として行われることがありますが、そのすべてが直ちに保護停止へつながる正式な文書指示とは限りません。
生活保護法第27条では、保護の実施機関が必要な指導や指示を行える一方で、本人の自由を尊重し、必要最小限にとどめることが定められています。
指導の内容が自分の状態に合っていないと思ったら、黙って拒否するのではなく、理由の説明を求めてください。
無断欠席を繰り返すと文書による指導指示へ進むことがある
正当な理由を伝えず、求職活動の報告や面談を何度も拒否すると、福祉事務所から文書による指導指示が行われる可能性があります。
文書には、通常、次のような内容が記載されます。
- 何を行う必要があるのか
- いつまでに行うのか
- 指示を行う理由
- 従わない場合に処分を検討する可能性
文書を受け取ったら、放置しないでください。
実行できない理由がある場合は、期限が来る前に相談し、病状や家庭事情を説明する必要があります。
変更・停止・廃止の前には所定の手続きがある

文書による指導指示にも正当な理由なく従わなかった場合、生活保護法第62条に基づき、保護の変更、停止または廃止が検討される可能性があります。
しかし、福祉事務所が自由に突然廃止できるわけではありません。
生活保護法第62条では、変更、停止または廃止の処分を行う場合、本人に弁明の機会を与えることが定められています。
弁明とは、「なぜ指示に従えなかったのか」「どのような事情があったのか」を本人が説明する機会です。
病気、家族の緊急事態、通知が届いていなかった、指示内容を理解できなかったなどの事情がある場合は、資料とともに説明してください。
| 段階 | 一般的な対応 | 本人が行うこと |
|---|---|---|
| 助言・口頭指導 | 求職活動や面談について説明を受けます。 | 難しい理由があれば早い段階で相談します。 |
| 文書による指導指示 | 具体的な内容と期限が書面で示されます。 | 放置せず、実行できない事情を期限前に伝えます。 |
| 弁明の機会 | 処分を検討する理由、日時、場所などが通知されます。 | 従えなかった事情や資料を提出して説明します。 |
| 保護の変更・停止 | 状況に応じて保護内容の変更や一時的な停止が行われる場合があります。 | 決定通知書の理由を確認し、必要なら相談や審査請求を検討します。 |
| 保護の廃止 | 違反の内容や経過を踏まえ、最終的に廃止が検討される場合があります。 | 生活が維持できない場合は、再相談や再申請、法律相談を検討します。 |
就職できないことだけで処分されるわけではない
求職活動をしても採用されないことはあります。
特に年齢が高い、職歴に空白がある、病気や障害がある、地方で求人が少ないといった場合は、本人が努力しても就職先が見つからないことがあります。
厚生労働省も、就職先が見つかっていないことだけを理由に、機械的に指導指示を行わないよう示しています。
問題になりやすいのは、就職できなかった結果そのものではなく、正当な理由なく支援や確認を拒み、状況を説明しない状態が続くことです。
応募して不採用になった場合は、結果を隠す必要はありません。
応募先、結果、難しかった点を記録し、次の支援へつなげてください。
生活保護の廃止は受給権が永久に消えることではない
生活保護が廃止された後でも、その後に生活に困窮し、生活保護の要件を満たす状態になれば、改めて申請することはできます。
生活保護は、一度廃止された人が二度と申請できない制度ではありません。
ただし、再申請すれば必ずすぐに保護が再開されるという意味でもありません。福祉事務所は、現在の収入、資産、健康状態、廃止に至った経緯などを改めて確認します。
廃止になってから困るより、文書による指導指示を受けた段階で相談する方がはるかに安全です。
保護停止・廃止後は医療や家賃への影響が大きい
保護が停止または廃止されると、生活扶助や住宅扶助だけでなく、医療扶助にも影響します。
保護廃止後は、加入要件に応じて国民健康保険や勤務先の健康保険などの手続きが必要になる場合があります。保険手続きをせずに受診すると、医療機関の窓口で大きな負担が発生する可能性があります。
家賃、食費、光熱費、医療費を自分で負担できる見通しがないまま、ケースワーカーとの連絡を断つことは避けてください。
約束を守れないときは無断にせず連絡する

当日に体調を崩した場合
ハローワークへ行く予定の日に発熱した、精神状態が悪化した、家族の介護で外出できなくなったということはあります。
その場合は、可能な範囲で当日中に連絡してください。
「本日ハローワークへ行く予定でしたが、朝から発熱しており外出できません。受診後、改めて活動日を相談させてください」
電話が難しい場合は、自治体が認めている連絡方法があれば、メールや書面を使えるか確認しておきましょう。
何度も予定どおり動けない場合
1回だけではなく、何度も求職活動を欠席してしまう場合は、単に日程を変更し続けるだけでは解決しません。
現在の活動計画そのものが、体調や生活状態に合っていない可能性があります。
ケースワーカーに、次のように相談してください。
「予定を立てても体調不良で実行できない状態が続いています。現在の求職活動の設定が自分の状態に合っていない可能性があるため、病状調査や就労支援員との面談を含め、支援計画を見直してほしいです」
連絡した内容は自分でも記録する
ケースワーカーへ相談した日、伝えた内容、回答された内容は、手帳やノートに残しておきましょう。
電話の場合は、次の項目を記録します。
- 連絡した日と時間
- 対応した職員の名前
- 自分が伝えた内容
- 職員から言われた内容
- 次に行うことと期限
記録は、職員を責めるためだけのものではありません。
体調が悪いと、以前の説明を忘れたり、別の職員へ正確に引き継がれなかったりすることがあります。自分の生活と権利を守るための整理として残しておきましょう。
就労指導が不当だと感じたときの相談先
まず指導の理由と根拠を確認する
「なぜ自分が就労指導の対象なのか」「なぜこの回数の求職活動が必要なのか」がわからない場合は、説明を求めて構いません。
「現在の病状や年齢を踏まえても、この回数の求職活動が必要と判断された理由を教えてください。どのような状態になれば支援内容を見直すのかも確認したいです」
説明を聞いたうえで、自分の状態が十分に反映されていないと思ったら、追加資料を提出します。
上司や査察指導員への相談を求める
ケースワーカーとの話し合いだけでは解決しない場合、上司にあたる査察指導員や係長を交えた面談を依頼する方法があります。
私自身、係長としてケースワーカーから困難ケースの相談を受け、支援方針や行政判断を組織として確認する立場を経験しました。
生活保護の判断は、担当ケースワーカー一人の感覚だけで決めるものではありません。
病状や生活状況の評価が難しい場合には、ケース診断会議や稼働能力判定会議などで検討されることもあります。
処分通知を受けた場合は審査請求を検討できる
保護の変更、停止、廃止などの行政処分を受け、その判断に納得できない場合は、審査請求を検討できます。
処分通知書には、処分理由や不服申立てに関する案内が記載されているのが一般的です。
通知書を捨てず、届いた日がわかる封筒と一緒に保管してください。
手続きや期限の判断が難しい場合は、自治体の相談窓口、生活保護問題に詳しい支援団体、弁護士、法テラスなどへの相談を検討しましょう。
経済的な条件を満たせば、法テラスの無料法律相談を利用できる場合があります。
生活保護を受けながら働くときの注意点
少額でも収入申告が必要
アルバイト、短時間勤務、A型の給与、B型の工賃など、収入を得た場合は福祉事務所への申告が必要です。
「金額が少ないから申告しなくてよい」「手渡しだからわからない」と考えるのは危険です。
働いて得た収入については、必要経費や勤労控除などを踏まえて保護費が計算されます。
収入額がそのまま全額保護費から差し引かれるとは限らないため、隠さずに申告してください。
就職したらすぐに保護が廃止されるとは限らない
仕事が決まっても、最初の給与が入るまで時間がかかる場合があります。
また、収入が最低生活費を安定して上回るかどうかを確認する必要があります。
そのため、就職した翌日に必ず生活保護が廃止されるわけではありません。
就職日、給与日、見込み収入、社会保険料、交通費などをケースワーカーへ報告し、今後の保護費について確認しましょう。
生活保護をやめる場合の手続きや注意点については、生活保護をやめるには?自立の条件と手続きを徹底解説も参考にしてください。
元ケースワーカーとして伝えたいこと
ハローワークへ行かせることが支援の目的ではない
私は生活保護ケースワーカーとして80世帯以上を担当し、その後は係長としてケースワーカーを統括しました。
その経験から感じるのは、ハローワークへ行った回数を増やすこと自体が支援の目的ではないということです。
求人へ何度応募しても採用されない方に、同じ活動だけを繰り返してもらっても、本人の自信が失われていくことがあります。
年齢に合う求人がないのであれば、職種や勤務時間を見直す。精神面の不調が強いのであれば、まず治療や生活リズムを整える。家族の介護が重いのであれば、介護サービスを見直す。
目の前の「働いていない」という状態だけでなく、なぜ働けないのかを確認するのがケースワークです。
支援を受ける人を責めるだけでは生活は立て直せない
生活保護を利用する理由は、失業だけではありません。
病気、障害、加齢、家族関係、介護、虐待、住まいの問題、精神的不調など、いくつもの事情が重なっていることがあります。
「働けないのは本人の努力不足」と決めつけても、問題は解決しません。
一方で、ケースワーカーとの連絡を断ち、状況を説明しないままでは、必要な支援へつながりにくくなります。
あなたには、無理な指導に対して説明を求める権利があります。同時に、自分の状態を伝え、支援方法を一緒に考えることも必要です。
自立は生活保護を抜けることだけではない
生活保護制度でいう自立には、経済的自立だけでなく、日常生活自立と社会生活自立があります。
例えば、次の変化も自立に向けた前進です。
- 毎日決まった時間に起きられるようになった
- 通院や服薬を続けられるようになった
- 家計を管理できるようになった
- 週に1回外出できるようになった
- 支援者へ困りごとを相談できるようになった
- 地域活動やB型事業所へ通えるようになった
- 短時間の仕事を安定して続けられるようになった
今すぐ生活保護を抜けられないからといって、あなたが何も前進していないわけではありません。
制度を使うことは恥ではありません。生活を立て直すために必要な支援を受けることも、自立へ向かう一つの行動です。
生活保護の就労指導に関するよくある質問
60歳になれば就労指導はなくなりますか
60歳になったことだけで、自動的に就労指導が終了するわけではありません。
健康状態、職歴、求人状況、家庭事情などを確認して判断されます。
60代は求人が限られやすいため、勤務時間、職種、通勤範囲などを現実的に見直す必要があります。
65歳になればハローワークへ行かなくてよくなりますか
65歳は支援方針を見直す一つの節目ですが、全国共通の自動終了年齢ではありません。
本人が働くことを希望する場合は、65歳以降も就労支援を受けられます。
健康状態や本人の希望に応じて、就職より医療、介護、健康維持、社会参加などを優先することもあります。
70歳でも就労指導を受ける可能性がありますか
法律上、年齢だけで完全に対象外になるとは定められていません。
ただし、70歳の方へ20代や30代と同じ求職活動を機械的に求めることが適切とは限りません。
本人の意思、健康状態、年金、生活状況、地域の就労機会などを踏まえた個別判断が必要です。
うつ病なら就労指導は免除されますか
うつ病という病名だけで自動的に免除されるわけではありません。
症状の程度、日常生活への影響、治療状況、主治医の意見などを確認して、求職活動を保留するのか、就労準備支援へ変更するのかなどが判断されます。
診断書を出したのに就労指導が続くのはおかしいですか
診断書の内容によります。
診断書に「軽作業可能」「短時間勤務可能」などと書かれている場合、福祉事務所が一定範囲の活動を求めることがあります。
実際にはその活動も難しい場合は、日常生活への具体的な影響を説明し、主治医への病状調査や支援計画の見直しを求めてください。
ハローワークへ行っても仕事が見つかりません
就職先が見つからないことだけを理由に、直ちに保護停止や廃止になるわけではありません。
応募した求人、不採用の理由、年齢や体力に合わなかった点などを記録し、職種や支援方法の見直しにつなげましょう。
就労指導を1回休んだら生活保護は廃止されますか
正当な理由があり、きちんと連絡していれば、1回休んだだけで直ちに廃止されるとは通常考えにくいです。
ただし、無断欠席や連絡拒否を繰り返すと、文書による指導指示へ進む可能性があります。
一度生活保護を廃止されたら二度と申請できませんか
いいえ。廃止後に再び生活に困窮し、生活保護の要件を満たす場合は、改めて申請できます。
ただし、現在の収入や資産、生活状況、廃止に至った経緯などは改めて確認されます。
生活保護の申請手続き全体を確認したい方は、生活保護申請の完全ガイド|必要なものとスムーズに受理されるための全知識も確認してください。
まとめ|生活保護の就労指導は年齢だけで決まらない
生活保護の就労指導には、法律で定められた一律の年齢上限はありません。
65歳は、年金や雇用制度との関係から支援方針を見直す節目になりやすい年齢です。しかし、65歳になれば全国どこでも自動的に就労指導が終了するわけではありません。
一方で、年齢だけを理由に、本人の病気、障害、介護負担、就労歴、求人状況を無視して求職活動を求めることも適切ではありません。
働くことが難しい場合は、「できません」とだけ伝えるのではなく、どのような症状や生活事情があるのか、現在なら何ができるのかを具体的に伝えてください。
必要に応じて、主治医への病状調査、求職活動の回数変更、就労準備支援、障害福祉サービスなどを相談できます。
そして、指導内容に納得できない場合でも、無断で連絡を断つことは避けましょう。理由の説明を求め、上司との面談や支援計画の見直しを依頼する方法があります。
生活保護を受けているからといって、あなたの人生が終わったわけではありません。
今は治療が必要な時期かもしれません。生活を整えることが必要な時期かもしれません。短時間の仕事から始める時期かもしれません。
生活保護は、生活を立て直すための最後のセーフティネットです。無理をして壊れてしまうのではなく、今の状態に合った支援を使いながら、一歩ずつ次の生活を考えていきましょう。
- 生活保護の就労指導には、法律上の一律の年齢上限はない
- 65歳は支援方針を見直す節目だが、自動的な終了年齢ではない
- 稼働能力は、年齢、病気、職歴、家庭事情、求人状況などから総合的に判断される
- 診断書は重要な資料だが、提出すれば必ず就労指導が止まるわけではない
- 有料の診断書を取る前に、福祉事務所による病状調査が可能か確認する
- 求職活動が難しい場合は、無断で休まず、できない理由とできる範囲を伝える
- 就職できない結果だけで、直ちに停止や廃止になるわけではない
- 変更・停止・廃止の前には、文書による指示や弁明の機会などの手続きがある
- 保護が廃止されても、要件を満たせば再申請は可能
- 一般就労だけでなく、就労準備支援、A型、B型、社会参加なども選択肢になる
この記事で確認した主な公的情報
- 厚生労働省・生活保護法
- 厚生労働省・生活保護法による保護の実施要領について
- 厚生労働省・被保護者に対する個々の状況に応じた就労支援の充実・強化について
- 厚生労働省・生活保護受給者等への就職支援
- 厚生労働省・障害福祉サービスの内容
※この記事は、2026年8月時点で確認できる生活保護法、厚生労働省通知、障害福祉制度と、運営者の生活保護ケースワーカー・係長としての経験をもとに作成しています。
実際の就労支援、病状調査、求職活動の内容、障害福祉サービスの支給決定などは、本人の健康状態や生活状況、自治体の実施体制によって異なります。
就労指導に従えない事情がある場合は、無断で活動を中断せず、担当ケースワーカーへ早めに相談してください。保護の変更、停止、廃止などの処分通知を受けた場合は、通知書を保管し、必要に応じて自治体の相談窓口、法律の専門家、法テラスなどへ相談してください。